過去世でお互いを見つけれるように、強く強く決めた『約束』
幼少期から、絵をずっと描いていた。
漫画家になりたいと思っていた。
だけど、小学生の頃、その想いは急に消失した。
―『物語』はとりあえずいいや。
その時が来るまで、とにかく絵を。絵だけを磨こう。―
そう思った。
当時は、何も不思議に思っていなかったけれど、
今思うと『その時』とはいつなのか。
なぜ、大人になれば、物語は付いてくる、と思ったのか。
その答えは、のちに分かることになる。
彼女は、小説(文章)を。私は、絵を。
お互いの得意な事を目印として、掲げていたんだな。と。
再び、今世で再会出来るように。
そう約束したことを私たちは、忘れていなかった。
初めて声を掛けてもらったときは、ぶっちゃけ、すごく凄く警戒していた。
それは、彼女に限らず、誰にでもそうだった。
自分の内側には、誰も入れる気は無かったし、自分の弱さを誰にも知られたく無かった。
上辺だけ、知っていてもらえたら、それでいい。ただの絵描き。ただそれだけで。
必死に線を引いて、距離は保っていた筈だった。
だけど、興味本位で読んだ、彼女の小説に『見つけた』と思ったのも、事実で。
この小説を、私は、探していた、んだと。
一晩中、涙が止まらなかった。
―離したくない―と。
翌日、必死に引いた境界線を消して、彼女の手を握ったんだよね。
今思えば、
それが、私たちの再会の始まり。
そして、ずっと言っていた。ずっと想っていた。私が絵を描く理由。
【大勢じゃなくていい、たった1人。1人でいい。誰かの心に残る絵が描けたら、それが私の目標で希望】と。
一生懸命語ったこの言葉も、他の人は鼻で笑っていたけど、
その『1人』は君だったんだね。
これを語るとき、不意に泣きそうになる、この感情も
過去世からの約束を、君と出会う事を、探すことを、強く強く願っていたから、なんだね。
今なら、全ての事に納得がいく。
そして見つけた今、描く事に集中力が無くなっている事も。
すべて、この時の為に用意されていた事だったんだね。
目印を見失わずいてくれて、ありがとう。
少しの歯車が違ったら、また、私たちはすれ違っていたから。
来世も来来世も出会えるように、また新たに、強く強く約束を交わそう
―君は物語を。私は絵を。―
2人で1つの世界が完成するように。
また出会えるように。
必ず、また見つけるよ。
必ず、また見つけてね。約束。
でも、今は、この再会を。目一杯堪能したい。
いっぱい、話そう。いっぱい笑おう。たくさん同じ時間を過ごそう。これも、約束。にして―