追って申し候。日蓮が相承の法門等前々かき進(まい)らせ候ひき。ことに此の文には大事の事どもしるしてまいらせ候ぞ。不思議なる契約なるか、六万恒沙の上首上行等の四菩薩の変化(へんげ)か。さだめてゆへあらん。総じて日蓮が身に当たっての法門わたしまいらせ候ぞ。日蓮もしや六万恒沙の地涌の菩薩の眷属にもやあるらん。南無妙法蓮華経と唱へて日本国の男女をみちびかんとおもへばなり。経に云はく「一を上行と名づく乃至唱導の師」とは説かれ候はぬか。まことに宿縁のを(追)ふところ予が弟子となり給ふ。此の文あひ(相)かま(構)へて秘し給へ。日蓮が己証の法門等かきつけて候ぞ。とゞめ畢(おわ)んぬ。
(平成新編0668・御書全集1361~1362・正宗聖典ーーーー・昭和新定[2]0984・昭和定本[1]0729)
[文永10(1273)年05月17日(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[秘・日蓮が相承の法門等]
[※sasameyuki※]