崩壊と言えるほどかは分かりませんが（一応、授業は滞りなく進められる状況だった）、初めて６年生を受け持った若手の時に、トンデモなクラス編成をされたことがきっかけで学級崩壊しました。
まず、その時所属していた学校では３クラスだったのですが、５年生を受け持ったら、異動などがない限りそのまま６年生に持ち上がることが多い（学級は解体して）という状況で、このチームで学年を持ち上がることが早々に決定していました。
で、私は一番発言権のない若手。そして調子の良い言動の多い中堅先生（戦犯）、消極的かつ幼い子を持つお母さん主任というチーム。
この時すでに、私はやりがい搾取というか、面倒ごとはなんでもメイ先生に任せちゃえ〜みたいな感じで、重たい校務分掌やら都道府県単位で主催しよる研修に参加させられたりで、かなり疲労困憊していました。
それでもなんとかやれていたのは、５年生で受け持っていたクラスが良い感じで、良い意味で手が掛からなかったからであって。トラブルもほぼなくて、素直で指示をよく聞く子たちが揃っていたからなんとな乗り越えていました。
が、問題は新学級編成時。どのクラスにどの子を入れるかなんて、操作しまくりのやりたい放題状態。
主任のクラスには前情報で盗癖もあるような子が転入してくるから、他の子は軽め（いわゆる手がかからない子）がいいな〜と言われ、中堅先生は「メイ先生ならコイツもイケるっしょ」と、自分がもともと受け持っていて、かなり手がかかる、今思えば自閉症スペクトラムのギフテッドぽい子を押し付けてこようとしたので、「いやいや、この子とは私、相性悪いと思います。ていうか他のメンツも、みんなやんちゃっ子じゃないですか。荷が重すぎます！」と拒否ったのですが、「面倒な子（言い方悪いけれどトラブル癖のある子）は私に押し付けて俺のクラスは面白いやつ集めて楽園にしよう〜」というのが透けて見えるやり方をされ、結局拒否し切れず、なんなら総合的に見て一番重いクラスにされました。これが地獄の始まり。
学級が始まってみると早々に、自閉症スペクトラム疑惑くん（Ａくん）が他の問題児（母親は理解があるけれど反抗期に手を焼いていて、かつちょっとLD入っているＢくんと、家庭環境が児童相談所案件にした方が良いのでは？と思うくらい子供に対する当たりが強くて学校で憂さ晴らししているCくん）を取り巻きにしつつ、（他にも問題児はいて、不思議ちゃんなＤくんとまさかの安牌だと思っていた引き続き受け持つ優等生Ｅちゃん）私いじめを始めたんですよね・・・もうやられたことなんか書き出して思い出すのも嫌なので書きませんが、他の児童を巻き込んで「メイ先生っておかしいよなぁ！ みんなぁ！？」みたいな風潮にされたんです。で、そうなったきっかけが安牌だと思っていたＥちゃんの言動がきっかけで。
Ｅちゃんは優等生でお受験もするような子だったんですけど、どうやらかなりストレスが溜まっていたようで。自作自演の窃盗騒ぎを起こすようになったんです。
自分の図工の作品がどこかへ行ってしまった、自分の持ち物がどこかへ行ってしまった、と何度もそんなことが起き、学級みんなで探すと、「なんでこんなとこに？」という感じで、倉庫なんかにあったりするんです。
で、それに対して父親ブチ切れ。
当時の校長がポンコツ（まじで。前校長からも注意喚起されていた。やる気だけ空回りして非常事態に弱い人的なことを教えられていた。ちなみに前校長と仲良しだった。）で、うまく対応できず、「学年全員集めろぉ！」という要求を呑んで、子供達の前で「お前たちの中にいる窃盗犯に言うが、やっていることは犯罪だぞ！ 犯人がわかったら警察に突き出すからな！ これでうちの子がどれだけ苦しんでいるか分かれ！」なんて怒鳴りつけてきて・・・。
で、まあこっちも黙って事態を見守るだけじゃないんで、知ってることないかなと匿名アンケート書かせたら、見事に犯人がわかっちゃったんですよね。Ｅちゃんの自作自演て。
移動教室の直前に、別の子に「なんだか今日は⚪︎⚪︎が盗まれるような気がする・・・。」とか自白とも言えることを呟いていたらしく。で、移動教室から戻ってきたら実際に⚪︎⚪︎がなかったと。
これをもってして本人と話し合いをしようとした（何かしら問題を抱えていて一連の事態を引き起こしているのは明白だから）のですが、ポンコツ校長からは「なかったことにしよう」的な対応を求められ、「えー。それじゃあＥちゃんが何に困ってストレス抱えてこんなことしてんだか分からずで（たぶん受験勉強がしんどかったんだろうけど）、ケアもできないじゃん。」と思ったのですが、まあ聞き入れてもらえず。
ただ、クラスで「一連の犯人はわかりました。でも、誰がやったとかは言いません。言ったら、その子がこれから学校生活を送る上で、『あんなことやった子なんだ』という目で見られてしまうからです。許してあげてください。」と、伝えたのですが、Ａくんがこれに納得せず。ＢくんCくん引き連れて「犯人分からないままじゃ納得いかねっすよ！ 俺ら犯罪者呼ばわりされたんすよ！？」と言われ、「（私だって言っちゃいてーよ！）先ほど言った通りです。これからそういうこともなくなるだろうし、本人なりにストレス発散でやっていたんだろうから、もう許してあげてください。」と心を無にしながら対応していたら「メイ先生なんか信用できねー！」とか言われて、「なあみんなぁ！ そうだろぉ！？」みたいな扇動を起こされて学級崩壊ですよ。といっても本当の学級崩壊の一歩手前というか、一部の児童vs私みたいな構図で、授業妨害は少し入る（茶々入れられたりツッコミ入れられたり）けど、脱走とかは特になく。まあ雰囲気は悪いねって感じでした。
ただ、私なりに彼らと向き合って対応していたので、「どういうことしたら彼らの心に響く授業になるかな」とか、夜遅くまで準備したり、身銭を削ったりして用意したり。それぞれの抱えるトラブルを何とかするにはどうしたら良いかなと考え、実行したり。
例えばＡくんは、以前にも語ったことがありますが、自閉症スペクトラムギフテッド疑惑のある子で、集団行動が苦手。校外学習では班で行動できずに単独行動してしまうので、私と手を繋いで（普段の言動からは思いもよらない受け入れ）見てまわりました。それに、算数の授業なんかでは、早く教科書の内容が終わった子向けの、中学受験レベル問題を出してみたり。すると、Ａくんは齧り付く勢いで解いて、「他にもなんかないの？」と催促することもありました。
ＢくんはDくんと仲良しで、面白い曲（身バレ防止のため伏せますが）を見つけてきて、道徳の授業で取り入れて「子供なりに親を想う気持ちが込められた曲で、ほんといいよね〜。」と紹介したら、「メイ先生、アレ流してよ。」「あれ朝の歌で歌いたい。」とか２人が特に気に入って要求されるようになって、学級歌みたいになりました。
Ｃくんは父親から暴力や暴言を受けているぽくて、でもADHD疑惑のある子なもんだから何かしらを壊してしまうことなんかもあったりして、保護者に報告せざるを得ない時があることが度々だったのですが、「父親が怖い。めちゃくちゃ怒られるから。」と訴えがあり、「私が学校でかなり叱ったから、お家ではこういうことがありましたといつ事実だけ伝えて、叱るのはこちらで行ったので事実把握だけに留めてください。ってな感じにするから。」と、一緒に彼の家まで行って、お父さんに頭を下げながら「私の監督不足でこういったことが起きてしまいました。本人にはキツく指導も行いましたので、お家では事実があったことだけ確認していただけたらと思います。指導はよく聞いて、よく反省もしています。なので、改めてお家で叱る必要はないと思いますので、どうぞよろしくおねがいします。」と頭を下げました。
というようなことがあったりして、卒業するまでの間にすこーーーしくらいは彼らとも信頼関係を構築できた・・・かなぁ？ と思いたいです。ちなみにＢくんとCくんはあと少しで卒業という時に、放課後遊んでてうっかり窓ガラスを破り、弁償沙汰を起こしました。もう庇いきれねぇや、と思いました。
そうこうして卒業式を迎えました我らがクラス。卒業式では退場の際に、全員が立ち上がった時、担任に向けて「⚪︎⚪︎先生、今までありがとうございました！」『ありがとうございました！！』とやるのが通例なんですけど、３組だった私たちのクラスはその言い出しっぺが決まっていなくて「誰やる？誰やる？」とぐだった状態から、なんとかＥちゃんが「メイ先生、今までありがとうございましたっ」『ありがとうございましたぁ』と、グダグダ状態で退場され、最後までなんて中途半端なんだ・・・。と思いました。
もうこの一年、ほんと適応障害となったきっかけと言わざるを得ない一年間でした。
朝はえづきまくって吐き気でトイレからなかなか出られないし、過敏性腸症候群になるし。不眠症（元からだけど）でしんどいし。
でもまあ、今でも何とか教員を続けられているのは、Ａくんからもらった最後のメッセージに救われた点が大きいです。
子供たちがせっせとハガキサイズのカードに寄せ書きして、それをファイリングしたものをプレゼントしてくれたのですが、色々な子たちが「大変だったと思うけどメイ先生で良かったと思っています」とか健気なことを書いてくれているのに対し、Ａくんは、
「メイ先生へ
ありがとうございました。いろいろ考えた結果この言葉が1番適していると思います。いろいろ問題を起こすぼく達を1年間みてくれてあれがとうございます。怒っているときもぼく達の変なしつもんに応えてくれてありがとうございます。先生にはとても感謝しています。ありがとうございました。Ａ」
とメッセージがあり、裏面には、私が教えた数学の面白問題を発展させたもの（四色問題みたいなやつ）を色紙でカラフルに作ってあり、「メイ先生が教えてくれた△です。」とありました。
他の子も好感度によって左右されるのか、内容はさまざまでしたが、Ａくんのメッセージを見て、「私が頑張ってきたことは無駄じゃなかった・・・。」と報われる思いを抱きました。なので、今も教員を続けられていると思っています。
ちなみにＥちゃんですが、両親に自白したみたいで、私が「犯人わかってんで〜」と匂わせてからはぴたりと自作自演の窃盗騒ぎを辞め、卒業式には保護者にも自白していたようで（辞めてから保護者はびっくりするほど何も言ってこなくなった）、父親から「色々とご迷惑をお掛けしました。」と言われました。
その色々なご迷惑について聞きたいところですなぁ〜〜〜！？ と思いましたが、ハレの日ですので、愛想笑いで「ご卒業おめでとうございます。」とだけいっておきました。
この一年以外はだいたい上手く学級運営できているので、自画自賛ですが、私が休んだ時に代わりに入ってくれる教員の方からも絶賛されるので、学級運営はこの時のこともあってなお磨かれた感があります。
もう二度とあんな思いはしたくねぇや・・・でも頑張れば頑張るほど子供は見返りをくれるもんなんだと思いながら、今日も教員を続けています。
