(前回はこちら 。)
医療の世界が激変すると言われているIPS細胞の発見ですが、他にどんなことが考えられるでしょうか。
みっつめには、生命倫理について、です。
ふつう、子孫を残すためには男性と女性の2つの性が必要です。ところがIPS細胞を使うと男性の細胞から卵子を作り、女性の細胞から精子を作ることが可能になる、というのです。つまり、同性をパートナーに持つ2人の、それぞれの遺伝子を受け継いだ子供を授かることができる、ということです。
要するに、はるな愛とマツコ・デラックスの子供ができる(笑)
そういうことです。
そういう人たちにとっては、ぜひ実現して欲しいことでしょうが、間違いなく大きな議論を呼ぶことになるでしょう。
最後に再生医療という分野です。
TVでは脊髄を傷つけて歩けないマウスが脊髄を作ることによって、また再び歩くことができた、という映像が出てきました。
このようなことが可能になれば、脳梗塞を起こして死滅した部分を再生して麻痺をなくす、そんなことも可能になってくるでしょう。
切断した指を生やすことも、
アルツハイマー病で萎縮した脳を元通りにすることも!?
実はそんな実験がすでに行われています。
東京大学でしたか、マウスの受精卵にラットのIPS細胞を埋め込み、すい臓を作ることに成功していました。
マウスの体の中にあるすい臓が、ラットのすい臓なんです。
マウスとラットは、生物学的には人とゴリラくらい違うそうです。
あとはできたすい臓をラットに移植するだけです。
こんな構想も紹介されていました。
ブタの受精卵に人のIPS細胞を埋め込む研究です。
ブタの体の中で人の肝臓を作ろうという研究なのです。
将来的にはブタの体の中で育てた肝臓を人に移植する、というものです。
断っておきますが、まだ実際には行われていない研究です。
そこには倫理的な問題が残っているといいます。
日本でも家族の承諾で臓器移植が可能な時代になりました。それは、提供される臓器がまだまだ少ないことが要因のひとつとしてあげられます。
IPS細胞で作った肝臓。それも他人の肝臓ではない自分の細胞で作った肝臓ならば拒絶反応も少ないことが期待できるでしょう。
ただ、人間以外の動物で作った臓器が本当に人間の臓器であり得るのか、まだ分かりません。
また、想定していた臓器ではないものができたとしたら…。
例えば、体はブタなのに人間の知能を持った生命が生まれたとしたら…。
さらに私はこんなことも考えました。
老化して心臓が弱った人がいます。IPS細胞で心臓を作って移植すれば、その人の生命を伸ばすことが可能になる、なんて。
そうやって弱ったところをどんどん取り替えていけば、永遠の命が得られるかも…。
「銀河鉄道999」がテーマにしていた永遠の命。その時代ではSF(サイエンス・フィクション)だったものが21世紀になって現実のものになろうとしています。
進歩していく医学は何処までいくのでしょうか?
医療が進歩して、少しずつでも命を延ばすことが可能になっています。
「生きますか?死にますか?」、「生かしますか?殺しますか?」そんな選択を迫られたとき、あなたならどうしますか?
延命治療でも迷うのに、命を選ぶことができたら、果たして私たちは悔いなき決断をすることができるのでしょうか?
それとも、迷うことなく生きることを選択するでしょうか?
生き続けることを。永遠の命を。
それもなあ。…辛くね?