約十年前に患者や利用者のことを「~さま」と呼びましょう、という方針を厚労省が打ち出し、今や多くの場所で「患者様(利用者様)」という呼び方をしています。
そのことで医療(介護)サービスの質を上げよう、という考えのようです。
ここでいうサービスとは、接遇について、ということのようですが。
「良い言葉遣いを身につけて、相手を尊重する心を養う」
このことの効果は、私も否定しません。
「言葉の乱れは心の乱れ」という言葉があったか、なかったか、なんとなくあったような気がしますが(笑)、そういう一面もあると思います。
つまり「型から入る」ということです。
このことで、もうひとつ思い浮かんだことがあったので、
今日はそれを書こうと思います。
心を養うために型から入る。
これはいろんな場面で見られることです。
「○○道」と呼ばれるもの。
例えば、柔道、剣道、茶道、華道、書道など、
作法を学びながらその道の心を知る、と
いわれているものはたくさんあります。
これらのうち、私は何一つ学んだことがないのですが(苦笑)
でも、「~さま」と言えば、患者や利用者を尊重する心につながる、というのは安易だと思っています。
それは実際に「~さま」と呼び方を変えたおかげで、その効果があったかどうか確かめてみれば分かると思います。
私は、おとつい思いつきました。
介護の世界で「型から入るもの」って何か?
と問われたら、
言葉遣いではなく、介護技術だと思います。
お年寄りにとって
気持ちの良い排泄介護、
気持ちの良い入浴介護、
気持ちの良い食事介護、
などなど。
それらを実行できる介護技術。
「型から入る」というのは、
介護の世界で言うと、それは介護技術なのだと。
その技術を提供することで、
お年寄りに笑顔が見られ、
その喜びを私たちも共有する。
それを実感することで、
お年寄りを尊重する心って
育まれていくのではないでしょうか。
繰り返して言いますが、対人援助職として、
言葉遣いに気をつけるのは当然のこと。
敬語が使えないどころか、相手をあざ笑ったり
ののしるようなことは論外ですが、
「~さま」と言えば、相手を尊重することになり、
サービスが向上する、なんてことは
あんまりピンと来ないんですよね~。
(おわり。)
そう思った方はクリックをお願いします^^v