東野圭吾『おれは非常勤』

オススメ度：★★☆☆☆

いわゆる短編集。

東野圭吾作品は長編による数多い伏線を楽しむと捕らえている読者には、

トリックは極めてシンプルであり、少し物足りない作品かもしれないが、

各ストーリーのラストに想いを込めた著者の気持ちが述べられている。

ページ数も250ページ程度なので気軽に読み終わってしまうが、

決して後味は悪いものではない。

事件は起きるのであるが、誰かが死んだ事の謎解きがメインではなく、

そこに付随する人間関係を主人公である「おれ」の客観で観察しているようにも思える作品である。

小学生向け雑誌に連載された作品ではあるが、

著者の懐の広さ、引出しの多さを垣間見る事ができる。