(第1回はこちら。>>>どっちがいいんだ? )
(第2回はこちら。>>>娘たちが付け届ける理由 )
(第3回はこちら。>>>私のささやかな抵抗? )
「田中さん、空きができたそうで入居させようと思うんですが。」
出勤してまもなく、孫嫁の美香さんのご主人から電話がありました。
娘さん達がいらしてから、2ヶ月後、申し込みをしていた老人ホームから順番が来た、という電話でした。
ご主人も勤めをしながら夜の介護も交代でされていたので、少し安堵したような雰囲気が読み取れました。
そして、その日の夕方、美香さんから電話がありました。会う時間を作ってくれないか、と言うのです。
「これから訪問に行くので、18:00頃だったら良いですが…」と言いましたが、美香さんは「それでも良いです。そちらに行きます。」と話されました。
美香さんはちょうどその時間にやってきました。表情は少し曇っているように見えました。
部屋に通して、イスに座るなり、「田中さん、これでいいだろうか?」と、話してきました。
な、な、なにを?
「老人ホームに入っちゃったら、それまででしょ。先生に最期まで診てもらうつもりだったのに…」と美香さんはいいました。
美香さんは最期まで児玉さんを看るつもりだったみたいです。児玉さんが元気だった頃から診てもらっていた診療所のドクターに最期まで診てもらうことが本人のためだと思う、と言いました。
顔を合わせるたびに「寝不足だよ~~。」とか、「なかなか、死なんな~~」とか、笑いながら冗談には取れないような悪態をついていたのに、いざ、その日が来たことに気持ちの整理がつかないようでした。
「率直に言ってよ。どうしたらええだろうか?」
そりゃあ、自宅で看てあげることのほうが本人にとっても良いことだし、それが私の仕事でもあるし。ショートステイを組み合わせて1年近くになるけど、悪くもならず、介護者のストレスも少なくなっていたと思っていたし。そうだ、だから「まだ家で看られるかな。」って、美香さん思っているんだ…。
でも、私は迷いました。迷ってしまったのです。
(続く。)