あえて書名や著者名、出版社名は出しませんが。

 SNSを中心に、ネットニュースでもばんばか取り上げられるようになった、4月下旬に発売予定の「発達障害者や精神疾患者への偏見や差別を生みかねない、一般人(本人はカウンセラーと名乗っているけれど、国家資格でもない民間資格)の方が書いている本」が物議を呼んでいまして。

 これまた内容は発売前ですので分かりませんが、題名や表紙や帯、目次や紹介文からも、めちゃくちゃな内容でした。

 色々と言われていますが、表紙で問題視されているのは、発達障害者や精神疾患者のことを「ナマケモノ(ASD)」とかで表していまして。対する健常者は人間の姿なんですよね。

 これを著者は「愛すべき存在として表したかった」てな具合に弁明しているのですけれど、その時点で人種差別的な意図を感じますね。

 題名も、そうした当事者たちへの支援というより、「困った人」と定義して、それを「どうあやつるか」というように書いていて。

 中身もアレで、ASDは感覚過敏だから風呂に入らないから臭い。→席を離して対処しましょう。とか。

 いやいや・・・たしかに、二次障害でうつも併発している私は風呂キャンセル界隈の人間ではありますけど、障害抱えつつも働いていた当時は毎日風呂入っていたし、今も人と会う約束のある前日は風呂に入りますがな。

 それに、存在しない病名もでっちあげていたり、専門家ですらないのに勝手に分類チャートまで作ったりと、まあやりたい放題してるな〜という中身のようで。

 ちょっと調べたら、普遍的に言われている各発達障害や精神疾患の症状なんて出てくるご時世に、オリジナリティでも出したかったのか、逆に間違った症状を羅列してしまっているという。まさに誤解と偏見を生みかねないブツで。

 出版差し止めの署名活動もあるようですが、その想いは届かず。出版予定のようです。

 表紙をデザインした方は「そういう意図がなかったにしろ、当事者の方々に辛い思いをさせてしまったことは事実。本当に申し訳ない。(簡単にまとめると。もっと誠実的に謝罪文を掲載。)」しておりますが、出版社は形だけ謝罪しつつも、「本を読んでもらえたら、支援するための内容であることがわかる。」といった、まさに炎上商法。

 そして著者なんて、当初はSNSで「なんか色々と文句言ってる人たちがいますが、そんなの読みません。むしろ狙い通りの炎上♩」といったことを載せており、のちに出版社から弁明文を掲載する際には「傷つける意図はありませんでした〜。」としれっと掲載していて。

 この本を買う人の気が知れねーと思いつつ、まあ自分が健常者と思い込んでいる人が買っちゃうのかな。なんて思ったり。

 私は「全人類発達障害説」論者で、これまで読んできた発達障害に関わる本にも同様のことが書かれており。

 人間誰しも、何かしらの特性や疾患があって、自分にとって向いている環境に身を置いたり、周囲にも折り合いを付けて接することができるように努力しながら生きているわけで。

 それが上手くいかないってなった時に初めて心療内科や精神科にかかって、自分にとって何が向き不向きなのかを理解できるようになるもの。ってのが必要だと思っていますが。

 それを捻じ曲げた認識を与えかねないブツだなと、まあ憤慨したわけです。

 その本を手に取って読んで、「そうそう、だからあの人こうなのね〜。」なんて勘違いさせたら、折り合いが悪くなっていく一方だな。と思って、誰にも手に取ってほしくないなあと願ってもいます。まあ、無理は無理なんでしょうけど。

 でも、多くの当事者の方だけではなくて、支援者や専門家の方々も「これは問題作」としてみているところもあるので、そういった方々が強く発信して、メディアでも取り上げてもらって、「これは勘違い本ですよ」とキッパリと断言してもらえると、炎上商法ではなくて、ただの炎上になるから、そうなってほしいなって思います。

 にしても、だ〜れがナマケモノじゃい!

 生物学的な意味でナマケモノは実際には怠けている生き物ではないかもしれないけれど、一般的な認識では怠けているからナマケモノ扱いなんですよね。

 自閉スペクトラム症は「努力を努力と認識できなくて頑張りすぎちゃってしまう」という特性があるんだから、勘違いもほどほどにしてほしいですわ。

 そのせいで今、心労がたたってお休みしている人間としては、文句のひとつでも言わんと気が済まんです。

 これのせいで差別や偏見が助長されたりしないか心配ですね。


※蛇足

 毎年、コナンの映画(あと、呪術と鬼滅)は映画館で観るというのが夫婦の約束? で。

 障害者手帳を発行されてから初めての映画館でしたので、せっかくだから障害者割引を適用させてもらいました。

 行った映画館では、大人は一人二千円。それが半額なんですね。そして、介助者一人も適用されます。

 まさしく人混みがダメダメで、遅い時間帯だったにも関わらず、人がめっちゃいて。フードも大行列。並んだ瞬間にめまいがしたので、夫が気を利かせてくれて、私はベンチで休憩している間に買ってくれました。

 障害者割引ってどんなふうな対応されるのかな、と思ったら、入場時に券をバーコードで読み取りした際に「手帳を見せてください」とスタッフの方に言われて、ぱっと表紙だけ提示さたら、それでオッケーでした。

 あの人混みが私にはしんどくて、夫がいないとパニック発作を起こすだろうなという状況ですが、こうしてお安く観られるのであれば良い特典だなと感じました。もともとは、働く上で手帳は取得しておいた方が合理的配慮をしやすいから取っておいてほしいと、上司から言われたからなのですが。

 まあ、診断書がかなりお高いので、レジャー等で元が取れるかと言われたら取れないんじゃないかな〜? と思いますけども。毎月のように映画でも観に行かないと。

 でも、ちょっとお得に観られたのは嬉しかったですね。こうして障害や疾患があっても、趣味を充実させて楽しむことで回復の一助になりそうで。

 今年は呪術も鬼滅も映画公開があるので、また活用したいなと思いました。