今日は昨日 に引き続き、
荒井由美子先生の講演の内容を。
第2回目は「認知症と運転」のこと。
「認知症の人が自動車を運転すること」、
大変な社会問題の一つでもありますよね。
特に公共交通機関の整備が
不足している地方では、その人の生活に
大きく影響を及ぼす問題です。
だって自動車がないと、買い物さえもできなくなる
ところに住んでいる人たちが大勢いらっしゃいます。
しかし、残念ながら、というか、今回のお話は
そういう認知症のある人たちにどうやって
運転を辞めてもらうか、というのがテーマです。
運転を辞める人が増えることで、公共交通機関の見直しや
いろいろな施策を充実させていけばいいわけですから。
取り返しのつかない交通事故を増やさないためにも
「運転するための判断能力がなければ運転はしない」
ということは致し方のないことだろうと思います。
さて、講演では認知症のあると考えられるドライバーの
人数を「約30万人」と紹介されました。
そして、認知症と診断されている人が
交通事故を起こす確率がそうでない人に比べて
2.5倍から4.7倍。
やはりこんな高確率であることを知れば、
考えざるを得ないですね。
そして問題なのが、運転している人に聞いた
アンケートで、「なぜ、運転するのか?」という問い。
買い物ができなくなる、などの「生活に必要だから」という
答えとともに、多かったのが「楽しみ、生きがい」ということ。
こう答えた人が全体の約30%。
特に男性に多い回答だったそうです。
ここが問題だな、と思いました。
私が担当した方の中にも「運転を辞めたことをきっかけに」
認知症が始まった、家に閉じこもるようになった、
という人はたくさんいました。
結局、運転する理由は「生活のため」とともに
「運転すること自体が生きがい」と
2つの大きな理由があるとのことです。
さて、そんなふうに人生に密着した自動車の運転を
取りやめるように誰が言うか、なんですが、
一番多かった回答が「医師が勧める」ということでした。
(お医者さんから言われれば、本人も納得するだろう)
ということでしょうか。
しかし、講演に参加した医師の発言では、
「医師は認知症の診断はできても、
運転能力の程度については判断できかねる」と
いうのがありました。
そのあたりについては、医師が判断するのは
難しいことのようです。
…というわけで、荒井先生が勤める
「認知症高齢者の自動車運転を考える
家族介護者のための支援マニュアル」
というものを作成されました。
この記事で紹介したアンケート調査や
実際に運転を取りやめた方の事例を紹介して
認知症のあるドライバーを持つ家族が
どのように支援していけばよいか、参考に
なる内容が書かれています。
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問題のレポート、
『誰も語らなかったケアマネジメントの”根っこ”補強版』