冬休みが明け、怒涛のような量の書類を処理したり、行事事を処理したりとせっせと働いております。昼を過ぎると夜の分の薬が抜けてぶるぶるとキーボードの上で跳びはねる指先。午後の授業はなるべく板書しないような内容にしてやり過ごしています。

 

 そんな今日この頃ですが、いよいよ月9ドラマの「ミステリと言う勿れ」が放送。超~~楽しみにしていたのですが、出勤があったので、録画して観ようと思ったらレコーダーの不具合で録画できず。見逃し配信を一週間限定で観られるてぃーばーというアプリをダウンロードして、もう3回も観ました。

 

 

 ~ここからネタバレあり~

 

 

 

 主人公の整(ととのう)は特徴的な天パでカレー作りとカレー好きな青年。同じ大学の陽キャで高3の同級生が近所の公園で刺殺されたということで、藪という刑事と池本という巡査から任意同行を求められて署に連れていかれます。

 

 そこで整と被害者が夜の公園で争っていた、という目撃情報が出ました。更には整の指紋がついた果物ナイフとそれを包んだコンビニのビニール袋も少し離れた場所でごみの分別にうるさいおばあさんの手により発見されます。そして家宅捜索までされ、部屋のノートパソコンに被害者から金を借りる借用書のテンプレートが出てきました。被害者自身も、イニシャルで書かれた金を貸した形跡のあるメモが見つかっています。

 

 沢山の物証が出てくる間、整は刑事たち一人一人に対して様々な哲学的な言葉を投げかけます。

 

 女性刑事で可愛がっていた猫を亡くしたばかりの、他の刑事たちに雑用ばかりさせられている風呂光という女性巡査は、環境になじめなくて退職するか悩んでいるところでした。そんな風呂光に対し、「猫が目を離した隙に亡くなったのは、風呂光のことが大好きだったから。猫の習性というのもあるけれど、大好きな飼い主だったから死に目を見せたくなかった。猫の矜持と思いやりだ。」「風呂光はおじさんの刑事たちに舐められないようにしなければならない。おじさん達は男のロマン至上主義という考えをもって、徒党を組んで悪事を働く。そこに女性が一人いると、途端にやりづらくなる。風呂光の存在意義は、そうしたおじさんを見張る役だ。」と言います。

 

 もうすぐで子供が産まれるという池本には、「奥さんとケンカしたんだろう。シャツにアイロンがかかっていない。」と指摘し、「俺だってゴミを捨てるくらいの手伝いをしているんだから感謝して欲しい。」と言い返すも、「ゴミ捨ては排水口のネットを換えてついでに掃除して、家中のゴミ箱からゴミを集めて、分別できていないものは分別して、ゴミ袋をセットし直してまとめる。ゴミ袋が少なくなればゴミ袋を買ってくる。そういう工程が面倒。ゴミ捨て場に持っていくだけはゴミ捨てではない。妊娠している奥さん、辛くないか。」と言い返され、言われたことを実践してみると、奥さんに泣きながら感謝され、それが嬉しく感じたと言います。

 

 一課の二番手である青砥に対しては、「顔を見て思い出した。昔冤罪事件を起こしてやり玉に挙げられた人だ。」と伝えると、「俺は今もあれは真犯人だったと思っている。真実は一つだけだ。」と言い返します。しかし「真実が一つなんてドラマみたいなこと言うなんて。AとBという人物がいたとする。階段ですれ違いざまにぶつかり、Bは落ちて怪我をした。Bは日頃Aにいじめられていたと主張し、Aはいじめているつもりはなくふざけていただけと主張する。どちらが正しいか。」と問います。青砥は「Bがいじめられていると思い込んでいるだけだろう。」と返しますが、「Aもふざけているだけというのは主観でしかない。ここで必要なのは神の目とも言えるCの存在で、一部始終を見ていた人物。そうでないと真実は分からない。だから真実というあやふやな言葉に踊らされる。警察がすべきことは、真実ではなく、BがAとぶつかって怪我をしたという事実を調べることだ。」と告げ、青砥も過去の事件を洗い直す気になりました。

 

 そして、自分がはめられそうになっていることに対して反抗すべく、風呂光や池本の協力を得ながら、「そういえば1年前に家の鍵を落とした。でもすぐに大学近くの交番に届けられていたから事なきを得たと思ったが、被害者を殺害したいと考えた人物が整を犯人に仕立て上げようと画策して、家から果物ナイフやビニール袋を盗んだり、借用書を用意したりしたのかもしれない。」と推察し、風呂光に調査の依頼をします。

 

 そうして調べた結果、真犯人は藪だということが分かりました。藪は刑事の仕事に命を懸けて、家族を顧みていませんでした。しかし3年前の夏に家族は轢き逃げに遭います。その時の犯人が今回の被害者だとみて、いざとなったら犯行計画を実施するつもりで被害者を夜に呼び出しました。被害者は権力者の息子だったため、「もうつきまとうな。金が欲しいならいくらでもやるよ。」と反論してきたため、殺傷したとのことでした。

 

 しかしながら、実際の轢き逃げ犯は整の推理から異なるものであったことが分かりました。被害者は陽キャラを繕っていましたが、部活の先輩に金を脅し取られており、金を貸したと思われるメモもそのものでした。その金を貸していた人の中に、車を貸していた人物もあり、その人物が轢き逃げ犯だったのです。被害者が殺害されたことを知り、怖くなって自首しようか考えていたところ、風呂光から事情聴取を受けて出頭してきたのでした。

 

 この時、整は藪に対し「復讐は楽しかったですか。息子さんと奥さんの死に目には立ち会わなかったくせに、刑事としての藪さんの代わりはいくらでもいるのに。それは刑事としてのやりがいと復讐は同じベクトルでやりがいがあることだったから。家族を顧みることに対してやりがいは見いだせなかった。」と言い、藪に掴みかかられます。それでも整は冷静に「自分は命を削って働いたこともないようなすねかじりの人間だが、子供だったころはある。今の自分は子供の立場でものを言っている。」と伝えました。

 

 整は「ネクタイはいつもえんじ色だ。ネクタイピンはトパーズ、蠍座ですね。奥さんのプレゼントですか。ウォーマーやはらまきをしていますね。古いものだ。奥さんはあなたの健康と安全を祈っていた。あなたはそういうことをしてあげましたか。奥さんの好きな花を仏壇に供えていますか。息子さんの好きな食べ物を仏壇に供えていますか。そもそも知っていますか。トパーズの語源には探し始めるというものがあるそうです。まずはそこから始めてみてはいかがでしょうか。」と伝えました。

 

 

 原作とは違い、登場する刑事が一人減っていたり、登場人物たちの立ち回り方が微妙に違っていたりするところはありましたが、殆ど原作と同じセリフ回しでしたね。漫画よりコメディ要素というか、雰囲気は減っていましたが、やはり面白いわあ~と思いました。主演が菅田将暉というのもヒットです。好きな俳優さんで、この人が出ているドラマや映画は面白いものが多い。「民王」とか「帝一の國」とか。

 

 原作では10巻まで出ていて、整が事件に巻き込まれる度に少しずつだけ明かされていく整の過去があるのですが、整はどうやら過去に父親(もしくは母親)から虐待を受けて育っていたようなんですね。でも帰省した際に父と話をしたとあるから父なのか母なのかどっちなのかな……と思っているところなんですが。

 

 とにかく、その伏線が1話目からばっちり描写されていて。青砥が事件解決後に「あいつ、まるで父親への恨み言を言っているようだったな。」という台詞だけではなく、藪に掴みかかられた際に、左の鎖骨に大きな傷跡が残っているんですよね。それもあってかどうかわかりませんが、ドラマの一話目では室内でもずっとマフラーを身に付けたままでした。原作漫画ではマフラーを外している時もあるんですけど、基本はマフラーを身に付けています。

 

 この過去の掘り下げがまだまだ不明なので、早く知りたいような……という気持ちもあります。また、一番最新刊の10巻は、けっこう複雑なお話だけど、それでも分かりやすいってのがなるほど流石田村由美先生と思いましたね。早く原作もドラマも続きが見たい、楽しみの一つです。