体調不良をおして、なんとかデイケアに参加しました。
なんやかんやで色々な悩みを抱え、私より更に進んだ認知行動療法のプログラムを受けた人たちのアドバイスは、同じ目線での言葉だから飲み込みやすい。
私が一番心許しているのがタバコミュニケーションできる「タバコさん」と、たぶん苦手意識かちょっと嫌われているぽいけど、大人の対応してくれている(タバコさんは「そんなことないってー。そうだったら資格さんはすぐに言うよー。」とは言ってくれているけれど、なんとなく距離感を覚えている。そういう人とも上手く付き合うのが訓練、と思って、自分なりにどういうふうにしたら波風立たずにいけるか考えて接している。)いつも資格取得のための勉強をがんばっている「資格さん」。どちらもADHDの女性。
タバコさんは年下で、資格さんは年上。
ダウナー状態で、デイケアに登場した私に「おおどうした。やばいな。」と声をかけられつつ、いつもつるんでいる場所で腰を下ろして、「話を聞いて欲しいんです。」と愚痴スタート。
タバコさんはADHDの多動・衝動性が強いために、話を途中で遮るクセがあるのですが、私の長ったらしい愚痴の最中に、その気配があると資格さんが「まず最後まで聞こう。」と制してくれて、最後まで話し切ったら、「なんだその教員〜! ルパンなんてカッコいいあだ名つけなくていいよ! ただの盗っ人ババアだよ!」と声を揃えて賛同してくれました。
タバコさんには、「次の段階のプログラムに参加できるようになると、ストレス対処の訓練がある。けっこう効果的だよ。通院日と被ってるみたいだし、そこは月一にできないかとか、交渉してみたら? 通院もストレスたまるじゃん。私はストレスが溜まるから、通院回数を月一に減らしてもらったよ。」とアドバイスを受けました。
資格さんには他の双極性障害で、全員かはどうか分からないけれど、女性陣からは嫌われている「おしゃべりさん」というおじさんが、自習時間中にペラペラ喋っていて「うるせー。」とキレていたので、「あまり陰口とか、よくないと思ってタバコさんにしか『苦手です』って言ってなかったですけど、私、あの人好きじゃないです。グループワークとか、同じグループだけど、制限時間も無視して人の三倍喋るから。」「あっ。そうなん!? あの人好きな人、いるかー? まあ、こういう場所だから、表立って軋轢生もうとする人はいないと思うけど、私はカチンときたら言っちゃうからさ。あと3分うるさかったら、言いに行くわ。」「えっ。なんて言うんですか?」「『おしゃべりさん、しーっ』って。あの人も、自分が躁状態なると止まらないってのは自覚しているけど、止まらないんだよねー。」「なるほど。短くさっと注意するんですね。あの方、なんか『なんでも俺に聞いてよ。』とか、初めて参加した日に昼ごはん食べていたら、根掘り葉掘り質問してくるから、食べながら喋りたくない私としては対応に苦慮するなって。」「あの人、私よりぜんぜん新参だよー。古参ぶってるけど、ずっとプログラムも進展しなくってさ。スタッフから『まだそこまでの段階じゃない』って止められていて、やっと最近、進んだくらいなのよ。」「へ〜。(なんで他人の内情まで知ってるんだろう・・・)」
と、愚痴を話し合うと、饒舌になっていた資格さんを見ると、やっぱり女性ってこういうのも仲間意識を高めるには必要悪だなーと思いました。これも勉強。
そして、私も双極性障害なので、「さっき愚痴ってたの、おしゃべり止まらないって特徴が出ちゃっていましたかね・・・。」と尋ねると、「あれは吐き出すべきことだから必要だよ。ストレス発散。止めて欲しいタイミングとかある?」と聞かれたので、
「おしゃべりさんみたいに、ハイテンションでペラペラ喋っていたら、『症状出てる』ってアドバイスしてくれると助かります。」と言えば、「オッケー。でも、そういうとこ今んとこないよ。」と言ってもらえました。
こうして特性のことを互いによくわかっていて、尊重している関係性がありがたいです。二人は特に私より古参で、認知行動療法プログラムも進んでいるから、アドバイスが的確なんですよね。お医者さんや精神保健福祉士さんのカウンセリングだと、同じ土台に立った意見ではないから、ちょっと反発心が生まれてしまうので。いわゆる「同じように悩んだことないのに何が分かる」的な感情が出ちゃうというか。もちろん、必要なアドバイスもたくさんあるんですけどね。専門知識があるし。
2人とも、一対一になると真剣な話やちょっぴりダークな話もするけれど、複数人になると明るく笑い飛ばしたり、冗談を言い合ったりするから、ADHDの人ってネアカだな〜と思いました。ASDは、生真面目正義感異常の冗談通じないタイプが多く、私がそうなので。もちろん、悩んでしんどい思いをしたからデイケアに通って、薬も飲んでいるんだけど、2人は「もう今すぐにでも社会復帰できるのでは??」と思うほど、しっかりしている。タバコさんは社交的で優しいし、資格さんは博識でバイタリティあるし。
私は全人類発達障害説(というか、私が読んだ発達障害の本にも同じこと書かれていた)を持論にしていますが、ちゃんと自覚をもっている人は意識して対応に気をつけてくれるから、たとえウッカリ特性が出てしまっても「あ、やっちゃった?」ってなるから、「分かるその気持ち」と共感できるんです。
先日、職場に赴いた際も、多くの人が「元気そうで良かった〜。」と声をかけてくれましたが、「違うんだよ、元気だったら休んでないんだよ。休みたくて休んだわけじゃないの。これ空元気なんだよ。」って、理解されていないことについてしんどい気分になりました。
けっこう、現場の教員は発達障害について勉強していない。だから、わかんないんだろうなあってことが多い。自分も、グレーゾーンなところが多少なりともあるだろうに。と、思うんです。
ちなみに夫もADHD気質だから、ADHD=ネアカ説は夫の様子を見ても感じています。毎日のように変な冗談を言ったり、抱っこ嫌いな猫を捕まえて「にゃんにゃんにゃにゃーん♩」とか色々歌いながら手を掴んでダンスさせたり、何かにつけて私の眼前でパンツを脱いで息子を見せつけて謎の冗談を言ってくるところがあります。
夫が「タバコを吸ったときに換気扇を消し忘れたら百円」という罰金制度ですが、1週間は気をつけていられたものの、以降は毎日一回はやらかすようになりました。私が指摘したらアウト扱いです。夫曰く、「マルチタスクができないんだよ。今は◯して、◯もしてたから。」と毎回言っているのですけど、それはADHDの忘れっぽいという特徴なのか、ASDのマルチタスク苦手という特徴なのか。
そしてデイケアに自分で買った本を置いてくれているスタッフさんがいるのですが、私はここで「shrink〜精神科医ヨワイ〜」を知り、「すごい分かる」と共感しつつ、勉強になりました。双極性障害を疑い、実際に主治医に相談して「うん、そうだよ。」とアッサリ言われて、そこから診断書にも双極性障害(正式名称は「双極感応障害」らしいです)も記載されるようになりました。
で、このスタッフさんが「メイさん、新しい本を買ってみたんだー。発達障害って明記されてないけど、発達障害で色々と悩んでいる人たちが出てくるものでね。ぜひ読んでみて。」と勧めてくれたので、時間がなかったから一巻の途中までちょろっと読んだところ「おお〜。心理描写がすごい!」となりました。それが「君と宇宙を歩くために」です。
主人公(ダブル主人公かな?)は男子校に通うヤンキーで、たぶんLDがあって、アルバイト先の仕事が覚えられずに仕事を転々としている。いつも虚勢を張って過ごしているけど、『なんでみんな一回で覚えられるんだ』と悩んでいる。そこに自閉症(ASD?)の男子が転校してくる。たぶんギフテッドで、宇宙のことに詳しくて話すと止まらない。古びたノートを持ち歩いていて、行動ルーティンや、対人で悩んだ時のことなどを綿密に記載して、なんとか社会に適応できるように努力している。でも、言動が『変』だから、いじめられたり、ノートはいつも捨てられたり隠されたりする被害にあってきていて、みんなからバカにされることがすごく辛いけれど、『泣いて良いのは家だけ』と決めている。
それを見たヤンキーは「俺も同じだ。分からないことが恥ずかしくて、誤魔化して逃げていた。こいつはこんなに努力して頑張ってんのに。」と共感して、バイト先の店員に「やり方教えてください! 分からなくなっちゃうから、メモがしたいです!」と、意を決して告げる。すると、やる気がなくて怖いやつと思っていた他のスタッフ達は、ぽかんとしつつ、店長が「じゃあ、マニュアルを使ってみるのはどうかな。」と言い出し、作成されたものを見ると仕事の手順が分かりやすくなっていて、他のスタッフも感心する。店長は「あの2人(陰でヤンキーをバカにしていたスタッフたち)もたまに間違えるんだよ。分からないと口に出して言う人がいないと、こんなふうに変わることができない。分からないって言うことは勇気がいることなんだよね(たしかこんな話をしていた)。」とヤンキーに感謝する。
と、いう感じ。他にも発達障害で悩む人が出てくるらしい。
これを夫に紹介すると、「俺も仕事でメモしまくってる。他の人はバカにしてるかもしんないけど、俺もすぐに何するかわかんなくなっちゃうから。このヤンキーにすごい共感したから、俺買うよ。」と、本を買ってくれました。アマゾンだから、今日明日届くはず。ラッキー。
発達障害とは自覚せず、けれどどうしたらいいのか分からない、みんなと違うことが恥ずかしいなど、心理描写がアツイので、オススメ。まだ全巻読んでないけど。2024年の漫画大賞らしいです。高額転売しているヤカラもいるから、興味をもった方はお気をつけて。