高齢者2人暮らしの家でした。
ある日、一人の方が骨折して
介助が必要になりました。
退院後、どうにかこうにか、
2人で暮らしておられたのですが
ある日、相談がありました。
「姪が『しばらく施設で預かって
あげるから、介護を休みなさい』って
言ってくれるんですが」とのこと。
姪は老人保健施設の事務をしていて、
今度新しく建つ老人保健施設に
3ヶ月の間預かってあげる、ということ
だそうです。
その話を聞いて、すぐに思い浮かんだのが
(ベッドを埋めるために、そういうこと言うんだ)
ということ。
施設を立ち上げるときは早く入所者を
増やしたい。これは関係者なら、みんなが
知っている事情でしょうね。
そう思った以上は、黙っていることも
できませんでした。
断言はしませんが、もしかしたらそういう事情が
ありますよ、と言うと、”へえ~”といった顔を
しておられました。
数日してから連絡をとってみると
「せっかく姪が言ってくれたことだし、
断ると、つぎには助けてもらえなくなるかも
しれないし、言われるとおり預かってもらおう
と思う」と言われました。
そうだな、言うとおりにしておかないと
助けてもらえなくなる…。
そう思われる気持ちもよく分かりました。
家族がそう決められた以上は、あと
私ができることは申し送りの情報を
作ることぐらいです。
しかたない。しかたないけど、
まわりの思惑に振り回される生活に
なってしまうこと。住む場所さえ、
自分の思うとおりにいかないこと。
要介護になってしまうと、ほんとうに
辛いよなあ、と痛感しました。