『妙密上人御消息』(佐後) | 細雪の物置小屋

細雪の物置小屋

御宗祖御開山遺文DBを中心に投稿します。
[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 青鳧(せいふ)五貫文給(た)び候ひ畢(おわ)んぬ。
 夫(それ)五戒の始めは不殺生戒、六波羅蜜(ろくはらみつ)の始めは檀波羅蜜なり。十善戒・二百五十戒・十重禁戒(きんかい)等の一切の諸戒の始めは皆不殺生戒なり。上大聖より下蚊虻(もんもう)に至るまで命(いのち)を財(たから)とせざるはなし。これを奪(うば)へば又第一の重罪なり。如来、世に出(い)で給ひては生をあわれむを本(もと)とす。生をあわれむしるしには命を奪はず。施食(せじき)を修するが第一の戒にて候なり。人に食を施(ほどこ)すに三つの功徳あり。一には命をつぎ、二には色をまし、三には力を授(さず)く。命をつぐは、人中天上に生まれては命長きの果報を得、仏に成りては法身如来と顕(あら)はれ、其の身虚空と等(ひと)し。力を授くる故に、人中天上に生まれては威徳の人と成りて眷属(けんぞく)多し。仏に成りては報身如来と顕はれて蓮華の台(うてな)に居し、八月十五夜の月の晴天に出でたるが如し。色をます故に、人中天上に生まれては三十二相を具足して端正なる事華(はな)の如く、仏に成りては応身如来と顕はれて釈迦仏の如くなるべし。
(平成新編0964~0965・御書全集1237・正宗聖典----・昭和新定[2]1451~1452・昭和定本[2]1162)
[建治02(1276)年閏03月05日(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]