違和感を感じたのは

3カ月ぐらい前だったでしょうか。

 

朝起きて、あおむけの姿勢から

腹筋を使って起き上がるとき、

みぞおちの少し上あたりに

筋肉痛のような痛みを感じていました。

 

しかし、痛みも一時期だろうと

高をくくっていましたが、

この3カ月の間、ずっと毎日続いてて、

(おかしいなあ…)と思っていました。

とくに筋トレなどをしているわけでもなく、

でも、すごく気になっていました。

 

違和感を感じる部分に手を当ててみると

たしかに「しこり」があるように感じます。

 

できれば私の両親のように、

死ぬなら手遅れのガンで

家族にあまり迷惑をかけずに

いなくなるほうがいいな、と

つねづね思っていました。

 

覚悟はできているつもりでした。

 

ただ、この違和感を感じてからは

まだ小学生の子もいるし、

孫の顔も見ていないので

まだ死にたくないな、

という気持ちも芽生えました。

 

当たり前かもしれませんが、

どうしても、生きる、ということには

固執してしまうものですね。

 

そして先週、とうとう

検査してもらおう、と

思い立ちました。

 

早いうちに病気を確定させて

完治できるものならそうしよう、

もし、ダメだったらそのときは

本当に覚悟を決めよう、と

思いました。

 

まず、看護師でもある上司に

相談してみました。

上司は私のみぞおちの少し上に

手を当てると、「たしかに触れるわ」

と言いました。

「この歳なら何があってもおかしくない。

先生に診てもらいなさい」と

言われました。

 

それから、その日は、

(ガン保険に入っとけばよかったな)

とか、

(収入保証保険もっとかけとけばよかったな)

とか、

病気治療の間の費用のことが

頭をよぎるようになりました。

 

まだ、扶養してやらにゃならん

子供たちがいるものですから

真っ先にそういうことが

思い浮かんできました。

 

その日の午後、

診察を受けました。

痛みを感じる部分を伝えると、

「はい、じゃあ、横になって」と言われ、

私はベッドに横になりました。

先生は、私の言うところに手を当て、

「う~ん、これは”剣状突起”だな」

と言われました。

「剣状突起。インターネットで調べてごらん、

『剣状突起 痛み』でいっぱい出てくるから」

診察室で検索して見せてもらいました。

たしかにいっぱいヒットしてる…。

 

 

「そういうことだから。

これ、なんて病名付けよう?」

「はあ、すみません…」

 

なんだか、恥ずかしい気持ちで

いっぱいになりました。

 

上司に報告したら、

「ほんと?大丈夫?」と

慰めの言葉をかけてもらいました。

 

とりあえず、大丈夫そうです。

万が一、「しこり」が大きくなったら

また相談してみよう。

 

しかし、この3か月間、

自分が死んだ後のことを、

本気で真剣に考えたような気がします。

 

ガンじゃなくても、何かの事故で

何の準備もできず、死んでしまうことも

あり得ます。

その時に悔やまないように、

家族にも苦労をかけないように

もしもの備えをしておこうと思いました。