長い入院生活に光が見えてきた方のお話です。




柏木さん(仮名)は、交通事故で頸椎(けいつい)を損傷し、

首から下が動かせなくなりました。


年齢もまだ65歳と若く、

も会社員だったので、

家で介護できないということで、

施設を考えられていました。


事故から3年。病院を転々としていましたが、

施設から入所の声はかかりませんでした。

やがて、柏木さんはリハビリのおかげで

両腕、両手、両指が少しずつ動かせるように

なってきました。


妻も定年退職し、Dr.から

「自宅で生活できないか」と言われ、

介護を決断しました。


そんな長い経過をたどって

私たちの事務所へ電話がありました。


先日、柏木さんが入院する病院へ行きました。

そこには、パジャマ姿ですが整髪、ひげそりを

バッチリしている柏木さんと朗らかな笑顔の奥さんが

いらっしゃいました。


看護師さんから入院の経過を聞き、

退院後のサービスについて私が説明しました。


奥さんは、入院してから今までの苦労を

身振り手振りを加えて話されました。

それを柏木さんは黙って聞いていました。


その後、妻から「これを…」とA4サイズの紙を

広げて見せてくださいました。


退院した後、柏木さんの城となる

居室の見取り図です。


車イスで移動するには廊下が狭いので、

車を入れていたガレージを丸々居室にしよう、

という計画を立てていらっしゃいました。


その時、初めて柏木さんは話しました。

「お金もかかるし、このまま病院でも

ええだけどな」。


そう言いながら笑顔の柏木さんでした。

「このまま病院でもいい」と思っていないことは、

誰が見ても分かります。


「(家に帰れるかも)となってから、リハビリも

一生懸命されるようになったんですよ」と看護師さん。


自らの不注意で、交通事故を起こしてしまった

柏木さん。

3年間、(家に帰りたい)という気持ちを

ずっと抑えておられたのでしょう。

(妻に迷惑をかける)と思っていたのかな?


部屋が出来上がるのが私も待ち遠しいです。





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