思い込みが晴れたというか、
やっぱり偏見があったというか、
「補聴器ってすごいな」と
思ったのでした。
今まで私は、
お年寄りたちが耳が遠くなっていくことを
さほど気にも留めてなかったようです。
私の思い込みというのは、
「補聴器しても聞こえはよくならない」
ということでした。
聞こえがよくならないばかりか、
高価なので買うのがもったいない、とか、
耳元ではっきり大きな声で話せば聞こえる、
ダメなら筆談という方法もある
ということで、あまり積極的に
誰かに補聴器を勧めてみたことが
今までありませんでした。
掃除や電池交換など、日々の管理も
けっこう大変ですよね。
お年寄りが自分で管理すると
「なくしてしまった」という例も
たくさん知っています。
だから敬遠していたような気がします。
「おばあちゃんにどうしても作ってあげたい」
というご家族がおられたので、
ほぼ初めてぐらいの感じで
補聴器の作成に携わりました。
ご家族は遠方にいるので、こちらで
耳鼻科の受信や補聴器取扱店に
行く段取りをとったり、
耳鼻科の医師や補聴器店の店員さん
たちといろいろ話をさせていただきました。
そして実際に出来上がったものを
おばあさんに取り付けてもらったところ、
補聴器なしでは耳元でしゃべっても
聞こえるか聞こえないか、ぐらいだったのに
正面から話しかけても
(静かなところで、という限定で)
会話ができました。
びっくりするぐらい聞こえていました。
念のためにお伝えしておきますが、
身体障碍者手帳の申請も行って
医師からは「6級ぐらいですね」と
言われたぐらいの聞こえの方です。
6級って聴覚障害の中では
いちばん軽い等級です。
「これで6級か…」というぐらい
聞こえが悪い方でしたが、
でも、補聴器を作って正解でした。
また、この方は耳鼻科に行って
耳垢を取ってもらっただけでも
取らない時よりは聞こえが
良くなりました。ですから、
補聴器を作らないまでも
聞こえが悪くなったら
耳鼻科受診はお勧めしたほうが
良いな、と思いました、本当に。
ということで、補聴器って
義歯やメガネなんかと違って
やっぱり普及してないと思うので
もっと見直したほうが良いな、
と思った出来事でありました。