私たちの事業所は
「特定事業所加算」なるものを
取っている事業所です。
この加算を取得するには
いろんなハードルを越えねば
ならないのですが、
その中のひとつに
「実習生の受け入れ」
というのがあります。
ケアマネジャーの試験に合格した人は
座学やケアプランを立てる宿題の他に
特定事業所で業務を見学する実習
というものが課せられています。
私が合格した初年度には
こんな実習はありませんでした。
今は大変ですね。
さて、今週から実習生さんが
やって来てまして、私のすこぶる
システマティックかつ
アーティスティックかつ
ドラマティックな仕事ぶりを
見学していただいております。
モニタリング訪問での出来事。
12月末に退院されて
その後も継続してリハビリが行えるよう
通所リハビリ、通称・デイケアに
通っておられる方の自宅へ行きました。
退院されて2ヶ月、ますます元気に
なられていく様子の男性。90歳が
間近とは思えないほどの元気っぷりです。
「家の風呂にも入れないだろうから
デイケアで入りなさい」と
病院からは言われていましたが、
手すりをつけて浴槽台を使って
毎日安全に入られているそうです。
声にもハリがあり、暖かくなったら
いよいよ畑仕事を再開か、
というぐらいに元気です。
(順調、順調♪)と思いながら
ご自宅をあとにしようと思ったところ、
車に乗る直前になって、
奥様に引き留められました。
「田中さん、主人の前では
言えんことだけど…」と
ちょっと困り顔。こういうときの
ケアマネジャーって、
(いったい何を言われるんだろう)と
ちょっとビビっています。
自分には手に負えない案件だったら、と。
さらに、今日はやばいことに
実習生さんもいらっしゃるからなおさら。
すこぶるアーティスティックで
かつドラマティックな仕事ぶりが
実はすべて贋作でハリボテなのが
ばれてしまうではないか!
おそるおそる、
「どうされたんですか?」と言って、
奥様の言葉を待つと、
「自動車を運転させろって、
言い出すんじゃないかと、
心配なんです。
入院する前に免許の更新を
したんだけど、その時も
ギリギリ通って、係の人に
『本当は運転しないほうが…』って
言われたんですよ」
ガ~~~~ン。
やっぱり解決困難な
案件でした。
自動車がないと不便な、この田舎。
高齢になっても、なかなか免許を
手放す人は少ないです。
近くに娘さんが住んでいて
通院や買い物は手伝ってくれるので
不便さもさほどじゃないと思うのですが。
「カギを隠さんといけんだろうか。
運転はいけん、って
田中さんのほうから
言ってもらえんだろうか」
と奥様は言いました。
(言うぐらいならなんぼでも…)
と思いながら、
「そうですね、身内が言っても
言うことを聞かないでしょうからね」
と相槌を打ったところ、
横で聞いていた実習生さんが
「いい方法がありますよ」と
言い出しました。
「うちの親父もね、今介護3
なんですけど、同じようにね、
軽トラやトラクターを運転したいって
言ってね。(どうしょうか…)と
考えた方法が…」
「バッテリーの線を外したです」
「エンジンかけてもかからんし、
「長いこと乗ってなかったけな」って
話をして、あとは適当にはぐらかして
ごまかしたら、とうとうあきらめたようです」
と。
なるほど~~。
本当、カギを隠して
「出せ」「出さん」のけんかに
なることってよくあります。
だますようなやり口に
いぶかしがるお方も
あろうかと思いますが、
これも老化と折り合いをつけるための
方便と考えたほうが現実的かと。
「田中さん、
差し出がましいこと言ってしまって
良かったでしょうか?」
「う~~ん、そうだね、
運転できなくなっても
そうなったときの支援が
何かしらあることを伝えたほうが
良かったかもね~♪」
「なるほど、ありがとうございます!」
「いいよ、いいよ。
素直な人は成長すると思うよ、
楽しみだね~~~!」
こうしてまた、
システマティックかつ
アーティスティックかつ
ドラマティックな私の仕事を
目の当たりにした実習生さんが
世のため人のために
活躍してくれることでしょう。