教員の勤務時間って、一般の方々はご存じでしょうか。

 

 文部科学省の「学校における働き方改善別部会」が出している資料にあるのですが、まず勤務時間は2種類あって、普通の正規の勤務時間と超過勤務命令というのがあります。後者は修学旅行とか、宿泊などを伴う勤務時間をどうしても超える業務のことですね。

 

 愚痴一つ目なんですけど、この後者の超過勤務って、ほんとに雀の涙ほどの手当てしかつきません。具体的に述べるのもあれなのですが、数千円です。2日間みっちり児童の指導、サポート、安全管理を行う気を張り続ける勤務なのに、バイトの最低賃金にも到底満たない金額なんです。それに事前準備だって、どれだけの時間をかけることか。いくら公務員が公に奉ずるものでも、それってどうなの? と思わざるを得ません。ボランティアではなくて多くの人々のために頑張ってる人って見方、してくれませんか・・・?

 

 そして正規の勤務時間。これがおかしなことに、精神と時の部屋が発生しています(ドラゴンボール好き)。

 

 上記の「学校における働き方改善部会」の言葉を引用すると、

 

1.勤務時間について

 勤務時間とは「職員が上司の指揮監督を受けて、原則としてその職務のみに従事しなければならない時間」をいう。

 勤務時間は、正規の勤務時間と超過勤務命令などにより勤務時間とされたものとに分けることができる。

 

 具体的な勤務時間は給与負担者である各都道府県及び政令市の条例によって定められる(※1)が、労働基準法第32条において、

 〇 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。

 〇 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き日について8時間を超えて、労働させてはならないと規定されており、教育公務員はその制約を受ける

 

 ※1 各都道府県及び政令市において、1日当たりの勤務時間は7時間45分とされている。

 

 と、あります。

 

 二つ目の愚痴が、この上記で定められている内容に関わるのですが、教員の仕事っておよそ「7時間45分」では収まりきらない種類と量の仕事があります。

 

 そもそも、出勤時間は学校によって若干のバラつきはありますが、8時~8時30分あたりになっています。しかし児童たちは8時前に登校してきます。ですから、多くの人が(お子さんがいる教員は保育園に送り出してからなのでぎりぎりの時間になることも)児童の登校時間あたりに合わせて出勤しています。中には、授業の準備を朝に行いたいからと、6時ごろに出勤する人も多くいます(私も初任者だったころは6時半に出勤していました。)(今も定時出勤を医師から指示されていますが、朝の会が始まる時間に出勤というのは非現実的なのでもう児童がちらほら登校してくるあたりの時間帯に出勤しています。)

 

 勤務する学校に部活があり(学校によってはあったり、なかったりですが、私が知る範囲だと大抵あります。)、朝練があればもっと早いです。そして時には運動会などの行事の準備で強制的に早く勤務につかなければならない時もあります。この時点で、7時間45分が守れていないのはお分かりですよね?

 

 部活だって手当ては出ます。でも、それも本当に雀の涙。責任問題が伴う仕事なのに、それはないでしょ・・・と思っています。

 

 部活の監督って、好きでやってるんでしょ? と思う方もいるかもしれません。確かに、中には好きで自ら望んでやっている人もいますが、多くは業務命令で強制的に監督にされる人がいます。私は病気もあって今は部活に携わっていませんが、部活を受け持っていた時は早朝の4時出発で大会会場まで移動する羽目になったこともあり、「もう2度と部活は受け持ちたくない。」と思っています。

 

 それに、部活を担当している人は朝練に放課後練習があり、そのため授業の準備、教材研究、学年との共同のお仕事が滞ることになります。同じ学年に部活担当者がいると、他の人もその人の分まで仕事をするので割を食うことになります。

 

 部活生たちは「させてもらっているのだから、みなの模範たれ」というように指導され、学校のために動いてくれたり、生活が改善されたりというメリットもありますが、当然、全員がそうなるわけありません。そうなればラッキー!程度のものです。

 

 ンなこと教員にさせないで、さっさと外部委託するか、そもそも無くしてしまえ! というのが本音です。

 

 そして「休憩時間」。これはどの職場でも、あるものだと思うのですが、教員には実質ありません。

 

 これも学校ごとに設定時間にバラつきがありますが、だいたい昼食の時間帯や放課後の時間帯が充てられています。昼は当然、子供たちと一緒に給食を教室で食べます。準備や片付け、その後には次の授業の準備と、せいぜいできることは歯磨きとトイレくらいです(授業の合間の休み時間は次の授業の準備や児童の相手をするのに時間を使うため、本当にマズいという時だけ授業中に「ちょっと忘れ物したから本読んでてね~。」などと言ってトイレに駆け込みます。)

 

 そもそも、「食育」という指導も行わなければならないので、給食もただ一緒に食べるだけではない立派な授業の一種です。お皿の持ち方やパンの食べ方(のどに詰まらせたという事故が過去にありました。)、アレルギーを発症しないか観察、お箸の持ち方なんてことまで指導します(家庭でやるものじゃないの?)。今は特にコロナで衛生指導に気を配らなければならないので、気が休まる暇なんてありません。

 

 放課後に休憩時間が設定されていたとしても、そこにはふっつぅ~に会議がぶっ込まれています。それに、教材の準備や配付物の印刷、テストの丸付け、通知表を作る時期になれば夜の8時9時までの残業はあって当然になりますし、大抵の人は普段から6時くらいまでの残業は当たり前。私は最長で11時すぎまで残業していたことがあります(私は療養のために医師からの指導でなるべく定時か早退かをしていますが、それでも残業しなくてはならないのがこういう時期です)。

 

 それと、困るのがケガやトラブルが起きて保護者と連絡を取らなければならない時。共働きしているご家庭だと、どうしても定時以内では連絡がつかない時もあります。急を要するケガの場合はさすがに職場に電話をかけさせてもらいますが、そうではない時はなかなかし辛いですし、時間をとってお話することもできないので厄介なのです。

 

 私だって子供がいたとして、授業中に「頭を打ちました! 流血しているので病院へ!」と言われたら流石に仕事を周りの人にお願いして駆け付けますが、「〇〇くんとトラブルがありまして・・・」なんて話は職場にはかけられません。かといって、連絡帳に書くには、書き方によっては誤解を招くこともあるので、やはり会話で経緯の説明が必要になるため、残業して連絡が取れるまで待つこともあります。

 

 これが教員の「精神と時の部屋」です。

 

 そして仕事の種類と量。会議の数々。一般企業に勤めたことのない多くの教員(私も一般企業に勤めた経験がありません。)は、その一般企業に勤める方々からすると「労働基準法なんてどこも守りゃしねーよ(笑)」となるのかもしれませんけれど、私はあなた達に憧れます。

 

 「だって残業代が出るんでしょう・・・?

 

 教員は勤務時間の内外(療養休暇で早退しても、残業しても)に問わず、月額4%が「教職調整額」として支給されます。4%って・・・子供のお小遣いかよ。

 

 これも数千円ですからね。もっと年齢重ねれば1万くらいもらえるようになるのかもしれませんが、いつになることやら・・・。

 

 あとは地域によって手当の額が変わってきます。都心部でお金が必要な地域だったり、反対にへき地過ぎて不便なところだったりすると幾ばくかの給与が発生します。上記までの金額よりはマシですが、それだけの金額が必要な土地ってところですのでトントンといったところでしょう。

 

 お金の話ばかりで下賎ですが、いくら熱意をもって指導しても特別手当なんかつかないのが事実です。最近になって、頑張っている先生にはあまり頑張っていない先生の分の給与を振り分けるという訳の分からない制度ができましたが、それも大した額ではないですし、そもそもその評価を下すのは学校長なので、陰ながらに頑張っている人は見落とされがちなおんぼろ評価基準です。

 

 それに、教員は一般から見てストレスの多い仕事だと言われています(パニック障害を発症する前にも、「メニエール病かも?」といったストレス性の病気にかかったことがあります。診断が確定する前に、半ば手術みたいな治療を受けたら治りましたが)。

 

 へき地だと数人から10人程度、普通の都市部だと30人前後から40人近く。そんな子供たち一人ひとりのために、どれだけの労力をかけて指導しているか。

 

 「全人類みな発達障害説」を論じる私なので、どの子もそれなりの癖の強弱があり、そして大人と子供といっても人間同士ですから相性もあり、全員に慕われて何の問題もなく「毎日ハッピーだったー!」という一年で終わることなんてありません。

 

 そしてバックにいる保護者の方々。それぞれの教育方針や子育ての考えがあり、「メイ先生が次も担任だったらいいのに~。」とお世辞だとしてもうれしいことを言ってくれる方もいれば、興味なんてないねと私の母のような人もいたり、内心では私の指導方針や態度に反感を持っていたりする人も当然いるでしょう。

 

 私なりに「あの子にはこういう教材があっているかな」「あの子はこういう話を振ったら興味をもってくれるかな」「飽きずに楽しく授業するにはどうしたらいいかな」「あの子はこういう風にすると成長しそうだな」と熱心に観察・分析したり、勉強して実践したりしても、全員にその熱意は伝わりません。「学級崩壊」したクラスを受け持ったこともあり、今でもトラウマになっているほどです。

 

 それでもこの仕事にしがみついているのは、「仕事しないとダメ人間になる。」「やりがいがある。」「ローンの返済がある。」からです。

 

 私は職を失えば(長期療養休暇だとしても)、ひたすら家にいるだけの引きこもりになることが目に見えています。

 

 上記のようにさんざん文句を言いましたが、やはり作ったり、買ったりした教材が子供に喜ばれたら嬉しいです。子供たちが慕って「先生好き」と言ってくれたり、色々と拙い語彙を駆使して褒めてくれたりするところにも愛着を覚えます(元来は子供好きではありませんが、自分のクラスの子供となると話は別です。)。

 

 そして、購入したマンションのローンや生活費、娯楽費を稼がなければなりません。以前までは私の方が稼いでいたのですが、やっはり残業代というのは大きく、夫に年収で負け越してしまったので、夫が生活に苦労しない程度に稼げるようになったら・・・などと薄っすら思ってしまう時もあります。ですが、専業主婦している自分の姿の方が想像つかないですし、家にこもりっきりの方が病気は悪化すると言われています。

 

 やはり私は今日も明日も、文句を胸の内にしまいながら(まってないけど。めちゃくちゃに文句を周りにも言っているけれど。何なら文科省の偉い人に直接文句言いたいくらいだけど。)、仕事に励み続けるのでした。

 教員あるあるの「いらすとや」