家族の本心に思わず触れてしまった、

という話をします。







要介護4で92歳のおばあさんの

介護をされているお嫁さん。



私がこの方を担当して、

かれこれ10年近くなろうか、

というくらい長いお付き合いをさせて

もらっています。



お嫁さんは4年前まで

保育士をされていましたが、

現在は退職され、趣味の茶道教室に

通いながら、家で介護されています。







勤めをされていた頃は、

あまり介護されている

様子がありませんでした。



介護は先に退職していた

おばあさんの息子さん。

お嫁さんからすると、

ご主人です。



こんな言い方は悪いですが、

介護の要領は、あまり良くない

ご主人でした。



お嫁さんが退職されるまで、

あまりお顔を拝見する機会も

なかったのですが、

(もう少し、介護に関わって

もらえないかな)と思うことも

ありました。



少しずつ重度化していくおばあさん、

いつ、施設入所を希望されても

おかしくない感じでした。







しかし、退職を機に

お嫁さんは介護の勉強会に参加され、

ご主人と一緒に介護を始めました。



すると、すごいもんですね。

おばあさんは、みるみる元気を

取り戻しました。



満足に歩けはしないものの、

顔の色つやも良くなり、

口数も多くなりました。



ご家族の力って本当にすごいな、

と思ったものです。







さて、このあいだ、

定例の担当者会議をしました。



通っているデイケアや訪問看護さんから

「お嫁さん、すごいですね」と

“褒めちぎる”とはこのことだ、とばかりに

賞賛されて、お嫁さんは少し戸惑っていました。







会議から数日経って、

家にお邪魔したときに

お嫁さんから思わぬ言葉を聞きました。



「すごく複雑な気持ちなんです」と。







「介護の勉強会に出て、

言われたとおりに介護すると、

介護は楽になって、おばあさんも

元気になったのは良いんだけど」。



「いつまでこんな生活が続くかと思うと、

なんとなく、本当に嬉しいかというと…」



「素直に喜べない自分が、また嫌になって」



「おばあさんには長生きしてもらいたい、

という気持ちもあるんですけどね…」



「『良い介護されてますね』って言われることは

とてもありがたいけど、いろいろ考えてしまって」







順調にいっている介護のある生活だと

はたから見て思えても、

本当にいろいろな思いをして日々暮らして

おられるんだな、と思うと、

私も言葉に詰まって、ただ「そうなんですね」と

言うことしかできませんでした。



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