↑風呂場は怖いけれど、飼い主が入っていて心配で出待ちの2匹。


 夏休みも終わりに近づいている自治体も多いのではないでしょうか。ちなみに、長期休暇(夏+冬)は、合計日数が50日程になるようにしつつ、各自治体の気候に合わせた日数配分になっています。だから、北海道出身の私は、夏も冬も25日ずつ。こちらに来て、夏休みの長さと冬休みの短さに驚きました。夏休みはこれだけあっても足りないな、と思うくらい、熱中症警戒アラートに右往左往されてしまっていましたね。そして冷え性で、北国出身者だと私以外にも思う方がいると思うんですけど、こちらは冬仕様の建物じゃないので、底冷えやらが酷い。就学時検診に始まり、卒業式&入学式のような場ではスーツといったフォーマルだから、出来うる限りの防寒対策するけど、それでも辛い。授業中も、足元にパネルヒーター置きたいくらい。子供は風の子ってこういうことかあと感心しますが、こちらの方々は寒さに強いのか? と疑っています。

 話はタイトルに戻し、夏恒例の水泳授業。アレ、私はなくていいと思っています。

 理由は、まず導入時のねらいが果たせていない。というか、果たせない。

 むかしむかし、川で大量に子供達が水難に遭ったことがきっかけで、学校にプールを設置して水泳授業を行い、子供達を水難から守ろう。ってのが発祥だったと思うんですけれど。

 年に五回の水泳授業で、水難を予防できるようなレベルにすることなんて無理。

 レベル差はさまざまで、二十五メートルもすいすいの子もいれば、顔を水につけるだけでもダメな子がいる。

 そして、川や海での水難って、プロの水泳選手でも耐えられるものではない。と、実証動画を見て、やっぱりなと思いました。流れる川に抗って泳いだり、浮いたりなんてできないです。

 それよりも、今はライフジャケットもあるし、手首につける、スイッチポンで浮き輪になるグッズを開発しているそうです。海や川遊びするなら、そういうグッズで対策すべき。必要なのは、泳ぎ方なんかじゃない。

 水泳は健康に良いから、コンスタンスに通える習い事で賄った方がいい。場所によっては、送迎バスを出しているところもあるし。

 顔を水につけられない子が短い授業の中で泳げるようになるまでなるわけなんかないし、水泳が好きな子嫌いな子は変わらない。

 それよりも、デメリットの方が大きすぎる。

 ニュースでも度々取り沙汰されているように、水出しっぱなし問題。古い設備なもんだから、それを取り扱うのって、すっごく難しいんです。それも年に数回だし。

 放課後に教員でプールを清掃して、設備の使い方などをレクチャーしてもらい(それでもちんぷんかんぷん)、子供たちが安全に水泳授業を受けられるように配慮した授業計画を練る。スピーカー使って近所迷惑になりつつ、子供達に指示を出す人、全体監視する人、水質検査する人などと手分けしたあとは、身体の汚れ落としで「地獄のシャワー」とか名付けられるシャワーで身体を洗わせる。大声で指示を出すから疲れる。水質検査でも、ph値が基準に満たなければ、でっかい灯油タンクのような入れ物から直接塩素をぶちまける。重過ぎて扱い辛いし、跳ね返りで目に入って失明するかと思ったこともあった。

 子供たちを並ばせて、見学者はテント下で静かに見学するように指示を出して、水分補給の指示を出して熱中症対策。

 全体を水慣れさせてから、レベル別に教員がついて、指導する。A B Cとか、難易度が露骨に分かるのは可哀想だからと、ペンギンチームとか、イルカチームとか、ジンベエザメチームとか。そういう可愛い名付けして。

 で、給食や次の学年が使う時間に間に合うように引き上げなければならないから、水に浸かる時間はそこまで取れない。

 そんなことまでして、最終的に一応、成績づけで泳がせるけれど、進歩は見られない。

 それよりも、安全に気を配ったり、暑い中我々も大声を出して疲労したり、難易度の低いチームでは一緒に水に入って手ずから指導する。

 子供たちがワイワイと着替える際にトラブルが発生しないかも懸念する時間帯だけど、我々も水着に着替えなければならないから、監視できない。それに、毎年必ずパンツの落とし物があるというオマケつき。

 水泳した後は、教員も子供も気だるくて疲労困憊の集中力激落ち状態で午後の授業を行う。眠気との戦い。

 午後にあったらあったで、放課後の仕事が手につかない。

 水泳が好きな子にとっては楽しみかもしれないけれど、そうではない子にとって辛い時間なわけで。

 そして、プールカード忘れ等で水に入れなくて、「それぐらい、入れさせてくださいよ!」と保護者の方に言われることにビクビクしてしまう。機能不全家庭だと、「これあからさまに子供が書いたよな・・・?」という内容。

 プールの必要性は、その他にも、火災発生時に水を汲み上げるということにも使われるそうですが、あんなこきたない水を使うの? 虫だらけだよ? と思うし、そもそもプールから校舎が離れているパターンもあるし。

 つまり、労力に見合っていないんです。安全性や、技術取得なんかが。

 場合によっては輪番で夏休み中も水泳指導することもあるし。

 それに、今年はその水泳授業で溺れてしまったお子さんもいる。

 学年に合わせて注水、排水して水の高さ調節はするけれど、それでも溺れるという不安要素があるし、水出しっぱなし問題は毎年発生しているけれど、これを学校の職員に負担させるところが社会的に終わっている。会社でも、何か紛失&破損させたら、賠償金は規定の金額までってなっているのに。全額払わせるところの多いこと。

 あんな古びたよう分からん設備で、万全の体制でやれるかなんて、そりゃ無理っしょ。って話で。

 ここにお金使うなら、別のところに使いましょうよ。一番の目的であったはずの、水難事故に対応するという目的は、座学とグッズ紹介(もしくは配付)で十分じゃないの。

 水泳で一番危険があるのは、レジャー施設で家族で遊んでいる時であって。溺れる時はびっくりするほど静かに溺れてしまうってことや、だから対策のためにこういう道具が必要ですし、監視の目は常に向けていてくださいねって周知で十分だと思うんです。

 水泳をわざわざ学校でやる意義は全く感じられない。保護者の方も、道具の用意だのなんだのでピリピリするだろうし。うっかり忘れがあって入れられなかったら罪悪感覚えさせてしまうわけじゃないですか。こちらとしても、「なんで日焼け止めがダメなのか(水が汚れるから)」「ラッシュガードはフード付きはダメです(大人数で入るから引っかかって事故に繋がる)」とか、色々なことへの回答に苦慮するんです。

 教員も、子供も、保護者も、誰も得をしない。それが水泳授業だと思っています。水に金かけている暇があったら、水難防止グッズ配付に変えようよ。ってことですね。いつまでも古い慣習に縛られていないで、現実的な指導に切り替えましょうよ。

 と、私は思うわけです。