朝礼の途中で、一本の電話がかかってきました。
電話の相手は、85歳のおばあさんを介護しているお嫁さんからでした。
どんな内容か、というと、「便の始末が少しずつ、できなくなってきた。」ということ。
デイサービスも休みがちで寝ていることが増え、トイレに行くまでに出てしまっていることもある、とのこと。
さあ、アセスメントです。
うんちを漏らしてしまう理由。
こういうとき、家族は“大変だ”という思いが強く出て、冷静な分析って、なかなかできないんですよね。
「トイレに行くまでに出てしまうんですか?」
「ズボンを下ろしたり、拭いたりすることができないんですか?」
「そもそも、便が出るかどうか分からなくなっている?」
いっぺんにこんなに質問する訳じゃないのですが、
「毎回じゃないが、この前はズボンに出てしまった」、
「後始末が大変で、お風呂に入れさせて洗った」、
「孫の子守もしているので、おばあさんまで世話しないといけなくなったら、大変だ」と、私の質問をわざと聞かないふりをしているのか分かりませんが(苦笑)、返ってくるお嫁さんの返事は的が外れているんですね。
ですから、私も
「ポータブルトイレを置いて、トイレまで行く手間を省く」
「ズボンの上げ方、下ろし方をリハビリ職に評価してもらい、指導してもらう」
「朝は便が出やすいから、朝食のあとに座らせてあげて」とか、
“下手な鉄砲、数打ちゃ当たる”方式で、いくつかの対策を提案しました。
その中で引っかかったのが、この方の場合「受診する」でした。
話の中でお嫁さん、「おばあさんは便がゆるいんですよね、いつも。」と言いました。そのときに、「それはおかしいですよね。主治医の先生に相談されたほうが良いかも?」ということを言いました。
普通は何ごともなければ、程度の差はあるにしろ、“いつも便がゆるい”ってことはないですから。
何か病気でも抱えている可能性も…?
その日の夕方、お嫁さんから電話がありました。
「気になって、あれから診察を受けて相談したんです。そしたら、「便をゆるくする下剤が出ていますから、それを抜いてみてください」って、言われたんです。」とのことでした。
「そうでしたか。じゃあ、それで様子を見てみることにしますか?」と言って電話を切りました。
あれから排便の相談はなくなりましたから、おそらくうまくいっているのでしょう。
ただ、以前はトイレに間に合っていたのに、そうじゃなくなっているので、移動が遅くなってしまっていることにも着目していかなければなりませんね。
排せつの管理は
悩ましい…。