保護者の方にぜひ知ってもらいたい。そして、受け止めて欲しい。そんな気持ちで書きます。
発達障害はその多寡さえあれど、珍しいものではありません。以前お見せした、私の発達障害度を計った心理検査の結果です。
この数値が100を越えたり、70を下回ったりすると完全な発達障害と言えると思います。しかしながら、この数値がデコボコにできていると、それも発達障害傾向があると言えます。だから私は「自閉症スペクトラムの傾向が高い」という診断です。
これがIQ90で平坦な数値に出ていると極一般人と言えます。しかし、果たしてそんな人はいるのでしょうか? 誰しも、どこかしら凹凸ができると思います。
①おかしいと気付いたら担任に相談する。
・落ち着きなく、外出したら度々迷子になる。
・物に当たる。
・宿題に取り掛かっても時間がかかる。
・そもそも宿題をしない。
・ワークテスト(学校のテストで単元ごとに行われる)で70点以下しか取れない。
・0点~50点はLDの傾向が高い。(または他の発達障害で授業に集中して取り組めずに点数が取れない。)
・平仮名やカタカナを2年生に進級しても覚えない。
・字形が乱れていて枠線からはみ出している。
・感情が不安定であり、泣いたり、すぐに笑ったりと忙しない。
・担任から子供同士で問題が起きたと連絡が頻繁に(月に1回あればかなりの頻度)かかってくる。
・常に足をぶらぶらさせていたり、手足をもじもじさせたりしている。
・ギャーギャーとよく叫ぶ。
・触られることを嫌がる。
などなど・・・。
しかし、これは「家で起きていたら」の話で、家では落ち着いた空間だから上記のような症状が発現しない場合があります。
②担任から指摘される。
担任から上記のような言動が見られると伝えられるのは、余程のことがあって伝えられます。面談期間外で「お時間をいただきたいのですが。」と呼び出されたら、確定だと思って良いと思います。もちろん、直接的に「あなたの子は発達障害です。」なんて言えません(人権侵害だと思われてしまうから避ける。)(だから事実だけ伝えられる。)。その際に、「では、どうしたらよいでしょうか?」と質問してください。
③様子を見に行く。
担任の言葉が受け入れられず、自分の目で確かめないと気が済まないとなれば、ひっそりと様子を見に行って、学校での授業態度を見るのもアリっちゃアリです。ですが、存在に気付かれると「マズい。」となって、大人しくなることもあるので、気付かれたら終わりですし、そもそも症状が常時発現していない時もあるので、あんまり確信に至るための方法にはなりません。
④担任の言葉を受け止める。
保護者の方も、自分のお子さんに「発達障害がある・・・!?」と受け止めるのは、精神的ダメージが高いです。または、現実逃避で「そうでもないんじゃないかなあ・・・。」と思うこともあります。なぜなら、「自分も子供のころはそうだったから。」これは、20年~40年前は発達障害に対する見識が教員にもなく、問題児としか扱われていなかったからです。放置か、すぐ怒られるか。そんな対応をされてきたために、「教員」というものに対して不信感を抱いている方もいることでしょう。しかし現在は発達障害の研究が進み、多くの教員がある程度の認知を持っています。まだ経験が浅いような担任だったら先ほどの「怒る」「放置する」の対応をされることもありますが、少なくとも初任者(経験1年目)だったら初任者指導員がつくので、2人で「何か妙なところがありますよね。」と話し合われ、学年間で共有されることもあります。
しかし、初任者指導員も特別支援教育を学習して来なかった世代。そして、学年間での会議には基本的に参加しません。その指導員も「問題児」としか思わないかもしれません。
最悪なのは、「問題児がいることを自分の指導力不足として恥じ入って周りに隠す。」こと。そのため、発達障害児と思しき児童がいても学年間で共有されることがない可能性があります。
発達障害は持っていれば生まれ持った気質なので、低学年のうちから教室内で何かしらの問題を起こします。そのため、低学年で受け持つ担任の性格や発達障害への知識力が大事になってくることでしょう。
かといって、「自分も子供のころそうだったから。」と放置を続けると、将来的に私のように就職した先との相性で精神病を併発することがあります。ですから、担任から報告があった際には、精神的ショックを受けたり、自分もそうだったしで終わらせたりしないで、現実と向き合うことが大切だと思います。むしろ今見つかって良かった。と思って療育方面に進められたら、お子さんが辛い学校生活を送ることがなくなっていくことへの一歩となります。
⑤児童心理検査を受ける。
学校を介してでもいいし、民間の病院でもいいです(が、今は児童心理を専門にした科が人気過ぎて、(つまりそれだけの需要がある)予約が取れない場合がある。)。児童心理検査を受けさせることで、周囲の勘違いだったのか、やはりあることに問題があって実際にADHDや自閉症スペクトラム、自閉症、アスペルガー、吃音、LDなどが分かります。そして、その対処方法も心理士が教えてくれます。
⑥対処法を考え、実践する。
通常級でやっていけるレベルであれば、担任と連携したり、家庭学習で補習したりしていきます。例えば私なら、自閉症スペクトラム(ADHDの傾向も高そう)と思った児童にはスクイーズという手遊びのストレス解消グッズを時と場合によっては渡して、席についていられる環境づくりをします。LDの傾向が高い児童には、解説が入っていたり、かなり簡単なものだったり、前の学年の問題集などを印刷して渡して取り組ませたりします。(保護者に許可を取る必要がありますが、協力的で丸付けをしてくれることも。)また、授業に意欲があれば、挙手した時は積極的に選んで、自尊心と自己承認欲求を高めさせ、勉強ができないことに対するストレスから別の問題を発生させないための手段にします(前の学年では問題行動だらけの子でした。)。自閉症スペクトラムやアスペルガーなどで相手の気持ちが分からずに問題がある言動をする場合、認知行動療法などのワークシートを使って学習させます。この対応は、隠れアスペルガーや自閉症スペクトラム児(はっきりとは発現していないけれど、その傾向がある。)にも効くので、学級全体で行います。
こういう対応は私がもともと自分も発達障害かなと思っていて興味があったことと、実際に診断されたからこそ発達障害児に寄り添いたいと思うようになったから行っているものなので、全ての担任にそこまでの対応を求めるのは厳しいかもしれません。ボランティアのようなものなので。要求ばかりされては、担任も良くは思わず、協力的になれるか交渉力が求められます。それに、保護者の方が担任に求める以上に、家庭学習での指導も大切だと思います。
まずは発達障害に対する認識を持つため、自分のお子さんが該当する発達障害に関わるインターネットサイトを見たり、本を読む。本にしても、最近は漫画になっているものもたくさんあるので、読みづらく感じることなく「そういうものなのか。」「確かにこういうところある・・・。」と、共感しながら(同じ症名でも人によって症状が若干異なる場合があるから、〇〇みたいなことはないんだけどな~。」といって発達障害ではないと切り捨てて考えるのはよした方が良いと思います。
自閉症児に対する漫画として名作です。担任との相性によって変わることや、通級のことなどについて学べます。しかし、作者の戸部けいこ先生は2010年に亡くなっており、完結はしていません。別の方が成長した主人公光のことを書いた作品もあります。
それから、使えるかなと思うものをご紹介していきます。
・スマイルゼミ(タブレットで学ぶ幼児・小学生・中学生向け通信教育|【公式】スマイルゼミ (smile-zemi.jp))
感覚的な能力に秀でている子は、こういうタブレット学習が向いていると思います。
・KUMON(公文式 無料体験学習!くもん、いくもん!|公文教育研究会KUMON)
発達段階に応じた内容で学習内容を個別に変えていってくれるので、反復学習が向いている子には良いと思います。
・専門の教育書コーナーで子供が使いやすそうと思うワークシートを選ぶ
大きめの書店には教員向けの教育書のコーナーがあります。そこでは、発達障害に適した内容のワークシートがたくさんあります。お子さんと一緒に行って、「これならできそう。」と言ったものを使わせると良いと思います。
以上は主にLD向けの対処のための道具です。ADHDや自閉症スペクトラムで学習の遅れがある子にも良いかもしれません。
・四谷学院(通信教育のプロ×療育のプロによる療育通信講座|四谷学院 (yotsuyagakuin-ryoiku.com))
これは実際の教材を目にしたことがありませんが、世の中にはこういった通信教育の療育方法もあります。一度試して、興味を持って取り組むようであれば継続するのも良いと思います。
・自閉症、アスペルガー、自閉症スペクトラムと書かれている療育のワークシートを使う。
これも上記のように、大型書店で教員向けスペースの教育書に置いてあります。
・薬物治療「ストラテラ」
ADHDの症状がはっきりと出ており、教室の飛び出しがある場合は、薬を飲んだ方が良い場合もあります。副作用を心配して飲ませない。それもありだと思います。ですが、薬がうまく身体に順応する場合もありますので、まずは試して、言動がどのように変わるかを見てみると良いと思います。ADHDの心配なところは、他害(他の児童を傷つけてしまうこと、衝動的に犯罪的な言動を取ること)があることです。実際、物を盗んだり、ハサミで自分の髪をギザギザに切ったり、他の子を殴ったりします。「なんでそんなことしたの?」と聞かれても、その子にとっては「何となく」でしかないのです。そこまでくると「ストラテラ」のような薬物治療が必須だと思います。
・安心できるものを用意する
スクイーズで不安やイライラを治めたり、その子が執着しているものを持ち歩かせたりします。そうすることで精神が安定することもあります。
・ルーティーンを守ってあげる
ルーティーンにのっとって行動しないと落ち着かない子はいます(私)。それを遮るようなことはしないで、ルーティーンを自分から辞めたり、違うルーティーンになったりしたら、それに保護者の方が順応してあげると良いです。そうしないと、心配だったり、不安定な心境になるからです。私のルーティーンは(平日のルーティーン~とにかく休む・サボる・でもやることはやらないと気が済まない~ | 発達闘病先生 (ameblo.jp))こちらに掲載しています。
私もまだまだ知見が浅いので、思いつく対処方法はこれくらいです。もし担任の先生が協力的な方なら、安心するグッズの持ち歩きなどをお願いすると良いでしょう。
⑦通級・特別支援学校への転校を検討する。
人が沢山周りにいる状況が辛い。だから集中できない。〇〇くんと相性が悪い。今の担任の先生と相性が悪いなど、様々な理由があって症状が悪化しているのであれば、通級(情緒学級(ADHDやHSC(神経過敏で、実は多くの子がその性質を持っている。大人の場合はHSP)、自閉症、自閉症スペクトラム、アスペルガーに対応する学級)に通います。通っている学校にその学級があれば良いですが、そうではない場合は転校することになります。
また、学習障害学級。こちらはLDに特化していますので、これも通っている学校にないのであれば転校です。
通っている学校にあれば(または転校先で)、通常級に一部の授業を受けに行き、他の授業は支援級で受ける。籍は支援級に置かれます。情緒系なら、国語や算数といった座学を支援級で受けて、図工や体育などは通常級で受けます。たくさんの子と触れ合う時間も大切だから、という考えだと思います。
また、重度であれば(でも、ダウン症とか、それほどのレベルではないと行くことはないと思う。)特別支援学校に転校します。かなり暴力的だったり、車いす生活だったり、会話が成り立たなかったりする場合はこちらに行くことになりますね。特別支援学校は辺鄙なところにある場合が多く、ルーティーンに則った行動ができる子は自分で電車に乗ったり、バスに乗ったりして通います。そうではない子は専用バスがあればそれに乗るとか、保護者が送迎するとかになるでしょう。ちなみに、大学生のころに特別支援学校での実習がありましたが、ニコニコ笑顔で高学年くらいの男の子に張り手を胸に食らわされ、マジで痛かったので「私には無理な世界なんだな・・・。」と思いました。(それまで興味があって資格を取るかまで悩んでいましたが、介護職の友達に「メイは想い入れを強く持ちすぎるから向いてないよ。」と言われていた。張り手事件を以て、資格取得は諦めました。
⑧将来について考える
まだまだ最初のころは考えなくて良いですが、余裕が出てきたら「この子が大人になるとき、大学に入れるのか?」「就職先はどういう場所が向いているのか?」と、思いを馳せたり、実際に調べてみたりするのも良いでしょう。学費などの問題もありますので。
ちなみに、最近買った発達障害に関する教育書はコレ。
帯にあるように、「そのうち大人になれば、なおる・・・」じゃ変わらない!
その通りだと思います。幼少期から事実として認め、子供のために動く。そうすることで、お子さんは生き辛さに悩むことが減り、少しでも生きやすくなるようにさせてあげて欲しい。そう思っています。