佐渡の国より此の国までは山海を隔てゝ千里に及び候に、女人の御身として法華経を志しましますによりて、年々に夫を御使ひとして御訪ひあり。定めて法華経・釈迦・多宝・十方の諸仏、其の御心をしろしめすらん。譬へば天月は四万由旬なれども大地の池には須臾に影浮かび、雷門の鼓は千万里遠けれども打てば須臾に聞こゆ。御身は佐渡の国にをはせども心は此の国に来たれり。仏に成る道も此くの如し。我等は穢土に候へども心は霊山に住むべし。御面を見てはなにかせん。心こそ大切に候へ。いつかいつか釈迦仏のをはします霊山会上にまひりあひ候はん。南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。恐々謹言。
(平成新編1290・御書全集1316~1317・正宗聖典1023・昭和新定[3]1932・昭和定本[2]1599)
[弘安01(1278)年閏10月19日(佐後)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]