干されていた私に救いの手をさしのべてくれて

事務員としての仕事と社会人としての心構えを

一から教えてくださったAさん。


今思えば、こんな私がこうしてあるのも

Aさんのおかげなんですが、

若気の至りというものは恐いものです。


これは、おそらく経験の違い、

ということなのかもしれませんが。


先にも言ったように私は

学校を卒業して介護現場を経験しました。

だから、介護現場の大変さを

身にしみて感じていましたが、

Aさんは始めから事務方の人だったので

介護現場の実態には疎い、

そう思っていました。


ですから私は、事務方の仕事が

片付いたら介護現場の手伝いをしていました。

おもにやっていたことは食事運びや

食事介助でした。その姿を見て、

Aさんは私に「君は事務員だから

事務の仕事に徹しなさい」と言いました。


私は事務の仕事をおろそかにしていたわけでもないし、

新しい事務員の姿を確立したいとまで

考えていましたから、当然Aさんに反発しました。


事務員と介護職員の区別をきっちりとつける、

Aさんの硬直した考え方を私は好ましく思いませんでした。

でも、今思えば、事務員としてやるべきこと、

与えられたこと以上の事務の仕事を

私は開拓していく責任があったのではないか、

と思います。

どちらの考えが合っている、間違っている

ということではなくて。


本当に扱いにくい職員だったと思います、

今の私が昔の私を部下に持ったとしたら

何も言わずに見捨てていると思います(苦笑)




1年で特養の事務員を辞めた私ですが、

Aさんは別の施設の事務員として

私を推薦してくれました。


救いようのない私でしたが、

Aさんはなんとか別の環境で

私が花開いてくれたら…と思っていたのか

どうか、それを聞くことはもうできません。