前回は、認知症の人を取り巻く環境
のことを書きましたが、いっぽうで
認知症の人自身の問題を書きます。
認知症の人自身のことだから、といって
脳の器質的なものは問いません。
問題にするのは、いかに「認知する力」
認知力を良い状態で発揮してもらうか、
ということです。
私たちが環境を正しく認知するためには、
「体調」を整えなければいけません。
たとえば、授業中に腹痛を起こしていれば
意識は自分のおなかに向かっていて、
先生の話をとても聞く状態ではなくなります。
寝不足でぼんやりしていれば、
大事なことを聞き逃してしまうでしょう。
認知症の人たちの、
普通では考えられない言動の数々を、
体調を整えることによって、すべて
解決できるわけではありませんが、
正常な認知力が100%だとして、
50%に低下してしまっている認知力を
体調と整えることによって5%でも10%でも、
引き上げておく、という考え方はありだと思います。
認知力を上げておくことで
次々と迫ってくる環境に対しての
認知力をうまく働かせるわけです。
認知力を低下させてしまう原因として、
竹内孝仁先生は、脱水・便秘・低栄養・急性期の病気
を上げています。
また、三好春樹先生はこれらに加えて、
発熱・慢性疾患の悪化・季節の変わり目・薬
を上げています。
少しとんちんかんな行動を見たとき、
すぐに(認知症が進んだかな?)と思わずに
認知力を低下させてしまう要因がないか、
アセスメントする必要があるわけです。