突然ですが、私たちはさまざまな偶然と遭遇しながら日々を過ごしています。
また、気づかずに終わっている偶然のほうが圧倒的に多く存在し、全ての偶然というものにすれ違うことなく遭遇できたらどんなに日々が楽しいことだろうかと思いますね…(そうなると偶然が偶然でなくなるのかもしれませんが)。
突然何を訳の分からんことを言い出したのかと思わんで下さい。
今日は、少し以前の話になるのですが、僕がバイク屋という商売を始めて1番驚いた出来事であり、また1番嬉しかった出来事でもあるのではないかという話を紹介したいと思います。
今日は朝から神戸の鳴尾浜で毎週行われているオークションの日。
車輌の下見を行いながらも今日は大事な納車の事で頭がいっぱいです。
その納車というのは、ボクの幼なじみであり、よき先輩でもあった実家の近所のお兄ちゃんが購入してくれたホンダの1000ccのスポーツバイクの納車なのです。
冒頭でふれました偶然の出来事というのがこの事になるのですが、事の発端は一通の問合せメールから始まりました。
ある日、インターネットより一通の問合せが入ります。登録地は和歌山県橋本市、ボクの生まれ故郷の橋本市です。
大阪の隣に位置する街とうことで、問合せ自体はそうめずらしいことでもなく、“あ、また橋本から問合せだ…”程度に思いながらごく普通に返答をしてお客様からの返事を待つのでした。
そして後日、そのお客様からの返答は“見送り”。
そうめずらしいことでもなく、ほとんどの問合せは返答すら来ない状態なので、まだ無視されるよりはマシか…、と思いながら特に頭に留めることもなく、それはそれで終わったと思っていました。
数日後のある日、あるお客様が来店してそのバイクをしげしげと眺めながら話すのです。
「先日、ネットより問合せをして見送りの返事をした者なのですが、やはりこのバイクが気になって来店したんですが…」と。
けっこう問合せの入っていた車輌だったので、どのお客様かを特定することができずにボクは何気に聞いたのです。
「どちらの地域からお問合せを頂いておりましたか?」
お客様は答えます。
「和歌山県です。」
そこでピンときました、“橋本市のお客様だ!”
「ああ、覚えています。ちなみに橋本市のどちらからお越しですか?」
お客様は少し変な表情を浮かべながら答えます。
「(そんなん聞いてもお前の知らん地名やで!といった表情で)橋本の神野々というところです。」
…っ!神野々!ボクの生まれ故郷!!
さすがに、橋本市といっても広いのでほとんど知らない人だらけですが、その中の神野々といえば狭い村、しかも同年代ならほとんどの人間は顔見知り!
「えっ!ボクも出身は神野々ですが!」
ここで沈黙すること数秒・・・、お互いがやっと気づいて叫びました!
「光司君!」「トンちゃん!」
…、偶然というのは面白いですね!
ボクは高校を卒業してまもなく故郷を離れましたので、その先輩とは20年以上ぶりの再会となります。
もちろん、その先輩もボクがこんなところでバイク屋をしているなぞとは知る由もなく、同じ土地の出身者が別の土地でお客様と店主という形での再会となったわけです。
もちろん、その場で契約を交わしていただき、こちらもいつも以上に熱の入った納車整備や車体のクリーニングを行うのは当然。
納車の日に選ばれたのが今日だったのです。
今日は少しだけ特別な日です。
午後1時、まだ1台も落札はしておらず、後半に欲しい車輌はありますが、トンちゃんの納車にボクが立ち会わないわけにはいきません!
今日のオークションはあきらめることにして、足早に店へと戻ることにしたのでした。
店に戻ったのが3時すぎ。
ちょうど先輩が来てくれたところで、無事納車に立ち会うことができてよかったです!
本日納車の2台です。
VTR1000Fの大西様(トンちゃん)、ZRX1200Rの谷本様
ありがとうございました!



