法華経を信ずる人は、かまへてかまへて法華経のかたき(敵)ををそ(怖)れさせ給へ。念仏者と持斎(じさい)と真言師と、一切の南無妙法蓮華経と申さざらん者をば、いかに法華経をよむとも法華経のかたきとしろしめすべし。かたきをし(知)らねばかたきにたぼら(誑)かされ候ぞ。あはれあはれげざん(見参)に入ってくわしく申し候はゞや。又、これよりそれへわたり候三位房(さんみぼう)・佐渡公等に、たびごとにこのふみ(文)をよ(読)ませてきこしめすべし。又、この御文をば明慧房(みょうえぼう)にあづ(預)けさせ給ふべし。なにとなく我が智慧はた(足)らぬ者が、或はこづき、或は此の文をさいかく(才覚)としてそし(謗)り候なり。或はよも此の御房は弘法大師にはまさらじ、よも慈覚大師にはこ(超)へじなんど、人くら(競)べをし候ぞ。かく申す人をばものしらぬ者とをぼ(思)すべし。
(平成新編0964・御書全集0931・正宗聖典----・昭和新定[2]1450~1451・昭和定本[2]1161)
[建治02(1276)年03月(佐後)]
[真跡・三条本成寺 身延曾存(10%以上40%未満現存)]
[※sasameyuki※]