GWも残すところ1日となりますね。昨日は本を大量購入しましたが、途中でBGM代わりに流していた映画の「いぬやしき」に目を奪われ、何度もリピートしたアニメ「呪術廻戦」に目を奪われたりして、読破するのにこんな時間になりました。全15巻。+公式ファンブック。

 

 実は出身地が北海道なので、地名やらキャラクター名やら方言やら登場する食品やらに「うわ~なつかし~。」という気持ちでいっぱいになりながら読み進めていました。

 

 私は農家や酪農家の子ではありませんでしたが、父がそれに関連する仕事をしていたので、馬やら牛やらには縁があるド田舎で育っており、特に放牧している馬に直接触れるようなポイントもご近所にあったので、久しぶりに郷愁を感じました。

 

 (けど実家嫌いだから帰らないしコロナがなくとも特別な用がない限り帰らない。遠出も嫌いだし。)

 (結婚する時ですら事前に両親に夫の顔見せをさせず、夫の挨拶→私の地元の役場で婚姻届け提出→北海道横断新婚旅行という流れ。)

 (結婚式も挙げていない。友達も少ないし、そこに金遣うより新居や家具の費用に充てたいし、自分の晴れ姿というものにも興味なしだった。)

 (ついでに言うと成人式も出るつもりなかったけれど母親が「どうしても。」と言うから渋々レンタル振袖で参加した。夜の元中学の友達との飲み会だけは普通に乗り気で参加した。)

 (そして夫の実家は結婚式を挙げて欲しがっていたけれど絶対に嫌だったので折衷案としてフォトウェディングだけした。ドレス選びも一番安いやつ。何故かお義母さんが立ち会いたいと言うので、ついでに3人で写真撮ってもらった。)

 

 と、私の思い出話はこのヘンにしといて、内容について。といっても、私の思い出話も絡みつつあらすじ紹介していきます。

 

 

~以下ネタバレ注意!~

 

 

 主人公は八軒 勇吾。メガネでインキ臭いカンジの男の子で、学力がえらく高いのですが受験失敗や父親の「学力至上主義」のお堅い考えからノイローゼになり、それを心配した中学校の恩師から勧められた大蝦夷農業高等学校(モデルは帯広農業高等学校)という、寮制の学校に入学することに。

 

 初日から大規模過ぎる敷地内で遭難しかけますが、馬に乗って現れた同級生の御影アキ(ヒロイン)に救出されます。

 

 そこから、農業高校なら学力で誰にも負けないから楽勝! と考えていたものの、農業高校は酪農や農作物などの専門知識の授業に特化しており、一般的な勉強は薄っぺらいもので、早くも挫折しかけます。

 

 それでも持ち前の集中力の高さで、テスト時においては各分野で100点近い点数を叩き出しますが、小さい頃から専門的に勉強してきた分野を持つ同級生たちに各分野の1位は奪われ、総合得点では1位でも不完全燃焼気味に。

 

 とりあえずと、全生徒入部制(かつ体育部しかない)である問題に対しては、ヒロインの御影に一目ぼれしたアキを追って「馬術部」に入部。乗馬の楽しさや、馬(生き物)と向き合い、信頼することへの感動を持っていくようになります。

 

 八軒は「頼まれごと」に弱く、持ち前の頭の良さから、学内で様々な企画を立ち上げては実施するようになっていきます。生徒たちだけで校内で得た畜産物や農作物を使ったピザ作りを考案したり、ソーセージ作りやらなんやらと。時にはそのために過労で倒れることもありました。

 

 過労で倒れた時には、入退院の手続きのためにやってきた両親を前に緊張と不安を露わにし、実際、父親からは「ムダなことをしている。」的な言葉を投げられて落ち込むことも。

 

 それに、実家が酪農家だったり、農家だったりする生徒が殆どの中、友達でありアキの幼馴染である駒場の実家が運営していた酪農が「離農(倒産)」することになり、退学。仲間が去ることで、いかに酪農家や農家の経営が問題に満ちているかを間近に感じ取ります。

 

 そんななか、アキの実家も酪農家で、駒場の家の保証人になっていたため、更に経済的な問題を身近に感じる八軒。

 

 アキは一人娘で、家族、親戚も「アキが継ぐ」と信じて疑っていなかったのですが、アキは馬が大好きで、ばんえい競馬で働くことを夢見ていました。

 

 それを八軒に後押しされ、家族に打ち明け、家族の理解も得ました。

 

 しかし、そのためには大蝦夷畜産大学に進学することが必要になりました。アキは学力が低く、お手上げ状態です。そこに、「後押ししたのは自分だから、自分にも責任がある。だから自分が勉強を教えて合格させる。」と、八軒が申し出て、アキの父親からは「手を出すなよ。」と威圧的に言われるも、了承されました。

 

 アキは勉強の呑み込みが悪かったのですが、八軒が馬が関わってくるエピソードで歴史を教えたり、東大現役合格していた(自主退学して放浪し、いきなりロシア人の嫁をもらうなど破天荒な兄)兄の、「勉強の仕方さえわかれば何とかなる。」という言葉から、兄が作っておいてあった勉強方法を使ってアキの成績を急上昇させていき、ついには推薦試験を受けられるまでに成績を上げさせてやりました。

 

 そして、八軒の進路はというと、「企業」。様々なものを見てきて、個性的な友人たちのそれぞれの夢や現実を見てきて、「夢を否定しない人になる。」という結論を持ち、ちゃらんぽらんだけど手先は器用でフットワークの軽い先輩を社長に据え、学生副社長となって養豚の酪農を始めることにしました。

 

 そのために、父親に「投資してほしい。」と向き合う覚悟を決めて企画を持ち込む八軒。最初の企画書はさんざんな言われようでしたが、あきらめずに将来経営者となって実家の酪農園さえも乗っ取る気のタマコ(痩せたら超美人なのにあえて体力のために太っている人)に相談し、企画書を作り続けましたが、どれも突っぱねられます。

 

 しかし、父もただ「学力至上主義」の思想で突っぱねていたわけではなく、本当は「本気には本気で返す」という思想の人で、実際に学校に訪れて八軒の働きっぷりを見たり、それに周りが影響されていることを教員から教えてもらったり、現地ならではの料理に舌鼓を打ったりして感銘を受け、最後の方で分かりますが父の書斎には酪農関連の資料本が大量に収められていました。八軒の父親は「ヤ〇ザ」と勘違いされるほどの強面なのですが(同級生がお守り代わりに待ち受けにするほど。)、「本気には本気で返すまでだ。」と、父親も企画書の内容に応じて勉強していたのです。この父親エピソードがちょこちょこ入ってきますが、感動する場面もあれば、笑える場所もあって大変良かったです。

 

 さて、アキは無事に推薦入学が決まり、八軒は(アキの父に邪魔されるなど色々とトラブルがあったものの)アキに告白。2人はわりと序盤から相思相愛だったのですが、「不純異性交遊禁止」やアキの父の「手を出したら・・・。」という言葉などで、受験が終わるまでは告げることを禁じていました。しかし、受験という難関を乗り越えて申し込んだ八軒から改めて告白され、アキはそれを受け入れ、卒業までは清い交際を始めます。

 

 ところが、経営を続けていくにあたって「食品衛生管理者」という資格が必要になるから「取得にも今後のためにも一番効率の良い畜大に合格しろ」と社長から唐突に言われ、年末から受験勉強を始めるというとんでもないことになった八軒。高校は低学力で、自分が一般のどの程度の学力にいるかすら分からない状況下でしたが、オンライン家庭教師をしている兄からのアルバイトで大学の受験だけはすることになっており、一応アキと同じ学年で入学できるかもしれないチャンスとなりました。

 

 そこから猛勉強で、アキとのデートもなく、アキは頑張っている八軒の代わりに育てている豚の世話をさせられつつ、合格を目指します。

 

 しかしながら不運な八軒は、試験直前にアキと二人でいる時、車に轢かれて足を骨折。その際に両親が再び保険会社とのやり取りのためなどで八軒のもとに現れます。そんな八軒の父に向って勇気を振り絞って「八軒は私を大学合格のために尽くしてくれた凄い人だ。認めてあげて欲しい。」といったことを言い放ちます。

 

 しかし、父はすぐに「すでに認めている。だから出資者として協力していく。」ということを伝えて去りました。

 

 そして八軒の試験結果発表日。会場に、会社の広告塔として社長にむりやり着ぐるみを着せられた状態で現れたため、不審者だと取り押さえられる八軒。そんな最中でしたが、合格していると友人から聞かされ、合格に大喜び。新聞でも一面で取り上げられ、広告効果は抜群でテレビ取材も来るようになりました。

 

 そうして高校を卒業し、大学入学。そして4年後--。というところで、完結しました。

 

 「サンデーうぇぶり」というサイト(アプリ)では、八軒の先祖の話が短編で語られており、それも併せて読むのも面白かったです。

 

 映画化もされていますが、まだ未視聴なので、ぜひ観ようと思いました。

 

 ちなみに物語の途中で出てきた中で、私が「あるある~なつかし~」と思った点が、

 

・行者ニンニク(ぎょうじゃ)旨い。

 北海道物産展でもたぶんあまり取り扱っていないマイナーなものなのではと思いますが、子供のころ食べていても美味しかったです。大量に食べるとアレですが、ちょっとつまむのが美味しい。酒飲みの方には絶賛されるのではと思います。

・スケールがデカい。

 これは有名な話でしょうが、北海道の土地はだだっぴろくて場所によってはショッピングセンターに行くまでに100km当たり前。そういうへき地だとガソリンスタンドの数も限られているので見かけたら給油必須。

・馬はわりと人懐っこい。

 そこらへんで抜いた草を差し出すだけで嬉々として近寄ってむしゃむしゃ頬張ります。なでさせてくれます。ていうか草を持っていなくても好奇心旺盛なのか柵の近くまで寄ってくる子も多かったです。(もちろん銀の匙の作中にあるように、個体差がありますが。)馬と無料で触れ合えるベストスポットに新婚旅行の時に連れて行ったのですが、夫は噛まれるのを怖がって近寄らなかったです。

・お裾分けしまくり。

 知り合いに農家や酪農家の方がいれば、どっさりと野菜やら何やら差し入れてくれます。実家は農家や酪農家ではないので差し出すものがなかったのですが、それでも「あまりもんだから!」とくれます。品質が整っていなくて市場に出せないものを捨てるより知り合いに配って食べてもらった方が嬉しいとのことでした。ちなみに毎年釣りに行く家庭もいて、そこからは毎年大きな秋鮭をいただいていました。母が「さばくの大変。」と貰う度に嘆いていたので、中学生くらいからは私が捌いていました。キッチンシンクからはみ出す大きさなのですが、たまにやるから面白かったです。毎日だったら面倒だろうけど。いくらの筋を取るのは雑な私だと潰しそうだからあまりやったことはなかったですが、頻繁にいくらの醤油漬けの掛けごはんは食べていました。私も母も「人に物をあげることに満足感を覚える。」という性格なのですが、北海道の血がそうさせているのかもしれません。

・鹿轢きがち。

 山道やら山に囲まれた道路なんかを車で走っていると、鹿の横断やら山の斜面から鹿の群れがこっちを見ているなんてザラにあります(土地による)。そして当然、広大な地なので車はスピードを出しがちですので、うっかり轢いてしまうことが多いです。そのため、鹿危険を知らせる北海道独特の交通標識がありました。他にも独特の交通標識があったような気もします。

・バーベキューしがち。

 実家には大きなバルコニー(っていうのかな? 庭にあるやつ。)があったのですが、そこにコンロを取り付ける形に作られた台があって(工事に関わる資格を色々と持つ父が自作したらしい。今は経年劣化で木材がダメになったので、結婚したころにはなくなっていましたが。)、近所の人や私の同級生(なぜか兄の同級生のママ友より私の方のママ友と仲が良かった。)家族を呼んでしょっちゅうバーベキューパーティーをしていました。ちなみに山形の独特なプレートのヤツじゃなくて、平らな普通の網と鉄板を使い分け、鉄板には漬けダレのジンギスカンを焼き、そのタレで焼きそばを作るのが地元ではオーソドックスでした。これは学校でも行事が行われると、打ち上げでジンギスカンパーティーしていました。漫画と一緒ですね。

・除雪大変

 屋根の雪下ろしで毎年のようにニュースで死亡者が出ていると取り上げられていますが、雪下ろししないと重みに耐えかねて家屋がやられてしまうので命がけの作業なんですよね。最近(といっても私が小さい頃)は屋根の内側に温かいお湯を送り込むパイプ(床暖房みたいなもん)があって、その効果も使って除雪します(小学校の家庭科の教科書に載っていて初めて原理を知った。)。そして地面はショベルカーの先のような形をしたもので押し込みながら除雪。積みあがった山に穴を掘ってかまくら作るのがセオリーでした(これも地域によって雪質が違うのでできるところとそうではないところに分かれる。)。除雪車が深夜に通って車道を作るのですが、歩道までは作ってくれないので、通学の時はずぼずぼ足を突っ込んだり、固まっているところを見つけたらそこに上がったりして通っていました。

・アイスバーンの怖さ

 作中で八軒はアイスバーンによって車に轢かれたのですが、雪が除雪されているように見えても地面は凍り付いていて、タイヤが滑ってしまうんですよね。地元民であれば徒歩の場合、凍っているところを染みついた感覚で見つけられるのと、滑り難い歩き方で(つま先から着地するように歩くとつるんと滑らない。)何とかなるんですが(あとは滑り止め加工の靴を使う手段もありますが、デザインが悪いので私は使ったことない。)、車の場合はそうはいかず。地元民でも慣れた人ならそんなに滑ることはないですが(私自身は北海道の冬道を運転したことがないので無理)、免許取り立ての友人の車に乗っている時に交差点で立ち往生したり、先輩の車に乗っている時にくるりと一回転して雪山にずぼっと突っ込んだりした経験があります(雪がまだ新雪で柔らかかったのが功を奏して無傷)。

・~っしょ。~だべ。

 今も使っている方言がコレ。地元に住んでいる両親はもうちょっとなまっているし、方言も使いますが、私は大分方言が薄れていて、つい口に出すのがコレ。国語好きのわりに文章がおかしいところがあるのも、方言のせいだと思いたい。「めんこい(かわいい)」というワードもわりと有名だと思いますが、私はあまり使うことがなかったです。作中で「あずましい」というワードが出てきましたが、「どういう意味だっけ?」と思うくらいです。父はかなりマイナーな方言を使うことがあり、夫は父と話した時に出てきた方言にめちゃくちゃ興味津々な様子でした。

 

 とまあ、なつかしい思い出話がいくつも思い浮かんでくる、私にとってはそんな作品でした。個人情報の観点からあまり出身地について明言したくなかったのですが、語らずにはおれない! とばかりに書いてしまいました。関連付けて個人特定されないと良いな~まあ有名なブログじゃないから大丈夫だろ~と思い、公表しました。というか、作品の紹介より思い出話の方が長いですね。ウィキペディアにめちゃくちゃ詳細にあらすじが載っていたので、そっちを見てください。では。