「先生、『課題整理総括表』って、

使ったほうがいいですか?」

受講生さんに言われました。

 

先週、

ケアマネジャー実務研修の

お手伝いをしてきました。

ZOOMでのオンライン研修ですが、

グループディスカッションもあるので

ひとつのグループのファシリテーターを

してきました。

 

ケアマネ現場から離れて

5月で3年になります。

ケアマネ関連の情報には

だいぶ疎くなっている気がします。

今回の研修は、実務に就いて

おられない方が対象ですので、

私も同じ立場で臨ませてもらいました。

 

ある受講生さんから

冒頭の質問をされました。

『課題整理総括表』。

この様式が登場してから

それでも、5,6年は経つでしょうか。

近年合格した方は必ず習いますが、

その存在を知らないベテランさんも

いらっしゃいます。

 

『課題整理総括表』とは、主に

移動や入浴などのADL項目について、

現状がどうなっているか、

(自立/一部介助/全介助)

改善する見込みはあるか、

(改善/維持/悪化)を記入して、

利用者さんの生活課題や目標を

立てるために使用する様式です。

 

アセスメントから計画を立てるまでの

思考の整理に使うものと考えればよい

でしょう。

 

冒頭の質問に対して、

私の答えは【否】。

 

国が推奨しているものですし、

ケアマネの研修のたびに

その使い方を講義していますので

あからさまにそういうことは言えません。

もちろん、今回の講師もそれを使う前提で

お話されているので、真っ向から否定など

できるはずもないし、私も大人ですから

するはずがありません。

 

だからこう言いました。

 

「ケアマネ初心者には良いでしょうね。

項目の一つ一つを確認して、

抜けがないようにできます。

利用者さんの現状を把握したうえで、

改善見込みやどこに課題があるのか、

それを踏まえて、計画を立てることに

なるので、順序立てて思考できる

ツールになるでしょう。」

「ベテランになると経験がありますから、

その人の状態を見て、パッとサービスが

思い浮かぶ、つまり、思考の順序を

飛ばすことができると思います。

だから必要ないと思いますが、

ベテランであるがゆえに、

うっかりミスということもあります。

自分のケアマネジメントを振り返る

ときに、時々使ってみる、というのは

良いんじゃないですかね?」

 

これ、ほぼ100点満点の回答

じゃないですかね?(笑)

 

でも、本心は、

(ケアマネ1年、2年の初心者なら

まだしも、何年もこれで飯食ってる

職業人が、そんなものに頼らないと

いけないのかよ)です。

 

かなり毒舌です(苦笑)

 

本当にベテランなら、その人の状況

をみれば、(あれとこれと…)って

サービスがすぐに思い浮かぶはずです。

それを使うかどうかは、本人と家族。

そのサービスの必要性を説明して

同意が得られれば良いだけです。

 

そして、すぐにサービスをスタートさせる

スピード感こそが大事なんじゃないのかな。

 

都市部を中心に高齢者は激増し、

それに要介護者も比例します。

ケアの担い手もケアマネも

決して増えていかないだろうに、

いつまでも35人の枠とか言ってんじゃないよ。

ひとつの様式を埋めることだけに

とらわれて、肝心のケアマネジメントに

時間を割くことができないなんて、

それは本末転倒というやつです。

 

ちょっと言い過ぎましたね。

自分は今ケアマネしてないので

なんでも言えちゃいます(苦笑)

 

私が師事する竹内孝仁先生は、

「アセスメントは白紙のコピー用紙

1枚あればいい」と言っていました。

 

たったそれだけの言葉の中ですが、そこには

ケアマネジメントの要諦が示されており、

現在のケアマネ業界の課題のひとつが

あぶり出されているような気がしています。