来週から訪問リハビリを始める方の

事業所とご本人の顔合わせをしました。

ご本人はだんだんと言葉の出が悪くなり、

食べ物の飲み込みも少しずつ悪くなってきているので

言語聴覚士さんという口のリハビリをしてくれる

リハビリ専門職さんをお願いしました。

 

顔合わせが終わった後、駐車場までいっしょに

歩いている間に、「気になることがある」と

その言語聴覚士さんが口を開きました。

「かなり重度な感じがしたんですけど、

ご主人はひょうひょうとしておられましたね」。

 

介護4のご本人と夫、2人のあいだに

できた息子と3人暮らしのご家族。

40歳代でパーキンソン病の診断を受け、

意思疎通もだんだんできなくなり、

歩くのも2人がかりでやっとです。

ときには自分ひとりで動いてしまい、

転倒しているところを発見されたことも

しばしば。

さらに、ご主人は非常勤ながらも

仕事をし、家事もこなす。

週3回デイケアに通いながら、

家にいる日は無職の息子さんが

見守りをしているといっても、

本当に大丈夫だろうか、と。

 

言われてみれば、長年担当していて、

計画もマンネリ化していたかな、

もっと介護負担を考えた計画を

提案してないといけなかったな、

と反省すること、しきりでした。

 

ただ、ご主人はいつも明るく介護のことを話し、

ストレスを感じさせるようなところが無い。

自分の怠慢を正当化するわけではないけど

よく考えてみれば、こういう生活が

この家族にとっては当たり前の生活

なのかもしれない、とも思いました。

 

お二人は結婚後まもなく

息子さんを授かり、忙しくも

楽しい3人での生活が、さあ始まろうと

していた矢先にご本人が大病をされ、

それからはご主人が仕事も家事も育児も

担われるようになったそうです。

ご本人も最初から何もできなかった

わけではなかったのですが、

それでも病気の進行や加齢によって

少しずついろいろなことができなくなってきて

やがて自分のこともできなくなって

長い年月の末、現在に至りました。

 

30年かけてゆっくりと

今のような生活になった

このご家族。

 

今この瞬間を切り取れば、

仕事と家事と介護を担って大変、

気の毒で大変な人生、

と思うのかもしれないけれど、

意外と夫と息子もこういう生活だと

割り切っているのかもしれない、と

私は思いました。