休職中といえど、たまに職場に赴くことはあります。書類受け取りだったり、昨年度に返却忘れしていたものの共有物の扱いだったり、同僚のために差し入れだのお祝いだのしたり。

 その時々で元担任していた子達の近況を聞くこともあります。私が勤める学校には情緒学級がありますが、私が自閉症スペクトラムで、それに由来して自分で教材研究していたのもあって、特別支援学級の方から情報提供を求められたり、特別支援要素のある子について意見を求められたりすることもありました。

 なので、「⬜︎さん、今はこんな感じだよ〜。」とか教えてもらって、じゃあデイケアで教わったこの内容を適用してはいかがでしょう〜。なんて雑談もしています。

 また、普通に元担任だった子のことも教えてもらったりしますが、私のことを忘れないでいてくれている子が、「年度末に楽器演奏してくれたのをタブレットで撮影したやつ、メイ先生から消しといてって言われたけど、思い出深いから残してるんです!」と言ってたそうな。きまりだから消しといてくれぇ・・・。ちゃんと指導してないと思われる・・・。とも思ったけれど、嬉しくないと言われたらそうでもありませんね。私のことを好いていてくれたってのはやっぱり嬉しいことですし。


 と、前置きはここまで。

 今時は教員の立場が低く見られがちなので、「モンスターペアレント」と呼ばれがちな方が多くなったと言われていますが、正直、たまにそういう方とは出会います。しかし、お子さんに対してかなり盲目になってしまっていて、他の保護者の方々から苦情の上がるような子もいれば、自分に余裕がないからか性格の問題からか、かなり矛盾としたことを言ってくる方がいたりとか。

 前者の盲目になっている方は、まあまだ良いと思います。それだけお子さんのことを考えているのだから、上手く面談などでお話できたら、二人三脚で上手いことお子さんを伸ばすための努力を共に行うことができます。

 過去例としては、「うちの子、学習障害があるんじゃないでしょうか。」と、自分から発達障害を疑ってかかっていること。

 心配性が過ぎてそう感じとったのでしょうが、お子さんのために「何か検査とかできる機関があれば教えて欲しいです。」とまで自分から言い出して、お子さんのために動こうとする姿勢がたいへん好ましいと思いました。教員は直接、「発達障害が疑われます。」なんて言えないので。いくら自学していても、私は特別支援の免許取得をしていないですし(大学生時代に取得しておこうか悩んだ時、福祉で働いている友人から「メイは肩入れすると情が湧くタイプだから、仕事にするには向いてないと思う。」と言われて辞めました。実際、現場実習に行った際、体格が大きい子と体育館で遊んでいた際に、タックルを受けて『こんな現場だと、怪我しかねない・・・。』と思ったのもあります。)、専門家ではないので。

 しかしながら、その子は確かに少し学力が低い面は見られたものの、保護者の方の尽力もあってか、「言うほどかな・・・テストは漢字テスト含めても60点代くらいだし・・・。」と思い、「一応、こういった流れでウィスクという発達診断ができますよ。折れ線グラフになって、どういうところが弱いとか強いとかがわかります。それが極端に折れ幅が大きかったり、低かったりすることでIQや発達障害がわかります。けど、◯さんの場合は恐らくですが、今のお母様の支援でこれだけの成果を出せていますので、折れ線グラフの幅も極端になるとか、低すぎるような結果にはならないんじゃないかなーとは思います。あくまでも私の個人的な見解ですが。でも、どういう支援が効果的かが分かれば、もっと成績も伸ばしてあげられますので、ウィスクを受けること自体は良いと思いますよ。結果が出るまでの間、学級でできる支援としては〜」と相談に応えて、手続きの手伝いをし、検査結果が出る前に進級となったので結果はわかりませんでしたが、「メイ先生のおかげで、モヤモヤしていたことが分かりましたし、自分の子が他の子より劣っていると思って必死になってしまっていたけれど、余裕をもって見られるようになりました。」と感謝してもらえました。

 保護者の方も思い詰めていることがあるので、そういったことを明け透けに話してくれると、こちらとしても「その悩みに応えなくっちゃ!」と奮起できるので、一緒にがんばろうと思えます。その保護者の方は共働きでしたが、それだから目が行き届いていないのではと悩んでいたようですが、宿題や持ち物の様子を見ていれば「この家庭は子供のためにがんばっている」と分かりますので、だからこそこっちもちゃんと見てあげようって気にさせられますね。もちろん、そういった子だけではなく、悩みを秘めている子もいるから、子供たちと雑談したり悩みはないかと面談してスキンシップを取るように心掛けていますが。

 そして困るのが、冒頭で言っていたいわゆる「モンスターペアレント」の存在。自分の子可愛さとか、そんなんじゃなくって、性格故か忙しさ故か、ほんとうに「何言ってんだ??」と思うことを言う方が稀に存在します。

 例としてあげるなら、他の子のものを取っちゃった子。放課後の出来事でしたが、取られた子が「何度言ってもかえしてもらえない。」と訴えたので、本人たちと面談したところ、素直に「たしかに取ったまま返していない。返します。」と応えたので、「じゃあ、そうしてあげてね。でも、物のやり取りは学校のルールで禁止しているよね。こうして悲しかったり、モヤモヤしたりするようなことが起きたら、仲良くすることができなくなっちゃうからだよ。それがわかったならオッケー。でも、一応物のやり取りがあったことはお互いのお家に連絡しとくね。」と、子供同士の決着は簡単についたのですが、問題は保護者の方で・・・。取ったものがたいした価値があるものではないのですが、小さい子供からすると、何に価値があるかなんて価値観が大人からすると異なるのでわからない。でも、それが長じれば、本格的に物を盗むようなことになってしまうから、保護者の方に連絡するようにしています。

 そして連絡したら、「そんなもんのために連絡したわけ? あんた教員でしょ! 教員て勉強教える以外にも生徒指導も仕事のうちでしょ! そんなちっぽけなもんのために電話してくんな!」

 と、まあ・・・責めるように言ったわけでもなかったつもりもなく、あくまでも事実を伝達するために伝えたのですが、その『生徒指導』が生じる出来事が起きたから連絡したんですけどね・・・。

 なんでこんな矛盾したことを仰っているのか?? と疑問に思いつつ、まあ落ち着かせて、「普段は〜といったように、とても良いことしてくれています。ただ、今回のような、こういったことが助長してしまうと、お子さんが困ってしまうと心配したので、ご連絡させていただきました。お子さんも素直にしっかりと『自分のやっていたことが悪かった』と認めて自分から謝罪していましたので、そういった態度も良かったなと思いました。こうしたことがあったということだけ、ご承知おきください。」と伝え、最初はふんふんと鼻息荒かったのですが、褒めて宥めすかして、ようやく「まあ、わかりました。ありがとうございます。」と言ってもらえました。

 ・・・毎年、何かしらのクレームを入れると評判の方だったので、この時は私から電話した件以外で何かしら言われることはなかったことにほっとしたものの、こう、矛盾したことを言われると、「なんだかなー! 子供のためなんだけどなー!」って気持ちになります。

 お子さんのために周りが見えなくなってしまっての言動なら、まあ仕方ないっかって思えるんですけど、明らかに自分都合だったので、「いやいや・・・。子供のためを一緒に考えましょうよ・・・。」ってやるせなくなります。

 基本的には保護者の方は自分のお子さんのために盲目になっての言動か、ちゃんと俯瞰しているかのどちらかなのですが、たまーにこういった「子供のことを考えていない」というのを感じるような言動を見ると、いやーな気分になりますね。本来、保護者の方と担任は二人三脚で子供を育てるべきで、学校教育に放り投げて満足ではなくてでも、学校教育に不信(相性もあるから、どうしようもないときもあると思うけど)を抱いて無視するようなこともせずでいて欲しいなあと思います。

 まあ、たまにマジで「いやいや、それはお子さんが誤認してますよ!」と、あり得ない言動をとったと勘違いされて(低学年にありがち。子供は自分に都合の良いように記憶改竄してしまって、失敗したら担任のせいにしてしまうことがたまにある。高学年ではあんまりない。変な嘘をついたりすると矛盾からバレるので。)言いがかりつけられることもあるのですが。

 ま、ほんとに私から見ても「なんだコイツ?」と思うような教員がいるのも事実ですし、私も薬で感情をコントロールできていなかった時はキツイ態度をとってしまうこともあったので、偉そうなことは決して言えないです。学年主任や校長の言いなりで、自分としてはそれは子供のためにならんと思うようなこともしなくてはならなかったりしますし。

 保護者の方についても、基本、尊敬しています。私だったら子供を一人もまともに育てられない。今時は宿題で音読だの丸つけだの、工作の材料だのなんだのと用意してあげなければならないし。教員だから、「自分に子供がいたら〜してあげたいな〜。」なんて妄想することもありますが、自分の遺伝子を受け継いだ子なんて、不憫すぎる。夫のADHDなところとか、八方美人すぎて面倒を押し付けられてしんどい思いもさせたくない。

 と思うので、そもそも不妊症もありますし、治療して子供を産む気はないです。ぶっちゃけると、子供の高い声なんかも苦手。でも、成長するところを間近で見られるこの仕事にはやり甲斐がある。

 だから、教員志望の大学生が見てドン引くような教育書を買い集めて子供のためにと教材を私費で購入することも厭わない。

 まあ、私の問題点は、同僚と上手くいかないところ(オリジナリティーだし過ぎちゃう)とか、会議が苦手(聴覚過敏)とか、そういったところにあるので、いまはまだカウンセラー曰く「まだ心身の疲れが取れていない。ゆっくりと心身の調子を取り戻しましょう。」とのことなので、とにかくマイペースに毎日を過ごしていきたいと思います。