前回までの「アンガーマネジメント」

にもつながる話だと思いますが、

職員教育で必要だと思って、

こんな本を読みました。

 

 

「人はなぜ、他人を許せないのか」

中野信子著

 

 

 

以下、この本を読んで、自分の

思ったことを書きます。

著者の意図とは違う部分もあると

思うので、正確な内容が知りたい方は

ご自身で手に取ってお読みください。

 

 

 

他人の行動が許せないために

他人の言動を矯正するために

自分の「怒り」が生み出されるとしたら

まずは「他人を赦(ゆる)す」ことから

始めなければいけません。

 

人が起こす行動の源泉の多くは

「正義」だと思っています。

「こうすることが正しい」と大真面目に思うから、

人の行動のモチベーションは上がるのです。

 

正義は自分にあって、その正義に反する

相手の行動を見たとき、間違った相手を

正すためには「怒り」をもって制することも

正当化されるのです。正義のためには。

 

そして、自分の信じる正義を貫けることが

他の人のためにもなり、幸福をもたらす。

そう信じて行動することは自分にとっても

幸福感に満ち溢れます。

 

著者はこれを「正義中毒」と呼びました。

正義のための行動は人に快感を与えます。

しかし、その快感を求め続ける結果、

自分の正義を相手に押し付けるように

なってしまいます。

 

自分の正義がほかのすべての人の正義

につながるとは限りません。

 

自分の正義に則って行動を起こすように

当然、相手にも相手の正義があります。

 

「どうしてあいつはそうするんだ」

そう思っているあいだは、自分は相手の

正義が見えていない状態だと言えそうです。

 

 

 

お盆に東京から帰省してきた人の家の玄関に

「この地域こは子供も高齢者も住んでいる。

コロナを移さないためにすぐに帰れ」と

貼り紙をした人間がいたというニュースを観ました。

 

この件について、私は貼り紙した人間はどうかしてる、

と思いますが、まさにこの人は「コロナを拡げたくない」

という正義感を行動によって示したのです。

 

 

 

「正義中毒」を罹った人は、「相手の立場や考え」が

まったく見えていない人、想像できない人、

視野狭窄に陥っている人だと言えそうです。

 

「どうして私の言うとおりにしないのだ」と

怒りを抑えられない人は、まず、相手にも

正義があり、自分の正義は単なる押し付けに

過ぎないかもしれない、と自分の考えを俯瞰して

みる必要があるのかもしれません。