(第1回はこちら。>>>力なく微笑む私)


(第2回はこちら。>>>近所がよくしてくれますけ)


(第3回はこちら。>>>女の武器?男の性)


(第4回はこちら。>>>戦場カメラマン?言うてる場合じゃない!!)



私は病院へ向かった。そこにはすっきりした顔の村田さん(仮名)が座っていた。

「おお、どうした?」

どうしたじゃないよ。



でも、顔は覚えてくれたな。

「たいしたことはない。たいしたことはないのに連れて来られただが。」



相変わらず、意地を張っているのか、呆けているのか。



「家に帰っても、きちんと飲んだり食べたりしないと、また病院に逆戻りですよ」。そういって脅すが、本人は何食わぬ顔。



「わかっとる、わかっとる」と言って、私の脅しをかわした。







次の日、また村田さんの家に行ってみた。

今日は元気そうな顔つきだった。



「昨日の弁当はきれいに食べておられましたよ。」とヘルパーさんは報告してくれた。

「弁当、おいしかったぞ。持って来てもらうと有り難い。」と、村田さんは言った。



聞くと、冷凍したご飯と干物を食べた形跡もあり、朝食はそれで済ませたようだ。やかんが火にかかっていて、お茶も沸かしたらしい。



「弁当は夕方に毎日来ますからね。」

「そうか。でも、時々買い物に行くからおらんこともあるぞ。お金を下ろしたいけ、銀行にも行かんといけん。」



“お金は弟さんに預けたら?”と言おうと思ったが、少し様子を見ておこうか。銀行にも行けるかどうか、分からんし。







翌々日、ヘルパーさんの訪問時間。時間を合わせて、私も家に行ってみた。

ヘルパーさんはもう自宅に着いていた。しかし、玄関でウロウロしている。

「村田さん、いないんです、カギもかかっていて。」



後日聞いてみると、やはり銀行に行っていたらしい。バスを使って、帰りはタクシーで。


完全復活か!?

だんだん蘇る、村田さん。

いつかサービスが必要なくなって、元の生活ができるといいね。



(おわり。)



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