(第1回はこちら。>>>力なく微笑む私)


(第2回はこちら。>>>近所がよくしてくれますけ)



サービスが決まらないまま、退院まであと2日となった。



未だに私は村田さん(仮名)に、どうやってサービスを使ってもらうか、悩んでいた。



「誰の言うことなら聞いてくれるだろう…。」



村田さんと話しをしていて、村田さんが盛んに民生委員の富田さん(仮名)の名前を出していたことを思いだした。



「そうか、村田さんを納得させるために、富田さんから話してもらおう。」



そう考えた私は、電話で富田さんに会議に参加してもらうように頼んだ。

「はいはい、OK。大丈夫、大丈夫。」

心強い返事が返ってきた。







さて、退院の当日、村田さんが退院する時間に病院に行って、村田さんが弟さん夫婦と一緒に帰るのを見送った。



そして、村田さんが家に帰って一段落した頃に、関係者を一堂に会してサービス担当者会議を開くことにした。

「お邪魔しま~~す。」



「なんだい、大勢で」と、ちょっとビックリしたような顔の村田さん。でも、富田さんの顔を見ると、少し安心の表情に戻った。



会議のメンバーは、村田さん、村田さんの弟、区長さん、デイサービスの職員さん、配食サービスの担当者さん、ヘルパーさん、そして、期待の民生委員の富田さん。



「おめでとうございます、富田さん。退院できて良かったですね。今日はね、これから富田さんが家で生活するのを手伝ってくれる人たちに集まってもらったんです。」



ハテ?どういうことか?



という顔をしていた村田さんだったが、その表情はすぐに変わった。隣にいた民生委員の富田さん、村田さんの腕をがっしりと両手で抱え込んでいた。


「1人だとみんなが心配するけ、ヘルパーさん達に見回りに来てもらうだけえ」。と、言う姿は、まるで村田さんを慕う娘のようだ。



もちろん、村田さんにとっては、娘ではなく…。


村田さんは「ああ、そ、そうか。」と言うしかなかった。



嗚呼、いくつになっても男は女に弱い…。




(続く。)


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