剣は?
「剣と魔法」ファンタジーの定番なんだけど、TRPGだとどうなのかな?
中世ヨーロッパ世界での武器って言うのは、どっちかと言うと弓とか槍(ハルバートやポールアックスみたいな長柄武器)、フレイルとかメイスという打撃武器に弩(いしゆみ・ど:クロスボウの事)、攻城兵器とかがメインだったみたい。
剣よりも鎧の方が硬かったみたいだから、剣だと関節とかの鎧の継ぎ目を狙わないと上手く倒せなかったの。
それで鎧の上からブン殴ってもOKな打撃武器とか、鎧を貫通出来る弓・弩・槍とかの刺突効果のある武器が重宝されたみたい。
倒れた相手を鎧の上から刺せる短剣もあったからね。
実際に剣はあんまり使われていなかった、って言うのが実際の中世だったんじゃないか、って言われているんだ。
あくまで弓も弩も槍も使えなくなった後で使う預備武器。って意味合いが強かったみたい。
本当にそうだったのかは僕にははっきりした事は言えないんだけどね。
戦国時代の日本でも弓や槍、薙刀とか長巻って感じの長柄武器とか飛び道具が合戦でのメインだったって書いてる本は多いよ。
火縄銃が入ってからはそっちがメインになったって書いてる所も。
ともかくできるだけ遠くから切りかかれるものが重宝されたみたい。
実際銘のある著名な槍は殆ど戦場で使い潰されて現在は残っていないんだって。
こっちも預備武器の意味合いが強かったらしいんだけど、首級、つまり手柄のために首を切るのが一番の使い道だったんじゃないかってどっかに書いてたよ。
じゃあTRPGで剣とか刀を使うのは正しくないのか?
これもまた正しくは無いんだ。
中世ヨーロッパでもそれより少し時代が後になると、レイピアとかサーベルが台頭してきているし、日本だって江戸時代以降は刀がメインになってきているから。
中世ヨーロッパだと、戦争が減って来るに従って、重い甲冑や長柄武器とかはあんまり持たなくなったんだ。
それに弓や弩だって街中でぶら下げる訳にも行かないから、自然持てる武器は限られてくる。
相手が鎧を着ていないんだから鎧を貫く事が前提の武器ってのはあんまり必要じゃなくなったみたい。
あんまり長いと普段の生活の邪魔になるしね。
決闘では銃も使ってたみたいだけど、こっちは良く暴発して、先に撃った方が死んじゃう事も多かったんだって。
この時期にレフトハンドソートとかソードブレイカーって言われている利き腕と逆の手で持ってレイピアを払う防御用の短剣なんてのが発達したとかなんとか。
江戸時代の日本でも、江戸に居る武士の大半は地方の藩に仕えている武士だったから、長柄武器や飛び道具をおおっぴらに持ち歩けなかったみたい。
参勤交代の時も、火縄銃を持って良いのは伊達藩だけだった。って言われてるしね。
当時の関所で特に厳しく取り締まられた「入り鉄砲出女」ってのに良く出てると思う。
そんな訳で、江戸時代では持ち歩きやすく、幕府を脅かすだけの能力の無い刀のほうが重宝されていたんだ。
誤解が無いように補足しておくと、
刀が弱い武器というわけじゃ無いんだよ。
刀同士の戦いなら、ある程度は数の勝負になるし、飛び道具があると流れ弾で大将がぽっくり、何てこともありえるからね。
そんな不足の事態が起きにくいって事だと思うんだ。
そんな訳で、今現在戦渦とは無縁の地域では割合剣とか刀だけで渡り歩く騎士とか武士が多かったんだと思う。
そして平和な時代って武官に仕事が無い時代でもあったんだ。
戦争の真っ只中ならば荒々しく戦場を駆け巡り、多くの命を平らげる騎士だけど、平和な時代だと社会的規範に沿って、腕っ節よりも知能が必要になるんだ。
荒くれ者のままだといけないからって「騎士道」とか「武士道」が発達し、奨励されたんだって。
大体のTRPGは、物語が始まったときは戦争からは離れた所に居る事も多いから、剣や刀だけを持って旅をするのも充分にありえるんだ。
剣は目立たない。とまでは行かなくても「持ってても咎められない」程度の武器だって事かな?
身分にもよるけど、堂々と持っていても大丈夫な武器だったんだ。
剣術とかも、そういった時代に研鑽され、大きな変化を遂げたんだよ。
竹刀剣術で弱体化しちゃった。って言う人も居るけどね。
実際新撰組の隊士の多くが修めた「天然理心流」も竹刀や木刀だと弱かった。って話もあるからね。
時代時代で求められる武器も変わるんだ。ってお話。