(第1回はこちら。>>>どっちがいいんだ? )
(第2回こちら。>>>娘たちが付け届ける理由 )
こういうときは、私はどちらの味方もしないようにしています。外部の人間が介護者に物申すことは、一緒に暮らす介護者を追い詰めることになるからです。さらに、嫁いでいった娘が口出しすることは最悪で、ご本人がいなくなった後も親戚関係は続くので、遺恨を残すことも十分に考えられます。
娘さん達もそのことは十分承知で私の所へ相談に来たのでしょう。第三者の私だったら美香さんに言ってくれるんじゃないか、と。
実は昔、そう言ってみたことがありました。結果はやっぱりダメでした。私ができるのは介護者が気持ち良く介護できる環境を作ることなんですね。説教することは御法度なんです。
虐待ということならほおっておくことはできませんが、それは改めてアセスメントすることにして、今日は娘さん達の思いを存分に吐いてもらおう、と思いました。
結局、3人の娘さん達は美香さんの接し方がもう少し優しかったらいいんじゃないか、ということでした。
私は口を開きました。
「ショートステイの日にちは取れるだけ取るようにします。それで、相談ですけどね。もしあれでしたら、娘さん達の家で生活することはできますか?」
果たして、娘さん達はみんな、たじろいだ顔をしました。
私の発言が想定したものでなかったのでしょう。
してやったり、です(笑)
いや、べつに嫌がらせではないんです。そんなことをしたら怒られちゃいますからね。そうではなくて、もし美香さんが本当に介護に苦しんでいて、娘さん達がその役割を担うことができたら、それはそれでいいかな、と思ったものですから。
そんなに母親のことを思う気持ちがあるなら、それはとても良いことですし。
ところが、
「私は実家から遠いですし、家が狭くて…。」
「私は主人が介護が必要なので…。」
「私は孫の世話を…。」
別に悪い人たちじゃないんですよ、この娘さん達。ごく当たり前の反応をしただけです。ほとんどの人は、こういう反応をされるでしょう。
「私もできることはしているんですよ。3人が交代して寝泊まりしていますし。都合の良い人間が協力して泊まっています。」
私はすかさず、こう言いました。
「それは、とても良くやっておられると思います。でも、美香さんは“都合の良いときにする”っていうことができないんですよ。家事でもなんでも、他にしなければならないときに介護をしないといけないこともある。それが24時間365日続くんですよ。」
(俺、ちょっと格好いいこと言ったなあ~~^^)
偉そうには言ってないですよ。交代で寝泊まりしている娘さん達もすごいし、その労をねぎらった上で、でも、美香さんの立場も知ってもらわなければならない、と思ったのです。
果たして、3人の娘さん達は次に言う言葉がなくなりました。
「私たちはどうしてあげたら良いですか?」
「もう、美香さんが気持ち良く介護できるように助けてあげるのが一番だと思います。美香さんのおかげでお母さんが家で暮らせているんですから。家に行くたびに「いつもありがとう」って言ってあげたら、美香さんの気持ちは軽くなるかも知れませんよ。」
3人は納得されたのかどうか微妙な感じでしたが、美香さんを楽にしてあげられるようにしてみます、とは答えて帰っていかれました。
(続く 。)