とにかくに法華経に身をまかせ信ぜさせ給へ。殿一人にかぎるべからず。信心をすすめ給ひて、過去の父母等をすくわせ給へ。日蓮生まれし時よりいまに一日片時もこころやすき事はなし。此の法華経の題目を弘めんと思ふばかりなり。
相かまへて相かまへて、自他の生死はしらねども、御臨終のきざみ、生死の中間に、日蓮かならずむかいにまいり候べし。三世の諸仏の成道は、ねうしのをはりとらのきざみの成道なり。仏法の住処は鬼門の方に三国ともにたつなり。此等は相承の法門なるべし。委しくは又々申すべく候。恐々謹言。
かつへて食をねがひ、渇して水をしたうがごとく、恋ひて人を見たきがごとく、病にくすりをたのむがごとく、みめかたちのよき人、べにしろいものをつくるがごとく、法華経には信心をいたさせ給へ。さなくしては後悔あるべし云云。
(平成新編1361・御書全集1557~1558・正宗聖典1016、1019・昭和新定[3]1974・昭和定本[2]1636~1637)
[弘安02(1279)年04月20日(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]