人と人は相性がある。教員と子供でもそう。子供同士もそう。という趣旨の話は必ず毎年するくらい、自分も子供達にも大切にしてほしい価値観だと思っています。

 私の同期は、私と比較するとですが、優しげではきはきしているタイプ。私はテンションの上がり下がりがある(良い風に言えばメリハリがある)タイプかつ、平常時はダウナー系。声も電話口で必ずと言っていいほど男性と間違えられるほどの低さ。第一印象は「怖い」です。保護者の間では「厳しい」とのウワサ。(長年今の勤務校に勤めていたので、あけすけタイプの兄弟を受け持つこともあるような保護者の方から「いや〜厳しいメイ先生で良かったですよ! バシバシやっちゃってください!」と言われたり。または、「またメイ先生で安心しました〜。子供もそう言ってるんですよ〜。」と言ってもらえることもある。持ち上がりのパターンもけっこうあったりしたので。まあ、面と向かって悪評を突きつけてくる人はいないよね。

 で、厳しいと言われる所以は、危険行為や人を傷つけるような言動をした子にはガッツリ説教する。走っている子供を見つけたら、同学年なら「炭治郎ー!! 止まれ!」「何してんの。誰かとぶつかったりしたらどうなるの? 傷つけたり傷ついたり、場合によっては命にかかわるでしょ。そんなこと絶対にダメです。2度としないで。」といった感じ。別学年のよく知らないお子さんは、ぶつかったりすれ違いざまに確保し、「何年何組なになにさん? いま、先生のお腹に赤ちゃんがいたとしたら、どうなっていたと思いますか? 赤ちゃん、死んじゃうかもしれないですよね。そして、あなたもぶつかって、どこかに頭をぶつけていたら、死んじゃっていたかもしれないですね。そうなったら、悲しんだり、辛い思いをしたりするのは誰ですか? 自分やお家の人ですよね。わかりましたか? じゃあ、担任の先生のところまで一緒に行くから、自分でやっちゃったことをちゃんと伝えましょうね。」てな感じのことをしていました。

 という感じなのと、学級内の規律はビシビシさせるタイプ(ただ意識していたのは毎時間、「わ〜。みんなもう並んでるの!? すっごー。さすがうちのクラスだね! 先生の方が遅くてごめーん! 頼りになるわ〜。」と褒めていた。アメムチ。)だったから、子供からは「怖い(or厳しい)先生だと思っていたけど優しかった!」と評価されていました。

 そういうスタンスだったので、学級内では相性はあれど、荒れるってことはなかったです。爆弾魔みたいな子が何人もいるようなクラスを受け持った時でも、反抗期でぐちぐち言われることもありましたし、それがストレスで、帰宅してから「ぎゃーーー! しにてーーー!」と風呂で叫び、朝はえずいて体が出勤拒否(それでも休めないのが私の特性)状態だったこともありました。そんな学級でも、崩壊はしない。ただ、色々なトラブルを抱えているお子さんの対応にてんやわんやで、誤解から責められるも最終的には子供がウソんこついていたことを察して収まってくれていた。トラブル起こしていた子達も、丁寧に見やすいカード型色紙で一人一人作ってくれたりしていたし、トラブルの中心人物も「ごめんなさい。ありがとうございました。先生から学んで、面白かったことを書きます。」みたいな反省メッセージももらえた。というようなこともあった。

 まあ、だからなんとか昨年度までやっていけていたんですけれど、やっぱりすれ違いって起きがち。こちらがいくら真摯に向き合っていても。相性はある。私だって苦手だと思うお子さんもいるから。

 それでいうと、同期は万能受けしていると思っていたんです。人当たり良いし、私みたいなクセの強い相手とも上手く付き合ってくれるし、休憩時も話し込んだら止まらんのう〜という感じだったし。価値観なんかも似ていて、妊娠した際も、「子供や保護者に極力迷惑かけたくない」と考えて、産休よりも早めに年休や療養休暇といったできる限りの休みをフル活用して、休みに入ることで、講師がキリの良いタイミングで来られるよう考えていた。そういうところも私と価値観が一緒。

 仕事もていねいに取り組んでいたようだし、低学年も中学年も高学年もござれみたいなオールマイティなイメージ。私は病気になってからは、低学年がムリになってしまった。聴覚過敏や、早退癖?があるものだから、ある程度自立していて指導したらちゃんと静かになってくれる中〜高学年じゃないとムリ。専科も比較的だけど、たくさんつくし。(もっといるべきだと思いますけどね! 専門性高くて準備に時間かかったり色々な人がそれぞれ使うから何がどこにあるんだかわかりにくくなる理科とか、英語とか、GIGAスクール導入で未だにうまく授業展開できないICT専科とか!)それで合理的配慮をもらっていた。そしてその子は勉強熱心で、「付き合いなんだけどさ〜。」と言いつつ、個人の研修にも参加していた。私は自学はするけど、人付き合いが苦手だからそういうのムリ。校務分掌でも重要なものを託されていて、「いや〜。同期なのにどんどん水をあけられちゃうなー。仕方ないんだけどさー。」と思っていました。

 しかし、女子会(三十路超えているのにこの言葉はいかんとも思うけど、他の言い方がわからない。ママ友ではないし。)で、赤裸々とたくさんのトラブルがあったことを語っていました。でっかいトラブルがあったことは知っていたけれど、本人の口から語られるとは思っていなかったのでちょっと驚き。でも、それで知らなかった一面も知れて「エッ。そうだったの!?」となりました。それも、やっぱり誤解や、申し訳ないけれど、一癖ある保護者の方やお子さんに翻弄されてきたという。私なんかよりハードモードの道を歩んでいた。「それで鬱になったりしなかったの⁉️」と聞いたら、「いや実際、鬱っぽいって旦那にも言われたよ。ほんと大変だった。管理職からのフォローもなしに一方的にやられていたから、教育委員会にも『校長にこのような仕打ちをされているのですが』って話もしたし、たらい回しで都道府県の方にも報告したけどなんにもならなかったしね。ぶっちゃけ、育休明けが怖い。教員辞めたいもん。」と鬱々と語っていました。

 他人のエピソードなので詳しくは語れませんが、たくさんのエピソードがある中でもビックリだったのが、「保護者の方に面と向かって個人面談で『あなたが怖くて子供も嫌がっているんですけど。』とヒステリックに言われた。」というもの。上記の通り、同期は私よりずっと人当たりが良い。もちろん、教員も人間だし、長い時間共にする上でずーーーっとニコニコなんてしていられない。というか、それだと指導にならず、子供になめられてしまって、学級崩壊させている人も見てきました。だから表情とか声色とか使い分けるのは教員の必要なスキルだと思っています。それなのに、そこまで言われるか・・・? 私なんて叱り方がアレだぞ?? それでなんか言われたことはないんですけども。またビックリしたのが、受け持ったお子さんが被っていることもあって、私はそのお子さんに対して散々「何してんの伊之助! そりゃダメでしょ! 危ないって!!」とか、キツめに叱ることがあったんです。声も低いから怖いだろう。しかし、同期とも同じ認識なのが、その当該児童はADHDぽいところがあって、衝動的な言動が多いこと。それ故に危険行為も多くて、制止するために声を張り上げて叱っていました。

 ただ、私は知らなかったのですが、それは保護者の方も同じだそうで。私が見つけた瞬間にガミガミするタイプなら、同期は辛抱強く何度も諭すけれど、それでも聞かなければ強めに叱る。それなのに、「同期先生怖い」となって、学校に行きたくないと言い出して、保護者から「どうしてくれるんですか!? うちの子が怖がっているじゃないの!!」とクレームを入れられたこと。私よりまっとうに叱っているのに・・・。(念のため言いますが、他人のエピソードでもあるのでフェイクを入れてぼかしているところがあります。)

 他にも数々のエピソードはあり、これまた私も受け持ったことのあるお子さんを受け持った際、「テストでわざと正解の答えをバツにされた。最低な先生。」と、なんと数年越しにクレームを入れられたこと。どういうこと?? だってテストって返却する際に、答え合わせプリントを回して、自分で確認作業させつつ間違いをお直しさせて、それでいて採点ミスがあればその場で担任に「先生〜。ここ間違ってますー。」と言いにくるものなんですが。当然、手作業で30人以上もばばばっと丸つけしていくから、そういうミスがあるのはよくあること。私もよくやる。持ってきた子のを「ごめんねー。ありがとー。記録直すね〜。」と言って採点を直します。

 同期ももちろんそうしていたのですが、具体的に話を聞いたら、(同期はすでに産休に入っていた時期で、事情聴取は管理職や当時の担任。そして結局、和解もできずに事後報告で校長から知らされたので、校長にも激怒。)「何のテストだったか忘れたけど、3回くらいあった。テストは捨ててもうない。」と。

 証拠もないのにそんなクレームをいまさら入れるの!? それについて保護者の方も「うちの子は同期先生にいじめられていた!」と訴えているし。

 なんなら私の方がミスの回数多かったんじゃないか? そういうのミスりやすいタイプだし。事務作業でもよくミスる。だからテスト配付時に確認作業の時間を与えているんだけども。

 テストなんて、年間何十枚やると思ってんの・・・。百パーミスなく採点できる人なんておらんよ。ベテラン先生でもムリ。私、昨年度は合理的配慮で、再任用のベテラン先生が午後サポート入ってくれていて、「授業でもテストでも何でもやるよ!」と言ってくれていたので、甘えてテストもお任せしていたけど。そのベテラン先生だってミスあったんだよ。

 私はADHD特性もある(衝動性優位だから、不注意型というよりも、何事もさっさとやりたいがために起きうるミス。日常生活や仕事で不注意することはあまりない。)から、ほんと、どちらかというと私の方が、その子を受け持っていた時にミスりまくっていたと思うのよな・・・。

 (改めて言いますが、他人のエピソードなので、けっこうなフェイク入れています。)

 他にも、誤解を受けてしまって「体罰だ!」と電話でヒステリックに怒鳴られながら言われたこともあるとのことで。ただ、そういうトラブルが起きるたびに校長(それぞれのエピソードでの校長は別人)に「それはうちの同期先生がよくなかったと思います。申し訳ありません。」と、庇ってもらえることが少なくて、校長職というのにも不信感強め。

 私はわりと校長先生みたいな立場の人になぜか可愛がられるというか期待されやすいタイプで、病気になる前も今もそうだったから「ええー。私が信頼していたあの校長もこの校長もそんなこと言ったの?」てな感じ。

 私がそういうクレームを受けにくいというか、まあ別にクレームがないわけではないんですけど。ただ、クレームみたいなこと入れてくるのって、別の学級のお子さんが比較的多いかな? という感じで。クレームなんだか要求なのかよくわかんない感じだったりで。クレームが来ても、最終的には誤解だったってことが多かったです。もちろん、私に非が多少あるなと言う時もあるけど。(百パー私の責任とは思っていないけれど、配慮足らんかったな。または、価値観の違いによるすれ違いみたいな。)「この保護者の方、癖強いなー。」と思っていても、私には「お世話になっています。本当に助かっています。」というスタンスでも、別の教員に対しては厳しかったりして。(他の同僚の方が危険行為している子達に対して、けっこうブチ切れながら「やめろ! あぶねーだろ!」と叫んでいるのを、お子さんを送りがてらに見て、『あの教員の言葉遣いはなんなんだ!』的なことを校長に直に連絡入れる方だった。言うなれば私も口汚いときあるから(三十路こえてだいぶマシになったけど。ど田舎出身だもんで。基本的に丁寧な口調を維持できるようになった。)、それならお子さん(聡明な子)から私が荒っぽいところあるって聞いておらんのかな? と思ってしまった。

 改めて同期との違いを考えてみると、同期は第一印象がいいんですよね。穏和かつ、テキパキはきはきしている感じ。頼り甲斐ある。だから、ちょっと厳しい指導とか、そういうことをしたときに悪い意味でのギャップが生まれちゃうのかなと。

 私は逆で、第一印象が悪いだけに、実際に指導が始まると「え、あんがい話通じるやん。」みたいに思われるのかな? みたいな。

 それに加えて、病気が進行して昨年度とその前の年はもうボロボロで、早退頻度も増えていたから、懇談会で「持病が沢山ありまして・・・年度末までは責任もってお子さんをお預かりしますが、早退することもあります。その際、お子さんに不利益がないよう、学校側からも配慮をいただいてますので、ご了承くださると助かります。」って事情を説明していたから、「病気の人に鞭打たれん」と学級の保護者の方々は特にそう思っていたんかなあと思います。

 あとは相性なのかね。やんちゃ系は構ってもらえるのが嬉しいタイプの子が多いし。女の子は規律が整っているのを好む子が多い。中庸的で、問題は起こさないけど消極的な子には「もっと積極的になろうぜ!」ってタイプだから、そっち系の子には苦手意識持たれていたかも。

 にしても、同期はマジ不憫・・・校長にも庇ってもらえないし、めっちゃがんばっているし気を配っているのに、ちょっとしたことで目をつけられやすいって。

 「もー。こんなトラブル起こす人なんだーって、他の先生方にも思われてるだろうってのが、ほんとストレスなんだよー!」と嘆いていて。ほんの気休めにしかならないでしょうが、「私はあんまり他の人と雑談しないタイプだから情報に疎いところあるけれど、同期さんの話があっても、責めたりする人の話は聞いたことないよー。むしろ私と同じで、なんで同期さんがそんなトラブルに巻き込まれているの? って雰囲気だったと思うよ。」と言っておきました。

 同期の話を聞いて、私もなんだかまた復帰するのが怖くなってきた・・・。こうして教員が減っていくのね・・・。


 念押しで言いますが、他人のエピソードだから、私が今まであったエピソードトークとは異なって、かなりフェイクを入れています。本質としては「同期は保護者の方や子供に誤解されたり、何故か嫌われてしまっていて攻撃されがちだった。」、という趣旨をお伝えしたかったものになりますゆえ、ご承知おきください。