私には夫がいます。

 

 20代半ばごろに付き合い出したのですが、きっかけは恥ずかしながらマッチングアプリでの出会いでした。

 

 今でこそ主流となっているものですが、今でもやはり立場的にSNSでの出会いというのはグレーゾーンなものなので、夫と私以外にこの出会いは知りません。出会ったきっかけを聞かれても、適当ななりそめエピソードでお茶を濁しています。

 

 夫は野球部出身で、同じ教育関係者でした。

 

 まずマッチングアプリって、相手の顔やプロフィールで良さそうと思えばイイネ!とアクセスを試みて、メッセージがきたらお互いやり取りし、実際に顔を合わせ、うまくいけば交際→結婚に至るものですよね。

 

 私からイイネ!をしたのか夫からイイネ!をしたのか、どちらかは忘れましたが、とにかく夫の顔は私のタイプではないものの普通の顔立ちで、例えると濃いめのゴリラ系の純朴そうな顔立ちでした。私はいわゆるしょうゆ顔とか塩顔とか、そういう味の薄い感じの顔が好みで、体型もすらっとした細く高身長が好みでしたが、夫は反対で少しごつめの体格でした。

 

 思い返せば、おそらく夫の方からアプローチをかけてきたのだと思います。それに反応したのは、夫が「野球部出身」だったからです。

 

 私の中の独断偏見ですが、「野球部に悪いやつはいない(実際には野球部員が事件を起こしたというニュースがざらにありますが)」という理由で、メッセージのやりとりを始めました。

 

 当時の私はかなり映画にはまっていて、沢山レンタルしては観て、というのを大学生のころからずっと続けていました。

 

 彼(現夫)に趣味は映画鑑賞であると伝えると、ノリノリで「俺も好き!(後に、映画鑑賞は嫌いでないけどメイに気に入られたくて話を合わせたと語る・・・)」と返してきたので、趣味も合いそうだ。それにポジティブで、私にはなさそうな善人オーラを感じる、と思い、ディナーデートをしました。

 

 そこで会話をし、料理の取り分けに気遣ったり、私の話を笑顔でうんうんと聞いてくれたりするので、相性が良いかもと思うようになりました。なにより、「車を持ってる」が魅力的でした。(ここが私の下心)

 

 夫は「明日は映画館でデートしない?」と持ち掛けてきたので、了承し、映画館デートを行いました。その後、私を一人で住んでいたマンションまで車で送り届けてくれた際に、「これ、実家から送られてきたもののおすそわけ」と果物をくれました。

 

 更に私の独断偏見ですが、「物をくれる人は善い人」と、更に好印象となり、「せっかくだから部屋に上がってく?」と積極的に誘ってみました。20代の私は不妊症であることでヤケクソになっていたのもあり、自由奔放で、あまり大きな声で言えませんが男女関係にだらしないところもあって、部屋に上げる=☆という展開になっちゃっても別にいっか。という気持ちでした。(どうせ不妊症だし

 

 そして部屋に上げて一緒にお茶を飲みながら、「あなたに好印象を持っている」「でも自分は生涯独身主義である」ことを伝え、これからの関係をどうするかについて彼(現夫)に判断を迫りました。何でもかんでも白黒ハッキリさせたい、せっかちな性分だったのです。

 

 彼(現夫)は「それでもOK!」と気軽に返し、顔合わせの次の日から交際がスタートしました。

 

 彼(現夫)が住んでいた場所は私の住んでいる場所よりも電車で30分以上かけたところにあり、そして駅からも離れた場所(車持ちのため)でした。夫は休日も仕事が入るので、私は週末になると金曜の夜や土曜の朝などに夫の住んでいる駅まで行き、車で迎えに来てもらって週末を一緒に過ごすという生活を送っていました。外出が苦手な私には、今では考えられないアクティブさです。

 

 私は仕事で日中いない間は部屋の掃除をしたり、洗濯をしたりと通い妻のような生活でした。

 

 ところが彼(現夫)は頑丈そうな見た目に見えて案外体が弱く、胃腸炎などにかかっては救急車に運ばれるような事態が片手で収まらない程度にありました。(当時は病弱だと知らなかった。)そんなある日、高熱が5日間続いたことがありました。

 

 その時はちょうど長期休暇期間だったので、高熱が出ていると聞いてすぐに駆け付け、食事など身の回りの世話をしたり、冷えピタを変えたり、関節が痛いと呻くのでさすったりして看病していました。寝ている間はレンタルしてきた映画やドラマを観て過ごしていたのですが熱が収まらず。熱が出てすぐに病院に行ったと言うのですが、どうもこれはおかしいでしょ。と思い、「違う病院行くぞ! それ絶対ただの熱じゃないから!」と、別の病院に連れて行きました(私が運転していこうと思いましたが、ペーパードライバーなので、さすがに俺が運転する・・・とやつれ果てた調子で運転するので、助手席のこっちが冷や冷やしながら移動しました。)。

 

 そこで改めて診察すると、別の病気(ウィルス感染)が原因で高熱が出ていたとのことで、ようやく適切な薬を処方してもらうと、すぐに熱が下がって完治することができました。

 

 この一連の事件が夫にとって結婚を意識したきっかけだったそうです。

 

 ブログを打ちながら聞いてみたら、「熱を出した時、適切に対処してくれて頼もしかった。それに掃除とかもしてくれてきちんとしていたから、この人と一緒にいたら大丈夫だという安心感を覚えたのが結婚したいと思ったきっかけ」というようなことを語っていました。

 

 それから度々、「結婚したいな~」と口にするようになり、何度も何度もそう言われるとなんだか私も刷り込みのように「結婚したいかも・・・」と思うようになり。

 

 「あんた、結婚したいな~って言ってるけど、本気で言ってんの?」

 「そうだよ。結婚したいな~って思ってるよ。」

 「じゃあもう結婚しよ。とりあえず婚約は交際1周年の時に決めよう。それで気持ち変わらなかったら夏に結婚ね。同居する準備とかで忙しいから夏休み中が良いし。それでいいね?」

 「あ、ハイ・・・。」

 

 というような流れで結婚に至りました。

 

 なかなか優柔不断な夫なので、当時の精神病に罹患していないバリバリキャリアウーマンバージョンだった私が主導で話を進め、「結婚式はいらん。指輪だけでいいでしょ。」「指輪もプラチナであれば高いもんじゃなくていい。それより新居の費用に充てたい。」「両家の顔合わせは流石に必要よね。新居に入居してから呼んで料亭でやろう。」「そっちの家がせめてフォトウェディングをして欲しいって? 仕方ない・・・じゃあ新居の近くにあるフォトウェディングスタジオにしよう。」などと話を進め、とんとん拍子に新婚生活スタートしました。

 

 今や発達障害と(ちなみに私の見立てでは夫はADHDの傾向がある)精神病とで、夫に頼るばかりの生活で立場が逆転しましたが、結婚後も救急車騒動を3度起こしている夫なので、これからも私よりは早死にしないように健康管理には口うるさくしていこうと思う次第です。

 

 のろけ話みたいになってしまいましたが、以上が夫との馴れ初めでした。

 

 向き合う夫のサーフェス。