ここのところはお盆期間なので仕事が入っていないため(免許更新で憂鬱になっているけど)、遅寝遅起き読書昼寝という自堕落な日々が続いています。
しかもずっと家にこもりっきり(の方が今は正しいと思うけど)の私に「たまには外に出なよ」と夫がしつこく言うので、結果的に古本屋さんで最新号のBLEACH続編?に触発されて全巻購入他、軽く200冊近く本を買ってしまって「夏休み中に消化しきれるのか・・・まだ小説も新書も研究授業に向けた文献も山積みなのに・・・。」と不安になっています。ちなみにBLEACHは夫も「呪術廻戦みたい」と言って気に入って読みだしていますが、巻数の多さに慄いています。
仕事がないとほんと、薬の効果もあって日中の眠気がはんぱないです。帰宅してからも眠気で化粧したままバタンキューで起きたら晩御飯の時間。夫がカレー作ってくれました。
余談が過ぎましたが、やっぱり中山七里先生がイイわ~。と思った作品。小学館文庫。
~ここからネタバレ注意!~
毎回ネタバレが長すぎる詳細すぎると思うので、今回からはなるべく簡潔にしようと思います。
まず背表紙に書かれているあらすじから。
不祥事で番組存続の危機に陥った帝都テレビ「アフタヌーンJAPAN」。配属二年目の朝倉多香美は、里谷太一と起死回生のスクープを狙う。
そんな折、葛飾区で女子高生誘拐事件が発生。被害者は東良綾香、身代金は一億円。報道協定の下、警察を尾行した多香美は廃工場で顔を焼かれた綾香の遺体を目撃する。綾香がいじめられていたという証言で浮かぶ少年少女のグループ。主犯格の少女は小学生レイプ事件の犠牲者だった。
マスコミは被害者の不幸を娯楽にする怪物(セイレーン)なのかーー葛藤の中で多香美が辿り着く衝撃の真実とは。報道のタブーに切り込む緊迫のミステリー。
不祥事が3件(内一つは「切り裂きジャックの告白」という作品で無能管理官とアフタヌーンJAPAN報道部で犯人を煽った結果だと思われる」)相次ぎ、報道局はBPOの警告が入っており、かなりピリピリしていました。まだまだペーペーだけどアナウンサーにもなれそうな容貌の朝倉は先輩の里谷と事件を追うことになります。里谷は宮藤という刑事をよく知っており、優秀な宮藤の動きを追えば現場を掴めるなど、報道人としての立場や仕事の仕方をレクチャーしながら事件を追います。
そうして誘拐事件が殺人事件に発展してしまった瞬間を他局に先駆けて発見した朝倉でしたが、被害者の死体の有様が酷すぎて決定的な場面でシャッターも切れず、道端で嘔吐し、宮藤に「邪魔だ」と罵られる有様。
それでもと何とか被害者遺族の両親に「自分の妹も殺された」(いじめを苦にして自殺した妹がいた)という一言でインタビューに成功したり、綾香を仲田(過去にレイプ被害に遭った少女)がいじめていたということを同級生からインタビューで聞きつけ、そこから犯罪者グループと思しき連中が集まって何事か隠ぺいしようとしている話をスクープしたことで、報道局は沸き立って先駆けて報道してしまいます。
しかし、警察の発表は全く異なるものでした。それは別のライン友達と口論になり、殺害された工場跡地へ導かれ、そこで暴行を受けたという発表があったのです。
仲田たち男女グループは美人局をしており、事件当時も金稼ぎに勤しんでいたというアリバイがありました。しかしそれをアリバイにするわけにもいかず、沈黙を保っていたのですが、報道合戦で精神を追いやられた仲田は自殺未遂で入院することになりました。
またしても大誤報をやらかし、そして自分も妹をいじめたやつらと同じことをしているのではと報道精神に揺れる朝倉。しかしそんな朝倉に、宮藤は「まだ事件は終わっていない」と告げるのでした。
この失態によって、信頼する里谷は朝倉を「ただ見習いで連れ歩かせていただけ」とかばい、自分は下請けのバラエティに飛ばされてしまいました。里谷が不在の中で他局を追いかける形で報道を続ける朝倉は心細さを覚えつつも、宮藤のさりげない「事件は続いている。」という言葉から、真相究明に挑みます。
結果、真犯人は被害者の綾香の義父でした。義父は2年前に再婚したのですが、週に3日しか働かず、それ以外の日はパチンコしているかぐうたらしている体たらくでした。母親は仕事を掛け持ちして働きづめです。
暴行を受けた際、綾香は助けを求めて自宅電話にかけ、義父がその場に現れたのですが、「あんたなんかに助けられたくなかった! ろくに仕事もしないやつが!」というような暴言を放ち、プライドを傷つけられた義父は衝動的に首を絞め、工場跡地に残されていた希硫酸に顔を突っ込ませたのでした。
誘拐事件にしたてたのはLINEグループをしていた4人組の方であり、ぐったりしている綾香に怖れ、団地住まいで一億円も捻出できそうにない綾香の家に「娘は誘拐した」と、捜査を攪乱するために電話していたのでした。
そして、義父はパチンコ通いをしていた際に、いつも耳栓代わりにしていたパチンコ玉がポケットからなくなっていることに気付き、事件現場に落としてきてしまったのではないかと思い、深夜に現場の工場跡地へと赴いていたのでした。
それを朝倉は尾行していたのですが、義父に見つかり、暴行された挙句に首を絞殺されそうになったところで宮藤に助けられたのでした。
これで事件解決かと思いきや、真の黒幕は別にいました。
それは綾香の母親です。暴行を受けた際に、なん十件も母親に助けを求める電話を掛けていたのですが、明らかに非常事態を知らせるものなのに、「ロクな用じゃないだろう。」と突き放していたのです。
それは毎日働きづめで心身が疲れ切っており、綾香に対しても愛情を失っていたためでした。
報道の闇、少年少女の闇、家庭の闇を、この事件を通して見てきた朝倉は自分自身が被害者でもあるとして、真犯人の報道の先駆けの功労者となりました。
そして、朝倉は報道の残り5分間、朝倉の特別インタビューという形でとらせてもらった枠の間に、「報道人は謝罪だけは絶対にしてはならない。権力に屈したと見做される。」というタブーを破り、誤報で多くの人を傷つけてしまったことを謝罪するのでした。
全てが終わった後、宮藤と再会する朝倉。報道合戦の最中、さんざんな扱いをされつつも、最後には一応助けてくれた宮藤。そんな宮藤は、回りくどい言い方をしつつも、朝倉をお茶に誘うのでした。
いつもは本を開きながらストーリーを追う形で書いているのでもっと詳細になっていると思いますが、それでも長くなりましたね・・・。次はもうちょっと冗長にならないようにしたいです。
でも、2転3転する展開は流石! と思わざるを得ませんでした。最後の方は勢いがあり、母親の言い分も分からなくないけど・・・ゾっとするカンジでしたよね。
ちなみに最近の中山七里先生の作品は、最後の方に今までの作品の相関図が書かれているので、朝倉も「連続殺人鬼カエル男ふたたび」という作品に出演しています。読んだけどどういうカンジで出ていたかは覚えていなくて残念です・・・。宮藤はたびたび出てくるのですが、朝倉とその後イイ感じになったのかどうかとかも覚えていないので、そのへん知っている人がいたらぜひ教えて欲しいです。読み返す時間がないほどたくさん積ん読があるので・・・。
この本は池上彰さんが解説をしていて、中山七里先生もさすがだな~と思いました。
ただ、LINEでのつながりの希薄さとか、学校でのいじめとか、少年少女が平然と嘘をつくところとか、報道の闇とか、報道局そのものの実態とか、色々なものをたったの375ページに詰め込んでいたので、全部の描写があっさりしていたというか。深掘りできていたのは朝倉の心情かな、ってところで、もっとそれぞれの問題に踏み込んだ話だったら、もっとよかったのになーと思いました。そんなこと言ってたらそれこそ小説じゃなくて新書の方になっちゃいますけどね。
ちなみに湊かなえ先生や真梨幸子先生の作品もここのところで何冊か読んでいたのですが、湊かなえ先生は「未来」などを読んだのですが、「告白」のようなエグさが欲しい。真梨幸子先生は毒々しさはイイけど、主人公にも他の登場人物にも感情移入できる点がぜんぜんないもんだから(そういう話だけど)、惜しいなー! と思ってネタバレレビューしませんでした。他にも中山七里先生の作品でもヒットしなかったものは書いていません。
次はヒットするかな~と期待しつつ、「能面検事」を先に読むか、「BLEACH」等の漫画に手をつけるか悩み中です。夏休みが終わったら、めちゃくちゃ忙しくなるので・・・こんなに本が読めるのも今だけですね。無念。

