「スモールステップ法」は
教育とか人材育成の手法として
使われることも多いようです。
はじめからとてつもなく高い目標を立てても、
行動へのモチベーションは上がりません。
達成可能性のある目標を設定するからこそ、
そこに向けて人は頑張れるわけです。
「小さな成功体験の積み重ね」とも言いますね。
「この考え方はもっとも」だと思う反面、
高齢者のケアマネジメントには
合うような気がしないのは、
昔々から思っているところです。
高齢者がこの年齢で遭遇するのは
「成功体験」よりも「喪失体験」のほうが
圧倒的に多いです。
体が固くなる、思うように動かない。
走るどころか、歩くのもしんどい。
筋肉が落ち、脂肪がつき、
しわが増え、髪の毛が抜ける。
食欲がわかない、胃もたれする。
トイレが近くなる。腰が曲がる。
身体は死にむかって衰えるのが
自然の摂理です。
子供が巣立つ、定年退職を迎える。
親、友人、配偶者を亡くす。
役を離れる。頼りにされなくなる。
社会性についても、多くの場合、
獲得することは少なくて、
失うことが多いものです。
増えるのは病院通いや
介護サービスぐらいでしょうか。
自立支援に着目するケアマネジメントは
喪失することにより世話が必要になった
高齢者がふたたび獲得することを
目指してはいますが、実際のところは
そういかない場合が多いものです。
「小さな成功体験」を積んでいく
と考えるよりも、持っている貯金を
少しずつ崩してゆくがごとく、
「残存能力をできる限り維持する」
(だから貯金は若いときにたくさん
しておくほうが良い)という
考え方を重点的に持っていないと
目標は描きにくいし、
本人にとってはしんどいです。
ケアマネの研修で
「ネガティブな書き方をするな」という
教えがあったと前に書きましたが、
私が考えているようにすると
ネガティブなことを書くことが
多くなりそうです。
そうなっても良いのか。
ということを次回に書きます。