今週末は研修会で、日ごろ行っている実践発表をします。
うちの事業所からは発表を3題エントリーしています。
私の発表じゃないんですが、デイサービスに通う70歳代前半の男性の事例を聞いたので少し紹介します。
大きな工場を経営する家の跡取り娘の婿養子に入られ、その工場に長年勤めたK氏ですが、義父は社長の職を自分の息子に跡を取らせました。
今でもやや内向的なK氏ですが、その当時も家庭では孤立がちで、大好きなお酒に走り、50代の終わり頃から数回警察沙汰になったことがありました。警察沙汰と言っても、傷害などの犯罪を犯したわけではなく、ただお酒の勢いで暴れた、というだけのことでしたが。
仕事を辞めてからは家から全く出ることなく、酒浸りの日々で、やがて幻覚や妄想が見られ始めます。
扱いに困った妻と息子は精神科の病院に入院させました。要介護認定の申請をして、要介護2と判定されました。
「家には連れて帰れない」という妻をむりやり説得して、退院したあとにこちらのデイサービスセンターへ通い始めました。通う回数は週5回。
もちろん入院中はお酒が飲めない環境なので、お酒を断ったK氏は足が弱っているものの、たちまち元気になり、次の更新時期には要支援1になりました。
「再び飲酒が始まるんではないか…」という周囲の不安をよそに、1年半経った今も元気に通ってきておられます。その秘密とは…。
デイサービスセンターとのノート交換です。自宅で行う体操や筋トレのメニューができたか、できなかったか。職員の出すクイズに答えるコーナーなど、自宅にいながらにして、他者(デイサービス職員)との関係をつなげる仕掛けを考えてやっています。
しかし、K氏は近所での評判があまり良くないのか、K氏自身も未だに近所へ散歩に出かけません。出かけられないといった方がいいでしょうか。近所の目が恐いのでしょう。
人間は社会的な存在だと言われますが、誰かとつながっていないと不安になります。お酒におぼれていた頃のK氏は誰にもつながっていない状態だったのではないか、と思います。
そんなK氏がこの世で唯一つながっているのが週1回通っているデイサービスであり、その職員なんだと思います。
しかし、そんな事例を聞いて家族や近所とつながれないことがどんなに辛いことか、と深く考えさせられたのです。
居心地の悪いところに24時間居続けないといけないとしたら、あなたはどうしますか?
それはまあ、K氏自身も妻や息子に迷惑をかけたし、近所にも心配をかけたのでしょうから自業自得なんですけど…。
今、そして将来も、みなさんは誰かとつながることができ続けていけるでしょうか?
私はどうだろう…。
