所詮臨終只今にありと解りて、信心を致して南無妙法蓮華経と唱ふる人を「是人命終為千仏授手(ぜにんみょうじゅういせんぶつじゅしゅ)、令不恐怖不堕悪趣(りょうふくふふだあくしゅ)」と説かれて候。悦ばしいかな一仏二仏に非ず、百仏二百仏に非ず、千仏まで来迎(らいごう)し手を取り給はん事、歓喜の感涙押へ難し。法華不信の者は「其人命終入阿鼻獄(ごにんみょうじゅうにゅうあびごく)」と説かれたれば、定めて獄卒迎えに来たって手をや取り候はんずらん。浅猿(あさまし)浅猿、十王(じゅうおう)は裁断し倶生神は呵責せんか。
今日蓮が弟子檀那等南無妙法蓮華経と唱へん程の者は、千仏の手を授け給はん事、譬へば■(=菰-子+瓜)(うり)・夕顔の手を出だすが如くと思し食せ。
(平成新編0513~0514・御書全集1337・正宗聖典----・昭和新定[1]0744・昭和定本[1]0522~0523)
[文永09(1272)年02月11日(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]