「ちょっと、相談したいことがあるんですが、お時間いただけないでしょうか?」

いやに丁寧な言葉遣いの主は、児玉さん(仮名)の娘さんでした。



「あ、はい。午前中に来ていただければ、私は事務所にいますから。」と私は答えました。



電話があってから20分と経たないうちに、娘さん「達」がやってきました。

私は1人で来られるものだとばかりに思っていましたが、娘さん達は3人で来られました。児玉さんの娘、3姉妹なんです。



そして手には大きな包みが…。



田舎では、まだまだこういうのがあるんですね。付け届け、っていうんでしょうか?「いつもお世話になっています」っていうものが。

もちろん、受け取らないことにしています。もちろん、ですよ。



「ささ、暑いですからこちらに。」私は、応接室に3人をお通ししました。



「どういうご用件ですか?」

「いつもお世話になっているのに、こういうことも言いにくいんですけど…。」



いやに丁寧な娘さんは、言葉を選びに選びながら、「あの、その…」を繰り返しました。



「あの…、本当に良くしてくださって、ありがとうございます。デイサービスとショートステイを良い具合に計画してもらって、本当に良かったと思っています。その…、おかげで母も落ち着いて、生活できています。田中さんのおかげです、本当に。」



(うん、はいはい、いえいえ。それが私の仕事ですから、そんなに丁寧におっしゃらなくても…。)



「それでですね、あのショートステイの日数は、今の日数が一番良いんでしょうか?」



…?



「今ぐらいが一番良いんでしょうね…。」



児玉さんは、1ヶ月の間に10日間ぐらい、2回に分けてショートステイ、つまり5日×2回ほど、ショートステイを利用しています。

私の経験上での話ですが、多くの利用者さんが家での生活を望んでいる、ということと、ショートステイが長くなると体の機能が低下してしまいがちになる、という理由で、長い期間のショートステイは計画しないようにしています。ただ、在宅介護を続けていくには、家族が介護に縛られる生活から息抜きしてもらうことも必要ですから、どれくらいの期間、ショートステイをしたらリフレッシュして介護に向かえるだろうか、ということを考えています。ですから3日でいい人もいれば、1週間必要な人もいますね。



でも、はてさて、この娘さんは、今より“長いほうが良い”と思っているのか、“短かいほうが良い”と思っているのか、どっちなんでしょう?言葉が丁寧なのは良いんですが、これはどちらかというと、「歯に物が挟まった言い方」に属するんでしょう。こういう人を目の前にすると、ちょっと困ると同時に「本音は何だろう…、吐かせてやる!」と、気合いが入ったりします^^



(続く。)



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