湖のある場所で、お昼にしようと買い物に出掛けた。
緊張であまり顔は見れなかったけれど、ずっと話をしていた。他愛ない話
電話で話すように…
近く。途切れない声。
側に、居るんだな、という実感。
店内で離れてしまっても、なぜかあの子の居場所が分かって、その先を見てしまう。
その様が、おかしいと、あの子は笑っていた。
***
有名な湖。近くにあるベンチに座ってお昼を食べた
蝉の声を聞きながら
まだまだ、蒸し暑い日
近くで聞こえる蝉の声に、
私はその姿を探すよう、木の傍まで行き見上げる。
「どこで鳴いてるんだろう?」
あの子は離れたベンチに座ったまま。
湿度が高く、その日は、曇っていた。
木の周りを半周した時だった。
急に周りが白くなって、霧がかかった景色に変わった、ように見えた。
見上げた空は、青く青く晴れわたっていて
「本当に虫が好きね」
耳元で聞こえた声。(あの子は、離れたベンチに座っているはず…)
私は、なぜか上を見続ける事しか出来なかった。
蝉の姿は探していなかった。
ただ、何もない、木の先を見ていた。目が離せなかった。
何を見ているんだろう?
不思議な感じ。
後日、あの子が言う
―木のところで不思議な感じがした―
私の後ろ姿に泣きそうになった。と。
それは、私が不思議な感じがしたのと同じタイミングだった
泣きそうになったあの子と、
そんなあの子の方を振り向けなかった私。
何か意味があるんだろうか
それを、思い出さないといけないんだろうか
―――続く
(この出来事を忘れないため ココに記録として残す)