好きな作家さんの一人小花美穂先生の「アンダンテ」。集英社から出ています。

 

 正直、この作品は今まで紹介した「パートナー」「HoneyBitter」「こどものおもちゃ」に比べると、私の好みでいうと一歩劣るかなーという印象です。

 

 ただ、音楽に関わったころがあるので、音楽を主題とした作品のため、感じ入るものはありました。

 

 

 この作品の主人公は高原茗(たかはらめい)。中2で、吹奏楽部の部長を任されています。アルトサックスが上手く、複雑な家庭環境におかれています。

 

 その兄が那都(なつ)で、義理の兄で若いながらに天才音楽家として稼ぎ扶持となって二人でマンション住まいしています。

 

 茗は那都のことが好きで、複雑な感情を抱いています。

 

 そんな中、那都のぼんくら父が唐突に現れ、「昔世話になった人の子なんだ。この子をよろしくな☆」とメルという外国とのハーフの美女で中学生の女の子を置いていきます。

 

 那都のお陰でそれなりに幸せで安定した暮らしをしていた茗は、唐突に現れた天然美女に面食らいます。

 

 しかし、メルは外国からやってきたばかりで、なぜか外界の普通のことすら全然知らないというもの。

 

 それに、歌声がとても澄み通っており、世話焼きな茗は仕方なくメルの存在を受け入れることに。

 

 思春期で思い悩むことの多い茗は、メルの存在に癒されつつも、那都との関係が近づいていくことに複雑な感情を持つように。

 

 そして、ついに那都とメルは一線を越えてしまいました。

 

 しかし、その後、父から知らされた事実に驚愕する一同。

 

 加えて、メルにも隠された事実があり・・・。

 

 最終的には、「これで良かったんじゃないかな。」と思うような感じで終わりました。

 

 ちなみに、存在が薄いのですが、作中で州(しゅう)という裏稼業に手を出しているドラマーの少年と茗が出会い、何となく二人は付き合うようになるのですが、物語の主軸にはあまり関わってきませんでした。

 

 州は良いキャラだったので、もったいないなーと思いました。

 

 アンダンテは音楽用語で「歩くような速さで」という意味。最終的にはそんな感じで終わりましたね。