認知症のあるおばあさんの家を訪問しました。
2年くらい前から介護サービスを使っています。
見当識障害も顕著に進行しています。
会話は可能ですが、時々とんちんかんな
回答になったりします。
お部屋でお嫁さんと3人で話をしました。
ご本人さんに”体の調子はどうですか”などと
当たり障りのない話をしたあと、
お嫁さんに家での様子をお聞きしました。
おばあさんは手持ちぶさたな感じになり、
TVラックや引き出しの中をゴソゴソし始めました。
その様子を見て、お嫁さんは時折たしなめます。
それでも、おばあさんは行動を止めず、
独り言をしゃべりながら、畳をカリカリしたり、
引き出しのものを出したりしました。
すると、そこからパズルのようなものが出てきました。
「これ、何ですか?」。
私はパズルを手にとって質問しました。
一見した感じはテトリスみたいなピースを
組み合わせて完成させるようなものでした。
箱には「脳トレ」の文字が。
質問には、お嫁さんが答えてくれました。
「認知症の検査に引っかかったときがあって、
悪くならないように、と思って買ったんです」。
おばあさんはきっとショックだったのでしょう。
(認知症が進まないようにする方法がないものか)と、
わらにもすがる思いだったのかもしれません。
完成させても、出来上がりの絵もない
無機質なテトリスに何回向かったことでしょう。
とにかく認知症を進ませないために
努力したのです。
若い頃から働き者で何でもできる、
プライドの高い方だったと聞いていたので、
検査の引っかかったときのショックは
相当あったんだろうな、と思いました。