今日は、サービス担当者会議を
行いました。70歳代男性、
奥さんと二人暮らしです。
男性は、65歳で脳梗塞になり、
左半身が完全麻痺になっています。現在、
75歳ですから、発症してもう10年になります。
でも、まだご本人は(歩きたい)という
希望をお持ちです。ただ、それが可能であると
本当に思っておられるかどうか。
半ばあきらめておられるところもある
ように感じます。それにしても、
「リハビリはこうしてほしい」という
注文がとても多い。
リハ専門職のスタッフが「歩くのは無理ですよ」
というニュアンスを臭わせて言いますが、
ご本人もそれは認めたくないために
無理を承知で言われるわけです。
(歩ける)という、多くの人にとっての
当たり前を、ご本人は捨てたくないのだと
思います。それが「尊厳」を保つこと。
ここでは、(歩けない)という事実を
突きつけても、ご本人は尊厳を失うだけです。
別の何かを見つけられればいいですが、
(歩ける)以上の、どんなモチベーションが
あるのでしょう。
会議の最後に、「子供のときは誰にも
負けんかった。歩くより、走れるように
なりたいなあ」と冗談っぽく笑う、ご主人の
顔を見て、黙って笑顔を返すしかない
私でした。