昨日の続き。前回よりも辛口な内容になっているので、メンタルが弱っている方、特に子育てにお疲れの方はスルーを推奨します。



 教員は「なんでも屋さん」みたいに扱われがちな世の中になっているなと思う時があります。

 校内で事故が起きたら、それは校内施設や指導の範囲の問題だから、責任を多少負うのも分かるけれど、たとえば先日。ニュースで「校内に設置してある遊具が破損したことで腰椎骨折の重症を負った」というものがありました。

 これに対して「そんな怪我を負ってしまったお子さんは可哀想だと思う。実際にクラスにそういうお子さんがいたら、学校生活の支援はしっかり行いたい。でも、工事関係の資格ももっていない教員(特に施設関係を担当している教頭)が壊れそうだとかどうだとか、直せるかどうだとか判断できるわけじゃないから、学校の問題にはしてほしくない。(校務分掌で各担当の教室の安全管理も確認させられるけれど、それも教員の仕事として任せられているのは負担が大きい)」

 と思っています。


 担任しているお子さんが骨折や縫うといった怪我を校内外で起きたこともあります。


 私にあまり落ち度はなかったものの、授業中に足を骨折した子を、昔はエレベーターがない校舎も多かったものだから、四階建て校舎の最上階まで下校や移動教室でおんぶして運ぶということもありました。毎日筋肉痛にはなりましたが、当時は若かったからできたことだなと思います。


 そういった支援は担任として頑張って取り組みます。でも、なんでもかんでも担任や学校が責任をとるというのは違うよな。と思う時も多々あります。


 それが以下の通り。



1.時間外や校外の事件は教員の責任外である。


 前回も書きましたが、教員の勤務時間はだいたい8:15〜16:45です。


 でも、これが守られていないのが現状。


 子どもはもっと早くに登校してきます。


 部活指導している先生はそちらについているし、お子さんがいる先生は保育園に預けるなどでギリギリ出勤。


 となると、私のようなDINKSや独身者で担当がない者が、学年の児童の安全管理をすることになります。


 休職に入る最後に勤めた年度では、ぶっちゃけ担任の指導がよくなかったと思うものの、他のクラスにパニックを起こして他害しかねない状態になる子が5人くらいいました。


 だから、朝早く出勤して教室にいる私のところに「メイ先生!」と助けを呼びに来ます。


 実際に、パニックを起こしている子が暴れて椅子やら机やらを蹴り飛ばしたり投げ飛ばしたりという場面を多数目撃しています。


 パニックになってしまうと、声掛けだけでは通じない。だから、実力行使で羽交締めにして、引きずって教室から隔離した場所に移動させます。


 こういったことが現場ではたくさん起きている。


 この時、他の子へ怪我が及ぶようになったら、誰が責任とるのか。


 勤務時間外。でも校内での出来事。複雑ですが、パニックになるような状態のお子さんと向き合わない保護者の方も多く、辛抱強く声掛けをして、学校にお忍びでやってきてもらい、授業を参観してもらって、「児童精神科にかかる必要がある。」と認知してもらうしかない。


 でも、そうなる前に、他の子に怪我を負わせてしまったら、どうするのか。


 若干、仮病でパニック発作を起こしている子もいた様子だった(その前の年は問題なかった=かまってほしくてそうするようにした)けれど、椅子や机を投げていれば、そりゃいつか当たってしまう子が出ていたかもしれない。


 もしここで他害に発展してしまったとしたら、それは誰が責任をとるのか。不在の担任なのか。ボランティア精神で早め出勤している教員なのか。管理職なのか。はたまた保護者か。


 これは保護者の方による責任だと、個人的には思っています。


 保護者の方からすると「学校で起きたことなんだから学校の責任じゃないですか。」と思うかもしれません。


 でも、「子どもがしたことは親の責任」です。場所は関係ないです。


 不適切な指導で心身に傷を負ったのであれば、それは学校の責任ですが、あくまでも校内であろうと管理の外(勤務時間外)での出来事。


 お子さんが始業時間より早く登校させる判断をしたのは保護者の方です。始業時間ちょうどでは朝の支度が間に合わない。というのも、おかしな話です。


 最近、こんなニュースもありました。


 寮生活をしている高校生が夜間に寮を抜け出し、施錠されているフェンスを乗り越えてグラウンドで使う車に無免許のまま運転、横転して死亡事故が起きたというものがありました。


 それを「鍵が車の中にあったから学校に責任がある」と考える人が多いそうです。


 寮を抜け出すのもルール違反、施錠されたフェンスを乗り越えて侵入したのもルール違反。無免許で運転したのも言わずもがな。でも、運転した学生に責任を問う声よりも、保護者への責任よりも、学校の方が問題があると言うのです。


 勤務時間外における問題行動まで学校の責任にされるのは、なんかおかしくないでしょうか。


 若さ故の過ちで取り返しのつかないことになってしまったとき、学校に少しでもつけ込む隙があらば、学校の責任にされるのはおかしい話だ。と、亡くなってしまった学生のお子さんに対しては可哀想なことだと思いますが、責任を押し付けられるのは問題だと思っています。茶化す意味ではなく、寮の抜け出しでワンアウト。フェンスを乗り越えて侵入することでツーアウト。無免許なのに使用許可のない車を、鍵の場所が分かるからと使ったこと自体でスリーアウトです。本人達の問題です。学校の管理責任者を問うのではなくて、完全に警察が対処すべに範疇のトラブルです。



 登下校時や、下校後の過ごし方における子ども達のトラブルも学校の問題ではないと思っています。


 スクールゾーンを設定しても、全てのお子さんがいる家に繋がる道がスクールゾーンになるわけではない。そこに危険箇所があったとしても、それは市町村が定めているものです。学校の範疇ではないです。


 よく「おたくに通っている子どもが石を投げて(蹴って)車に傷がついた!」とクレームが入ります。それは器物損壊なので警察に問い合わせてくださいと言いたいです。類似する事案として、登下校の道にある駐車場で石を蹴っていた、紙を燃やしていた。飛び出してきた。などなど。


 もちろん生徒指導として、〜ということはいけないことなんだよ。〜ということになるからね。という話はしています。でも、全部警察が介入すべき事案であって、その責任をとるのもまた保護者の方になります。学校にはそこまで介入できませんし、責任を負う必要もないのです。車や家屋を傷つけられたら、その捜査を行って処罰を検討し、対応するのは警察なんです。損害が出た時に損害賠償金を払うのも保護者の務めであって、学校はただ、「だめなんだよ。」としか言えないです。なのに、真っ先に学校を訴える人がどれだけ多いことか。


 ※追記

 ライントラブルもよく小学校に持ち込まれます。でも、通常、ラインは年齢制限があるので使えないはず。なのに生じているか。それ以外のメッセージやSNSによるトラブルも、買い与えた保護者の方が適切な設定をして、管理していたら起こり得ません。


 小学校で指導する道徳のメディアリテラシーの範囲だと、「お手紙のやりとりで行き違いが生まれてしまうよ」とか、そんな内容です。アプリやSNSでのトラブル対応は、校外の出来事。そこに学校が介入するのはおかしいですし、そもそもトラブルに自分で対応できない被保護者が使っていいものではありません。キッズケータイで、保護者の方とだけやり取りができ、GPSで居場所の管理ができるというものだけで良いです。それならトラブルは起きません。


 「トラブルを未然に防ぐ」のもまた、保護者の方の努めではないでしょうか。学校で夜な夜な保護者の方達の要望に合わせて会議を開くことがおかしい現状となっています。


 そして、お子さんの髪染めとネイル。これもまた、やめた方が良いです。最近は染めたり、ネイルで遊んだりするお子さんが増えています。


 「見た目が悪いから」というのもひとつありますが、一番の理由としては「成長期にある身体に害ある薬剤を塗布するのは将来ハゲたり指が変形したりしますよ。」ということです。美容師さんにも聞いて、確認しました。


 成長し切った大人がやるのと、成長期のお子さんがやるのとでは、全然違います。将来、お子さんがハゲに悩んでいいのでしょうか。爪が傷んで変形していいのでしょうか。そもそも学校生活のなかで爪は短くするように指導しています。ドッジボールや鬼ごっこなど、遊びや体育のなかで接触する機会が多い。そこで爪が伸びていると、他のお子さんに引っかき傷をつけてしまいます。眼球といった繊細な部分だと失明させてしまいます。そういうトラブルを未然に防ぐために、「かわいいから」というだけの理由でそんなこと、させないでほしいと思います。ちりちりパーマに悩んでいるお子さんに、縮毛矯正してあげるのは、悩みの解消になるからアリとは思っていますけども。



 ともあれ言いたいことは、「学校は責任を負える範囲と無理なことがある」ということです。その無理なことは、全て成人するまでは保護者の方の責任となります。だから、家庭でも「学校に任せっぱなしにしないで、外出したときに〜したら〜ということになるからね。」という生活態度の家庭教育をして、保護者の方が手本となってほしい。と思っています。損をしたり、取り返しのつかないことになるのはお子さんだけではなく、保護者の方も一蓮托生なのですから。



2.部活指導はイヤイヤ。


 前回も部活指導について少し触れましたが、部活の顧問をやりたがっている人は全体の一割〜二割。それ以外は「業務命令」で、主に若手の男女に割り振られています。これも校務分掌扱いされている(学校によって違う可能性あり)ため、他の現場に必須な部署である校務分掌は他の人へと皺寄せがきます。


 部活があることによる教員のデメリットは色々とあり、「学年作業に従事できない」というもの。放課後の16時ごろから部活指導に赴くのです。前回、休憩時間が「給食」と「放課後」に割り当てられていると語りましたが、「放課後」で15分の休憩が割り当てられます。指導者は休めない。そして、定時まで残りの30分で沢山の業務をこなし切れるかと言えば、ありえない。会議が入れば1時間なんて余裕で話し合うわけです。学校の全体会議に学年会議が週に一回ずつ。学年主任等の役職(手当てはほぼなしといっていいし、校務分掌の主任はゼロ)者も週一会議。部活指導者が学年内にいれば、学年で行う仕事を、それ以外の人たちでこなす。小規模校だった時は、2人でせっせと掲示物作成や研究の指導案作りや学年行事計画など行っていたものです。それ以外にも各クラスで保護者連絡、子どものための教材作りや準備、対応に苦慮していることへの管理職との相談、あとはマジなんとかしてっていう校務分掌の仕事や、やたら増えていくアンケート回答などがあります。


 指導者はそれを勤務時間内に行う時間もないわけですから、当然、夜遅くまで居残りになります。


 土日も長期休暇も朝の時間も潰れる指導者になりたいと思う人って、ほんとに少ないんです。だって、誰もが自分を労り、家庭を顧みたい人たちですから。ここに教員の人権はないのです。


 そこで「指導が下手」と言われても「だってそりゃやったことない競技だもの」です。「指導がおろそか」と言われても「日中学級の対応していて元気いっぱいな体力お化けはどれだけいるのか」と言う話です。


 地域移行が進んでいるところも、わずかばかりあります。でも、わずか。


 指導時間しか実働時間にならないので、月の活動表や遠征準備や資料作成の時間も時間外。


 私も部活動をサポート要員としてだけ受け持ったことはありますが、朝四時〜夕方六時解散の長時間遠征で、お子さんが怪我なく無事に大会に出場できるように引率しなければならないことが大変だった思い出があります。


 「子どものためにも部活がないと!」と仰る保護者の方も多いでしょう。でも、習い事より格安でさまざまな体験ができる裏には、こういった犠牲があります。


 私の夫も、今は精神疾患で不安定になりがちだからと控えめにしてくれていますが、少年野球コーチをしています。でも、それは本人がやりたくてやっているから、ボランティア。タダです。そこで何か怪我や事故が起きたら誰が責任取るんだろう。と思っています。学校での部活指導も同じです。トラブルが起きた時、やはり責任を負うことになる。格安で働かされているのに。


 地域移行が進まないのは、高い時給を払わなくては人が集まらないから。という理由を聞きました。じゃあ教員なら、高校生のお小遣いレベルの手当てで全責任を負わせて、仕事にも支障を出して良いのかと思うんです。指導する教員がいなくなれば、その分だけ現場に人手が増えるということにも繋がるのです。


 一部の「やり続けたい」を評価する文科省もどうかと思います。評価されるのは、いつもそういう部活指導者。我々が滞りなくいじめ問題も起こさずに学級運営したところで、評価してくれる人なんて、そんなにいないんです。


 もっと部活動で疲弊している教員がいて、部活動によって皺寄せがきている教員がいることにも目を向けてほしい。そう思います。



3.どんな保護者が神か。


 たくさんの教育論を語る著書はありますので、どういう声掛けや家庭指導がよいとか具体的には言いません。


 ただ、いまからすぐに実行できる、具体的な方法はひとつ。


 提出物を期日までに提出できる保護者の方。


 そういう方が神様です。


 家事もして、子育てもして、共働きなら仕事もして。そんなの、私からすると「ぜったいむりむりむり」と思うような奇跡的なことをしてくださっています。


 だから、私は「子育てしている保護者の方はえらすぎる。」と思っています。


 その上で、かつ、学校から要望される提出書類の数々を、期日までに内容に不備なく提出してくれるというのは、仕事を円滑に進めるためにも有難いことなのです。


 書類が提出されていないと、


 「やばい。(私が)(子どもが)渡しそびれたのかな。」

 「紛失してたら書類をひっくり返して探してコピーして渡して再度提出お願いしなきゃ。」

 「出したって子どもが言ってるけど、まじで? 私が紛失したの?? やばすぎる。(たいてい子どもの勘違いだけど、胸がバクバクするほど焦る)」

 「あ〜! 早く上に提出しなきゃなのに、揃ってないよー!!」

 「連絡つかないよ、どうしよう〜。」


 といったことになっています。


 なので、多忙ななか、提出物を期日までに不足なく提出してくださる保護者の方は「神」なのです。


 たまに「はい」「いいえ」に丸をつけ忘れて名前だけとか、今時古いな〜でも子どもが勝手に出したわけじゃないって証拠だから仕方ないんだけど印鑑押してないと電話で確認取らなきゃなんだよな〜と、電話連絡する時間も取られます。保護者の方も時間がもったいないです。そういう意味で、「不足なく」です。


 意外に思われたかもしれませんが、提出物は精神を左右されるものなので、これを全うしてくださると、ほんとうに有難い。


 私なんて、子どももいないし、平日の家事なんてまともにしていないし、食事だってろくに用意していない。なのに、保護者の方々は、子どものためにがんばっていらっしゃる。


 だから、教員としての悲鳴はたくさんあげてきましたが、保護者の方を責めるつもりはないです。ただ、認識不足が誤解を招いていることも多いなと感じたので、こういった記事を書かせていただきました。


 いつもありがとうございます。子育てについて、教員目線、自分が子どもだったときのことも含めて「幸せな大人になる」ための家庭内指導について、また今度記事にできたらいいなと思っています。



 ちなみに、ブログに掲載しているトピックのワークシート。これらは、学力が平均的。やや難あり。なお子さんに適したものです。こういったものは、大型書店の教員用の棚でなければおいてありません。発達障害と銘打たれていても、私は「全人類発達障害説」者で、大学まで出て教員もやって、自分でいうのもなんですがわりと(全員とは絶対に言えない)満足度の高い学級経営ができていました。それでも、おそらく数的処理に難ありで、算数が今でも苦手です。とりあえず、どんな子でも読書好きになればある程度なんとかなるとも思っていますが、そこからレベルアップするには、こういうワークシートを初級から毎日1ページずつ取り組む(難易度が低いからどんな子も達成感を味わえる)と、あら不思議なぜかテストで良い点数取るようになったわ。となりますので、おすすめです。


 オンラインでは普通に売っていますが、内容を見たい方は該当する書店に赴いてみてください。紹介しているもの以外にも、いろいろとありますので。



 では、ここまで読んでくださり、ありがとうございました。決して保護者批判のつもりではありません。教育現場と教員の窮状を訴えることが意図の記事ですので、ご承知おきください。