今度退院する利用者さんの

お宅に行ってきました。


そのお家は親ひとり子ひとり。

娘さんが、おばあさんをひとりで

介護なさっています。


娘さんにとってのお父さん、

つまり、利用者さんのご主人は

若くして亡くなっています。


おばあさんが女手ひとつで

娘さんを育て上げたわけです。





おばあさんは、長い間入院されて

歩けなくなっていました。


そして、認知症も進みました。


入院する前はだいたいひとりで

なんでもできていましたが、

いまや、ほとんどのことが

できなくなってしまいました。





「連れて帰るか、施設に入れるか」。

娘さんは悩みました。

持病の腰痛も心配の種です。


ご近所や自分の子どもたちから

「施設のほうがいいんじゃない?」と、

何度も言われました。


家に連れて帰る決心はしたものの、

今でも気持ちは揺れています。


「まわりの人はよかれと思って、

いろいろ言ってくれるけど、

介護するのは私だけ、だけなあ」

と言って、笑われます。


笑うって言ったって、心の底からの

笑いではないのは見れば分かります。





「親を看ることって、初めてのことでしょ」と言う

娘さんに、私の身の上話を話す展開になって

しまいました。


「私も1回だけですね。父親を見送りましたけど、

最期は家で看取って、今では”本当に良かったなあ”

って思いますよ。親父もそれを望んでましたしね。

今は大変だと思いますけど、そのときが来たら…」。


と言ったときに、娘さんの顔が曇ったので、

「でも、施設や病院で最期を送った経験が

ないので、それはそれで、いいのかも

しれませんけどね」。





う~ん、自分の価値観を話しても、

それが相手の気持ちを楽にする

わけではないんだなあ、と感じる。


でも、親を見送った体験をした者の

ひとりとして、娘さんが悔いなく

親を見送るために、未来の絵が

ちょっとでもクリアに描けるように

なれば、と思ったわけです。





そのあと、「ちょっと気が早いですけど」と

断って、看取りに至るまでにいろんなサービスを

使って不安や負担を軽くできることや、

どんなことに注意して介護していけばいいか、

看るポイントなどをお話ししました。

帰る頃は、娘さんの顔も和らいで、

私も少しホッとしました。


お話しをしながら思ったことは、

家族にもわかる健康観察のマニュアル

みたいなものがあればな、ということ。


今度、作ってみようかな。





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